Renovation

海辺の暮らしを満喫海辺の古い一軒家を
自分らしく再生

海辺の暮らしを満喫 海辺の古い一軒家を 自分らしく再生。
潮騒が聞こえる湘南の海辺の1軒家。築40年ほどの古いコンクリート住宅を、アメリカの匂いを感じさせる快適な住まいへと変身させた梅本麦人さん、裕子さん夫妻。

「最初は土地を購入して家を建てることを考えてましたし、この時代の一般の住宅にはさほど興味がありませんでした。不動産屋さんに紹介された土地を見に行ったら、コンクリート造の四角い建物が残っていて、土地探しの段階から相談していた『カリフォルニア工務店』の建築家の岩切剣一郎さんと、むしろこの建物を活かしたほうがカッコいいよねという話になりました。結果、古い家の持つ温かみを生かした、自分らしいビーチハウスにリノベーションできたと満足しています」

天井を抜いて壁材をはがし、白くペイント。配管はあえて露出させ、古材のフローリングとコンクリートの床を適所に配して、米軍住宅や南国の家を連想させる、気持ちのいい空間に生まれ変わった。


ハンモックが揺れる2階の書斎。コンクリート打ち放しの床は白くペイントされ、明るく気持ちのいい空間に。
ハンモックが揺れる2階の書斎。コンクリート打ち放しの床は白くペイントされ、明るく気持ちのいい空間に。
後からドアをつけたので、ステッカーの上にドアの枠を取り付けてしまったのだそう。ドアを閉めるとわかる間違い探しが楽しい。
後からドアをつけたので、ステッカーの上にドアの枠を取り付けてしまったのだそう。ドアを閉めるとわかる間違い探しが楽しい。
鉄で造作した階段の手すり。武骨なワイヤーのネットが、梅本家によく似合う。天井のカイトは海岸でよく飛ばしているそう。
鉄で造作した階段の手すり。武骨なワイヤーのネットが、梅本家によく似合う。天井のカイトは海岸でよく飛ばしているそう。
「この家の前の持ち主だったおじいちゃんが使っていた机です。そのまま残してもらって妻とふたりで使っています」
「この家の前の持ち主だったおじいちゃんが使っていた机です。そのまま残してもらって妻とふたりで使っています」
アンティークのドアに自分たちでペンキを塗って、さらにやすりで削って味出し。床にペンキが落ちてしまっているのも味?
アンティークのドアに自分たちでペンキを塗って、さらにやすりで削って味出し。床にペンキが落ちてしまっているのも味?
ベッドルーム。元々の天井を取り払い、30センチほど天井高が上がった。シーリングライトは前の家で使っていたもの。
ベッドルーム。元々の天井を取り払い、30センチほど天井高が上がった。シーリングライトは前の家で使っていたもの。
「アメリカの日常を表現したい」と、スイッチパネルはアメリカ製のものをチョイス。
「アメリカの日常を表現したい」と、スイッチパネルはアメリカ製のものをチョイス。


海沿いの暮らしを満喫

今はすっかり湘南の暮らしを楽しんでいる奥様だけれど、おふたりとも東京の出身ということもあり、都心を離れてここに引っ越すことに抵抗があったそうだ。

「しかも最初にこの家を見にきた時、砂壁で天井も低く暗い印象だったので、妻は大反対(笑)。でもリノベーションで、ここまで明るく変えることができて大満足です」

今では扉に色を塗ってヤスリをかけて味を出したりと、裕子さんも積極的に家作りに参加している。

「海辺の家は実はやることが多いんです。強風が吹くとガラスに潮が吹くので洗い流さなければいけないですし、植物も潮を洗い流してやらないと枯れてしまいます。僕は東京まで通勤しているので朝は大忙しです(笑)」と麦人さん。

「朝は日の出とともに起きて家族でビーチを散歩しながら、流木を拾い集めたりして楽しんでいます。周囲に子どもが遊ぶ場所がたくさんありますし、近所の方々とのお付き合いも楽しいですし、自然を身近に感じられますし……もう都心には戻れないですね(笑)」と裕子さん。


たっぷりと陽が差す洗面台の裏は、絶景のトイレ。防砂林の向こうに海が広がっている。
たっぷりと陽が差す洗面台の裏は、絶景のトイレ。防砂林の向こうに海が広がっている。
「子どもたちが寝た後にお風呂に入ると、潮騒が聞こえてきます」と裕子さん。満点の星空も、最高のリラックスタイムだ。
「子どもたちが寝た後にお風呂に入ると、潮騒が聞こえてきます」と裕子さん。満点の星空も、最高のリラックスタイムだ。


潮騒を聞きながら贅沢なバスタイム

「実はここが一番リノベーションの費用がかさんだ部分なんですが、どうしても気持ちのいいバスルームを作りたくて」と笑う麦人さん。家族で入れる大きなバスルームを作った。

