森の中の暮らし - 2 - 自然とモダンが融け合ったスタイル・オブ・ライフ

森の中の暮らし – 2 – 自然とモダンが融け合った
スタイル・オブ・ライフ

天気のいい日などには、カシやクヌギの木陰でバーベキューをして休日のひとときを楽しむ落合さん一家。緑に囲まれた一家の戸外での楽しみはもちろんバーベキューだけではない。敷地の裏を流れる清流での川遊びはここでの生活を開始して以来のお嬢さんたちの楽しみのひとつだ。姉の志保さんが通う都心の学校の友だちも、ここを訪れると服が濡れるのもかまわずに川遊びに興じるのだという。

ここではまた、家にいながらにして戸外を楽しむこともできる。「ブリッジから庭のほうを見るのが好き」と奥さん。杉板模様のついたコンクリート打放しの外壁に開けられた入口を抜けてすぐ真上にあるのがこのブリッジだ。和室と書斎のあるスペースとLDKをつなぐこのブリッジに寝転んで、しし座流星群による天体ショーを家族全員で楽しんだこともあるという。

陽気のいい時期には、このブリッジに椅子を出して読書を楽しむのもしばしば。あるいは2階テラスの椅子に寝転びながらページをめくる。緑の香る澄んだ空気に包まれて、お気に入りの小説を心ゆくまで堪能できるのだから、都会では考えられない贅沢だ。


建物南西部分からテラスの方向を見る。右下隅に、和室・書斎とLDKをつなぐブリッジが見える。

テラスでの志保さん(左)と里穂さん。愛犬のクリ(左)、ハルとともに。2匹ともジャックラッセルテリア。


テラスで。この椅子に寝転んで本を読むのもここの暮らしでの楽しみのひとつ。奥に見えるのが和室。

建物の北東部分にある和室から裏の清流を見下ろす。


家の中でも外を感じられる暮らし

「季節は夏が好き。机を外に出して勉強もできるし。家の中にいるよりも涼しくていい」とは妹の里穂さん。では、家の中でいちばんのお気に入りの場所は? 即座に、全員から「リビング!」との答えが返ってきた。かねてからの希望だった「家の中にいても外を感じられる暮らし」をもっともかなえているのがリビングのようだ。

その、フルハイトのガラス窓に囲まれたリビングと、さらにダイニングの雰囲気を大きく決定づけているのがモダンな家具の数々だ――まず、リビングに置かれた椅子はポール・ケアホルムのPK22。20世紀を代表する建築家、ミース・ファン・デル・ローエがデザインした有名なバルセロナ・チェアへのオマージュとしてつくられたものだ。それとベンチソファとコーヒーテーブルもケアホルムのデザイン。窓際に置かれているのは、マールテン・ヴァン・セーヴェレンのカップボード。ダイニングテーブルもマールテンで、エッジのきいたアルミの板にブラスト加工が施されたものだ。


ダイニングで犬たちと遊ぶ。奥にキッチン。

周りに灯りがないので冬は星がきれいにみえる。「家の中から星や月が見えるのは不思議だよね」と奥さん。ここの家具たちは、夜空を楽しむための舞台装置でもある。

手前にマールテン・ヴァン・セーヴェレンのテーブルとファビアン・バロンの椅子。奥にあるベンチソファと椅子、コーヒーテーブルがポール・ケアホルム(順にPK80、PK22、PK61)。カップボードもマールテン。


シャープな幾何学を森に挿入する

家具は、「素材感のあるものがいい」という一家のリクエストに応じて建築家が提案したもの。「自然にはない、シャープな幾何学を森の中に挿入する」という建築のコンセプトの延長線上で検討された。そのため、ログハウスをイメージさせるような自然素材によるものではなく、精緻な加工によってシャープな造型がかたちづくられているものが選ばれたという。

建築と同様に、これらの家具たちは、周囲の自然と拮抗することなく、不思議とうまく融け込んでいる。この自然とモダンな建築・家具とが奏でる見事なハーモニーが、素晴らしい自然の中でのこの家での暮らしを、またさらに魅力のあるものにしている。
 


落合邸 (house ao)

設計 押尾章治/UA
所在地 埼玉県秩父郡
構造 鉄筋コンクリート造 + 鉄骨造
規模 地下1階地上2階
延床面積 181.12㎡