眺望を楽しむ自然とも街ともつながれる住まい | 100%LiFE
眺望を楽しむ自然とも街ともつながれる住まい

眺望を楽しむ自然とも街とも
つながれる住まい

ウチとソトをつなぐ広いデッキ

最寄り駅から坂道を登ること約10分。高台から街を見下ろすと、そこには予想以上に開けた眺望が広がっていた。街の家並みの向こうには高尾山の山々、そしてどこまでも続く広い空。

「この場所を選んだのは、ここが自然と街の境目というか、エッジのようなところだったから。裏手の雑木林とも坂の下の街ともつながる暮らしができるかなと思ったんです」と話す妻の由香さん。

「パーマカルチャー(自然と人間が共存する、持続可能な暮らしのデザイン)」を学ぶ場で知り合ったというIさん夫妻。ふたりとも自然や農に関心が深く、土に近い暮らしを望んでいた。夫の一雄さんは「職場へ通勤するのにもそんなに遠くなるわけではなく、これだけ緑が豊か。いいところだなと感じました」と当時を振り返る。

そこで、設計を依頼した建築家の寺林省二さんに「ウチとソトをつなぐ場を設けてほしい」と依頼。玄関とは別に、外からLDKに直接アクセスできる広いウッドデッキをつくってもらった。このデッキはひとり娘の蒼衣ちゃんの遊び場として、一雄さんのDIYの場として、そしてお客様と一緒にビールを楽しむ場として大活躍している。


いつも家族が集まるLDK。写真右手のウッドデッキから直接出入りすることができる。床のフローリングはナラの無垢板。

いつも家族が集まるLDK。写真右手のウッドデッキから直接出入りすることができる。床のフローリングはナラの無垢板。

壁のキャンバスには、蒼衣ちゃんがつくった「天使の羽」を飾っている。棚の上には、由香さんお手製の梅ジュースのビン。

壁のキャンバスには、蒼衣ちゃんがつくった「天使の羽」を飾っている。棚の上には、由香さんお手製の梅ジュースのビン。

正面の腰高窓の向こうには、街の風景が広がる。左手のデッキにつづく窓からは、裏手の丘の緑が見える。

正面の腰高窓の向こうには、街の風景が広がる。左手のデッキにつづく窓からは、裏手の丘の緑が見える。

LDKと寝室の間仕切りにもなっている収納は、一雄さんがDIYでつくった。拾って来た流木を把手に使っている。

LDKと寝室の間仕切りにもなっている収納は、一雄さんがDIYでつくった。拾って来た流木を把手に使っている。


キッチンが主役のLDK

延床面積16坪の小さな家の中心となるLDKは、ウッドデッキから続く気持ちのよい空間。「部屋に入っても、大きな窓から外がよく見えることもあって、まるで外にいるような開放感があるんです」(由香さん)。

リビングの窓からは、四季折々の自然の姿が見られる。「この窓から外を眺めていると、空の色が変わっていくのがわかります。夕陽が沈む景色もとれもきれいだし、夜景もいいですね」(一雄さん)。

このLDKの主役は、みんなで料理ができるキッチン。ダイニングテーブルに座っている人と目線の高さを合わせるため、キッチンの床を1段下げてあり、みんなでわいわいおしゃべりしながらお料理できる。「出入りもラクで、家族三人で使えるキッチンです」と由香さん。


