戦時中の木造家屋をリノベする曽祖父から家を受け継ぎ味わいを生かして再生

戦時中の木造家屋をリノベする曽祖父から家を受け継ぎ
味わいを生かして再生

縁側と土間のある家

1941年築。曽祖父が戦時中に建てた家を、曾孫の松本遼太さんが再生させた。遼太さんにとっても、思い出がたくさん残っている家だ。

「古い家の再生を数多く手がけている建築家の宮田一彦さんにリノベーションをお願いすることにしました。残した柱の仕上げの方法や、壁や床の色、壁材にした大谷石など、細かいところまで僕と趣味が合ったので、設計はトントン拍子に進みました」
あまりに好みが近すぎて、松本さんが買った古いフランスの掛時計を、実は宮田さんも狙っていた、という偶然もあったそうだ。

「建具や縁側など、古い家ならではの味が残っているものは、なるべく残すようにしました。廊下だったところを土間にしたくらいで、実は間取りもほとんど変えていません」


天井を抜いて2階の床組を見せている。天井の木材に大工が書いた文字が見える。戦中の息遣いが今に引き継がれる。左側の壁には大谷石を使っている。照明器具はフィリップスのヴィンテージ。

天井を抜いて2階の床組を見せている。天井の木材に大工が書いた文字が見える。戦中の息遣いが今に引き継がれる。左側の壁には大谷石を使っている。照明器具はフィリップスのヴィンテージ。

縁側もそのまま残した。床は杉板にチェリー色のオイルを塗装。壁も赤茶系の色に。「縁側の土壁は藁を入れ、居間側には入れずに、表情の違いを楽しんでいます」。年代物の手漉きガラスが美しい。

縁側もそのまま残した。床は杉板にチェリー色のオイルを塗装。壁も赤茶系の色に。「縁側の土壁は藁を入れ、居間側には入れずに、表情の違いを楽しんでいます」。年代物の手漉きガラスが美しい。


土間を挟んで、右がダイニング、左がリビング。夏は土間に子どもプールを入れて遊ぶこともあるのだとか。

土間を挟んで、右がダイニング、左がリビング。夏は土間に子どもプールを入れて遊ぶこともあるのだとか。

土間からリビングを臨む。ソファとローテーブルは「TRUCK FURNITURE」のもの。

土間からリビングを臨む。ソファとローテーブルは「TRUCK FURNITURE」のもの。


代々受け継がれた箪笥の上に、台湾青根葛(タイワンアオネカズラ)。「夏に落葉するので、冬のほうが葉が美しいです」

代々受け継がれた箪笥の上に、台湾青根葛(タイワンアオネカズラ)。「夏に落葉するので、冬のほうが葉が美しいです」

お父さんが作ってくれたブランコで遊ぶのが波南ちゃんは大好き。梨沙さんに抱っこされた次女の波瑠ちゃんは生後7ヶ月。

お父さんが作ってくれたブランコで遊ぶのが波南ちゃんは大好き。梨沙さんに抱っこされた次女の波瑠ちゃんは生後7ヶ月。

フランスのBRILLIEのアンティーク。「ムーブメントは電池式に変えてありますが、時計自体が重いので電池交換が大変です(笑)」

フランスのBRILLIEのアンティーク。「ムーブメントは電池式に変えてありますが、時計自体が重いので電池交換が大変です(笑)」


家族が長い時間を過ごすダイニング

ダイニングキッチンがある場所は、約20年前に増築した空間。壁に大谷石を、天井にはラワン合板を張った。
「実はリビングより、ここにいる時間のほうが長いんです。娘の波南もここで遊んで、妻と長い時間を過ごしています。ここでPCを開いたり書きものもするので、デスクライトもつけました。ヴィンテージのGRASです」

ダイニングテーブルの上のペンダントライトは、ハワードミラー社の、ヴィンテージのジョージ・ネルソンのバブルランプ(アップル)。
キッチンのボーダータイルの色味が古い日本家屋の空間によく映える。


ダイニングテーブルとチェアはマルニ木工のもの。「チェアの張地はペンドルトンを選びました」。天井はラワン合板を使用。

ダイニングテーブルとチェアはマルニ木工のもの。「チェアの張地はペンドルトンを選びました」。天井はラワン合板を使用。

キッチン横のハシゴを昇るとロフトに。「収納スペースにする予定ですが、今は漫画本しか置いてないです」

天井はラワン合板を使用。キッチン横のハシゴを昇るとロフトに。「収納スペースにする予定ですが、今は漫画本しか置いてないです」


老舗旅館のような佇まいの2階寝室

あえてそのまま残したという、昔風の急な階段を昇り、2階へ。年期の入った建具や、梁や野地板の風情が素晴らしい。老舗の旅館を訪ねたような、落ち着きを感じさせる。

「天井高を生かして、ロフトを作りたいと思っています。子どもが成長したら独立した部屋が必要になるかなと想像しているのですが、取り急ぎ、娘のために手作りで小さな家をDIYしています。キャスターをつけて、リビングの中で自由に動かせるようにします。梅雨になる前に早く仕上げないと!」

曽祖父から数えて5代目に当たる子どもたちが、美しく再生を果たした家で、すくすくと成長している。


2階の寝室。廊下つきあたりのオブジェは、なんと戦争中に見つけた飛行機のプロペラなのだとか。

2階の寝室。廊下つきあたりのオブジェは、なんと戦争中に見つけた飛行機のプロペラなのだとか。

2階の寝室は天井を抜き、年代ものの迫力のある梁が露わに。柔らかな色合いの壁は藁を混ぜた珪藻土。

2階の寝室は天井を抜き、年代ものの迫力のある梁が露わに。柔らかな色合いの壁は藁を混ぜた珪藻土。


浴室、洗面、トイレ、洗濯機をひとつの空間に。ガラス張りの浴室は、ヒノキの壁と黒のタイルでシックに。

浴室、洗面、トイレ、洗濯機をひとつの空間に。ガラス張りの浴室は、ヒノキの壁と黒のタイルでシックに。

「ラタンのバスケットと、水回りの細々したものの収納に使っている竹籠は、ネット通販で買いました」

「ラタンのバスケットと、水回りの細々したものの収納に使っている竹籠は、ネット通販で買いました」


松本宅に漂ういい香りは、この茶香炉からのものだった。「星のやに宿泊した時にお土産として買いました」と梨沙さん。

松本宅に漂ういい香りは、この茶香炉からのものだった。「星のやに宿泊した時にお土産として買いました」と梨沙さん。

玄関の引き戸の佇まいも美しい。この先が土間になっている。外壁は杉板を張り直している。

玄関の引き戸の佇まいも美しい。この先が土間になっている。外壁は杉板を張り直している。

遼太さんのDIYの腕前の高さ! 製作中の小さな家はキャスターをつけリビングに入れるのだそう。波南ちゃんの遊び場になる予定。

遼太さんのDIYの腕前の高さ! 製作中の小さな家はキャスターをつけリビングに入れるのだそう。波南ちゃんの遊び場になる予定。

松本邸
宮田一彦(宮田一彦アトリエ)
所在地 千葉県船橋市
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 94.00㎡