目の前に家はなく、ここから見える防砂林の向こうは海。人目を気にすることなく、解放感と、贅沢な眺めを満喫できる。


お気に入りのステッカーを、壁にどんどん貼っていくスタイル。
お気に入りのステッカーを、壁にどんどん貼っていくスタイル。
IKEAのキッチンに古材を貼ってカウンターに。
IKEAのキッチンに古材を貼ってカウンターに。
キッチンはIKEAのもので揃えて、予算を抑えた。
キッチンはIKEAのもので揃えて、予算を抑えた。
レンジフードのダクトはあえて向き出しの曲線にすることで、キッチンのリズミカルなアクセントに。
レンジフードのダクトはあえてむき出しの曲線にすることで、キッチンのリズミカルなアクセントに。
パーティが多い梅本家で大活躍の栓抜き。
パーティが多い梅本家で大活躍の栓抜き。


パーティが前提の1階のキッチン

友人たちがたくさん集まる梅本家。特に夏は毎週がガーデンパーティとなる。

「1階はパーティをする前提の作りになっています。庭とキッチンが近く、キッチンで準備したバーベキューの材料を持って庭に出るのも簡単です。そのまま庭で食べたり、1歩中に入ってテーブルで食べたり、キッチンのカウンターで飲んだり。友人たちには自由にやってもらっています」

キッチンはイケアのもので作ったので、材料費を安く抑えられたそう。古材を張ってもらって、雰囲気のあるカウンターが出来上がった。

「高校時代をアメリカで過ごしたこともあって、ほんとは家の中も土足にしたいと思っているんです。子どもがもう少し大きくなったら、この件、さらに前向きに考えます(笑)」


「子ども部屋の壁には色を塗りました。建築家の岩切さんと相談をして色を決めました。床もフローリングにしました」
「子ども部屋の壁には色を塗りました。建築家の岩切さんと相談をして色を決めました。床もフローリングにしました」
長男のそる君は3歳。壁には子どもたちが貼ったシールが。「壁はまた塗ればいいですから、いたずら書きも気にしません」
長男のそる君は3歳。壁には子どもたちが貼ったシールが。「壁はまた塗ればいいですから、いたずら書きも気にしません」
階段の下を洗面のスペースに。「階段下のスペースの有効活用です。階段の傾斜が急だったんですが、緩くしてもらいました」
階段の下を洗面のスペースに。「階段下のスペースの有効活用です。階段の傾斜が急だったんですが、緩くしてもらいました」
愛用のサーフボードは天井に収納。床は古材のフローリング。馬のオモチャは、おじいちゃんおばあちゃんからのプレゼント。
愛用のサーフボードは天井に収納。床は古材のフローリング。馬のオモチャは、おじいちゃんおばあちゃんからのプレゼント。
階段前のホールをクローゼットに。階段の手すりのネットに服をかけてショップのような雰囲気。
階段前のホールをクローゼットに。階段の手すりのネットに服をかけてショップのような雰囲気。


まっ白な壁が基本だけれど、子ども部屋の壁はキレイな色にペイント。1階の床は、アメリカの納屋で使われていた古材をフローリングにした部分と、コンクリートの上にペイントした部分の両方があって、その緩急が家の印象に楽しさを加えている。

各部屋の天井に、シーリングファンがついている。

「窓を開けると潮風が気持ちいいので、夏でもクーラーがいらないんです。自然の風の中で過ごせるのは気持ちいいですね」


特にサーフィン帰りにマストなシャワーは、温水も出る仕様に。ブロックは沖縄から取り寄せた。
特にサーフィン帰りにマストなシャワーは、温水も出る仕様に。ブロックは沖縄から取り寄せた。
古道具屋で破格の値段で手に入れたという木の椅子は、潮風に当たっていい感じの味のある色に。
古道具屋で破格の値段で手に入れたという木の椅子は、潮風に当たっていい感じの味のある色に。
玄関の上のライトには、ENTRANCEの文字。なぜか集合住宅のような趣を感じる一角。
玄関の上のライトには、ENTRANCEの文字。なぜか集合住宅のような趣を感じる一角。
家の裏手のスペースに作った物置は、麦人さんの自作。パパの遊び道具が満載。
家の裏手のスペースに作った物置は、麦人さんの自作。パパの遊び道具が満載。
米軍住宅にありそうな武骨な鉄柵。サーフボードやカヤックの出し入れのために、道路に面した場所に扉を作った。
米軍住宅にありそうな武骨な鉄柵。サーフボードやカヤックの出し入れのために、道路に面した場所に扉を作った。
四角い外観の一戸建て。築40年の家が、梅本家らしいスタイルの家に見事に生まれ変わった。
四角い外観の一戸建て。築40年の家が、梅本家らしいスタイルの家に見事に生まれ変わった。


梅本邸
設計 岩切剣一郎(カリフォルニア工務店)
所在地 神奈川県藤沢市
構造 コンクリート造
規模 地上2階
延床面積 144.1m2