敷地内の畑でつくったジャガイモを掘る一雄さん。この畑にはシソやハーブなど、いろいろな作物が植わっている。

敷地内の畑でつくったジャガイモを掘る一雄さん。この畑にはシソやハーブなど、いろいろな作物が植わっている。

ウッドデッキの横では、コンテナで夏野菜を栽培。この支柱の竹も裏手の竹やぶでとれたもの。

ウッドデッキの横では、コンテナで夏野菜を栽培。この支柱の竹も裏手の竹やぶでとれたもの。

この日の朝に収穫した野菜。シソやミョウガはもともとこの土地に自生していたものだそう。周囲の雑木林では山菜も採れる。

この日の朝に収穫した野菜。シソやミョウガはもともとこの土地に自生していたものだそう。周囲の雑木林では山菜も採れる。


お手伝いをする蒼衣ちゃん。キッチンに段差があるので、ダイニング側からは小さな子どもでもカウンターに手が届く。

お手伝いをする蒼衣ちゃん。キッチンに段差があるので、ダイニング側からは小さな子どもでもカウンターに手が届く。


採れたての野菜を食卓に

食べることを楽しみ、大切にしているIさん一家。日頃からおやつをつくったり、パンを焼いたり、家族で楽しんでいるという。

そんなIさんの家の食卓を賑わせているのが、一雄さんが丹精こめて育てた野菜やハーブ。敷地内の土地に畑を作って、無農薬・有機栽培で育てている。「生ごみをコンポストにしたり、近所の公園の落ち葉を堆肥にして使っています。キュウリは在来種のタネから育てているんですよ」(一雄さん)。

蒼衣ちゃんも種まきや収穫のお手伝いを楽しみにしていて、由香さんがキッチンで料理をしていると「シソをとってくる?」と自ら申し出るほど。「つい先日も、とれたジャガイモでポテトチップスをつくり、揚げたてのアツアツを家族でいただきました」(一雄さん)。


ピアノを弾く蒼衣ちゃんと由香さん。奥の壁には思い出の写真をたくさん貼って。

ピアノを弾く蒼衣ちゃんと由香さん。奥の壁には思い出の写真をたくさん貼って。

ピアノの上のコーナー。動物のオブジェは、玉川上水の「ロバハウス」の蚤の市で購入したもの。

ピアノの上のコーナー。動物のオブジェは、玉川上水の「ロバハウス」の蚤の市で購入したもの。


寝室の一画に書斎コーナーを設けてある。デスクをはじめ、家具類は由香さんが結婚前に古道具屋で購入したものがほとんど。

寝室の一画に書斎コーナーを設けてある。デスクをはじめ、家具類は由香さんが結婚前に古道具屋で購入したものがほとんど。

カーテンは、由香さんがリネンを縫ってつくった。右手のクローゼットには由香さんが縫った蒼衣ちゃんのお洋服がかかっている。

カーテンは、由香さんがリネンを縫ってつくった。右手のクローゼットには由香さんが縫った蒼衣ちゃんのお洋服がかかっている。

白いタイルが清潔感あふれる洗面室。

白いタイルが清潔感あふれる洗面室。

洗面室に光をとりこむ天窓。

洗面室に光をとりこむ天窓。


手仕事のワークショップを開催

食だけでなく、暮らし全般を自分たちらしく楽しんでいるIさん夫妻。由香さんは洋服などの衣類も手づくりしており、DIYが得意な一雄さんは藁や竹を使って鍋敷きやお箸などの小物づくりをしている。

最近ではこうした活動を知る知人から「教えてほしい」と言われることが増え、自宅で手仕事のワークショップを不定期で開いている。「参加してくださる方には、森から抜ける風や小鳥の声に触れながら、リラックスした時間を過ごしていただきたい。ここの環境ごと楽しんでもらえればと思っています」。

この家で暮らして7年目になるIさん一家。周囲の恵まれた自然を満喫しながら、家族の暮らしを紡いできた。実は近々、より土に近い場所で暮らすことを考えているという。「この家で得たものを糧に、これからも人と自然とつながる暮らしを深化させていきたいなと思っています」という由香さんの楽しそうな言葉が印象的だった。


広いウッドッデッキにはアウトドア用のチェアを置いて、のんびりくつろぐ場に。「ここで飲むビールは最高です」(一雄さん)。

広いウッドッデッキにはアウトドア用のチェアを置いて、のんびりくつろぐ場に。「ここで飲むビールは最高です」(一雄さん)。

敷地の傾斜を活かし、1階部分をピロティに、2階部分が住まいになっている。ピロティの部分は、将来的に増築で居室をつくることが可能。

敷地の傾斜を活かし、1階部分をピロティに、2階部分が住まいになっている。ピロティの部分は、将来的に増築で居室をつくることが可能。

こふでハウス
設計 テラバヤシ・セッケイ・ジムショ 寺林省二
所在地 東京都日野市
構造 木造在来工法
規模 地上2階
延床面積 53.57㎡