ペットと暮らす人もペットも幸せにするスタイリッシュな楽園

ペットと暮らす人もペットも幸せにする
スタイリッシュな楽園

集合住宅では限界があった
都内の人気住宅街に、シンプルでモダンな外観がひときわ目をひく、箱形のその邸宅はある。家主である小池夫妻は、5年前、それまで住んでいたマンションのローンの完済を機に、大家族で住む一戸建ての建築を決意した。大家族というのは、ご主人に奥様、そしてペットたち。その数は引っ越し後も徐々に増え、現在共に暮らすのは、犬3匹、猫5匹、リクガメ3匹、ヘビ3匹、熱帯魚、ヤモリ、カエル…。犬たちのにぎやかな鳴き声が、その瀟洒な館から漏れ聞こえてくる。

「マンションでは動物の頭数制限があって無理がきていたこともありました。以前から住んでいてなじみのあるこの地域に土地を見つけ、一戸建てを建てることを考えました。家の設計については、設計士さんと相談して進めていきましたが、日当たりがよくて光が差し込むこと、ペットの世話がしやすくなることが、私たちが特にこだわってお願いしたポイントです」

3階建ての小池邸。リードフックもいたるところに設置。


広々とした空間すべてが、ペットたちのプレイゾーン。ジャックラッセルテリアのビンゴ、ミニチュアブルテリアの夢太、スタンダードプードルの千輝。

その工夫は、主に水まわりに活かされている。1階のお風呂には、ガラス張りの広々とした空間に、人間のためのバスタブと、ペット用の洗い場を設けた。さらに、裏庭から入れるドアをつけ、散歩から帰った犬の足を、家にあがらずにそのまま洗えるように設計。共有のスペースにすることで、機能が集約されて、掃除などの手間を省くことができた。

同じ考え方でトイレも共有にして、ペットの糞の片づけがスムーズに行えるようにした。手洗いは、糞を処理した手で蛇口に触れなくてもよいよう、自動水栓に。ただし、これには、「猫が蛇口の前に手を出して遊んで、水浸しになってしまう」という誤算もあったが。
 


腰の高さに設置されたペットの洗い場は、使い勝手もよい。

犬、猫、人間が共有するトイレは、大きめに設計。


ペットのためのアイデアを満載

2階のリビング&キッチンから3階にかけては吹き抜けのオープンスペース。中2階部分は仕切りのないロフトで、南側の大きな窓は、テラスにつながっている。開放的な空間に、斜めに設計された天井、三角形のドアなど、シャープでモダンなデザインは設計士によるものだが、設備設計士であるご主人のアイデアも活かされている。

「エネルギーの有効利用のため、吹き抜けの最上部に吸込口を設け、ダクトとファンをつないで、循環システムを取り付けました。こうすることで、夏は涼しく、冬はあたたかく過ごせるんです」

そして、どのフロアにも、ペットを楽しませるための工夫が満載だ。床暖房つきのリビングフロアは、猫が爪砥ぎをしても傷まない素材をリクエスト。目の悪いミニチュアブルテリアのために、階段は踏み面と幅を広くし、ゆるやかにしてもらい、すべり止めもつけた。ロフトの床にもコルクボードを敷いて、ペットたちが怪我をしないように配慮している。

キャットウォークは最上階のベッドルームにつながり、猫が自由に行き来できる。外を眺めるのが好きな猫のためにつけた出窓は、奥行きを深くとってキャットフードを常備。犬と離れて落ち着いて過ごせる場所にしている。また、開閉式の出窓は、猫が自分で開けてしまうため、脱走しないように鍵も取り付けた。犬猫たちのベッドや遊び場として活用しようと、オーダーして作ってもらったチェストも完成。木製の温かさが、幸せに満ちた空間にうまく溶け込んでいる。
 


吹き抜けの開放感のある空間。

最上階のベッドルームに入る、三角形のドア。天井の三角に並んだ穴が換気のための吸込口。


なだらかな階段。すべり止めも、目立たず、インテリアになじむものを選んだ。

ベンガル猫が5匹。名前はジュジュ、パン、チャーミー、むー、メイ。


出窓は猫専用のスペースとなっている。


バスルームにつながる猫用のドア。

目黒の家具屋さんに特注したチェスト。仕切りに穴があり、自由に行き来できる。


ロフトの下にはガラス張りの爬虫類ルームも。この1か所にボールパイソン、シシバナなどのヘビやヒョウモンリクガメ、西アフリカトカゲモドキ、熱帯魚などを集め、飼育している。温度は常に28~30度前後で管理。

「以前はエアコンの温度を爬虫類のために設定していて、人間がそれに合わせて生活する感じでしたが、専用の部屋を作って快適になりました。電気代も減りましたね」

ここにもカメのための洗い場を設け、甲羅の成長によいという紫外線ライトを設置した。晴れた日にはカメはテラスに出してもらい、散歩もさせてもらっている。犬、猫、カメが日溜りのテラスで思い思いの時間を楽しむ、そんな穏やかで微笑ましい光景が日常、繰り広げられている。
 


ホシガメ、ヒョウモンリクガメの洗い場。

ペットのために作ったテラス。夏は簡易プールを出し、水浴びさせることも。


「ここで生活するようになって、ペットたちの運動量が増えましたね」という小池さん。人間以上に恵まれた環境に暮らすペットたちだが、彼らの幸せは、また、飼い主であり家主であるお二人の幸せでもある。

「子供がいない分、子供にしてあげたいと思うことをペットにしているんです。怪我をしないように、暑くない、寒くないようにと、いろいろ考えて。人間の子供を育てているのと同じ感覚です」

ペットとのその暮らしぶりは、ブログにも日々、綴られている。

「この家を建てて、世話をする手間が省け、ストレスなく暮らせるようになったことがいちばん良かったことですね。これからはペットが年老いていき介護も必要になってくると思います。そのときにはまたそこで必要なことは何かを考えて、その都度改善を加えて暮らしていきたいと思います」


裏庭からバスルームに入るドア。ここにも日光が差し込む。

散歩の前に。近所には大きな公園、犬カフェなども充実。