木のぬくもりに満ちる工房とギャラリーを併設した木工作家の住まい

木のぬくもりに満ちる工房とギャラリーを併設した
木工作家の住まい

生活の場は2階に集約

東急田園都市線の鷺沼駅からほど近い川崎市内の住宅街。その一画に建つオレンジ色の建物が、柴原さんの住まい兼工房・ギャラリーだ。「家を建てるときに考えたのが、妻とのふたり暮らしなので、住居以外に将来的に有効利用できるようなスペースをつくろうということでした」と柴原さん。そして、1階に工房とギャラリーを、2階に住まいを設けることに。

2階の住居スペースは、天井が高く、光がたっぷりと差し込む明るい空間。「奇をてらうのではなく、シンプルな建物を目指しました」という柴原さん。暮らしのメインの場となるリビングダイニングは、床を無垢のクリのフローリング仕上げとした。20年近い歳月を経て、居心地良さそうな独特の味わいを深めている。


古い桐箪笥をリメイクして、ダイニングで食器棚として使っている。「把手を替えると、イメージが一新されるんです」。

古い桐箪笥をリメイクして、ダイニングで食器棚として使っている。「把手を替えると、イメージが一新されるんです」。
 

干し柿が好きという柴原さん、ベランダで渋柿を干していた。干し柿用の台も自作。

干し柿が好きという柴原さん、ベランダで渋柿を干していた。干し柿用の台も自作。

家具類はほぼすべて自身の作品というリビングダイニング。照明はスチールと木でつくった枠に絡ませることで、位置や高さを自在に変えられるように工夫している。

家具類はほぼすべて自身の作品というリビングダイニング。照明はスチールと木でつくった枠に絡ませることで、位置や高さを自在に変えられるように工夫している。

建築中に、壁を張る前に箱を取り付けてニッチをつくり、神棚を祀るスペースに。

建築中に、壁を張る前に箱を取り付けてニッチをつくり、神棚を祀るスペースに。


木の香りに満ちる工房

25歳で岐阜県の杣工房に入り、家具づくりの経験を積んだ柴原さんは、28歳のときに生まれ育った川崎に戻って独立し、工房を構えた。「木が好きで、木を使ったものづくりをしてきました」という言葉どおり、オリジナルの家具づくりを中心に、古い家具のリメイクやピアノのリメイクなども手がけている。

そんな柴原さんの工房は、柴原さんの作品づくりのすべてが詰まった場だ。制作中の作品や材料となる木材などが所狭しと置かれ、鉋や鋸といった家具づくりのための道具が並ぶ。「明治や大正など、古い時代の道具はつくりが丁寧。古道具屋などで求めて、大切に使っています」。


広い工房には、様々な木材や道具、機械が並ぶ。

広い工房には、様々な木材や道具、機械が並ぶ。

柴原さんの道具の一部。やはり桐の箪笥に収納している。

柴原さんの道具の一部。やはり桐の箪笥に収納している。


地域に根ざしたギャラリー

ギャラリー「KATSUJI FOREST GALLERY」は、白い壁面とスポットライトにトイレや給湯室も備えており、貸ギャラリーとしての利用もできるようになっている。「ドアなどの建具をつくったり、窓枠をペンキで塗ったり、自分でできることはいろいろしました」と柴原さんが言うように、どこかあたたかみのある空間だ。

このギャラリーでは、柴原さんや妻でテキスタイル作家の柴原規子さんの作品を常設展示しているほか、最近では、フラワーアレンジメントの教室やリメイクピアノによるコンサートが行われるなど、地域の人々との交流の場としても活用されているとのこと。「このギャラリーを介して、人との出会いの輪が広がっているのが嬉しいですね」。


「KATSUJI FOREST GALLERY」のサインプレート。

「KATSUJI FOREST GALLERY」のサインプレート。

柴原さんの作品やニューヨークスタインウエイアップライトのリメイクピアノが並ぶギャラリー。壁のテキスタイルの額は妻の柴原規子さんの作品。

柴原さんの作品やニューヨークスタインウエイアップライトのリメイクピアノが並ぶギャラリー。壁のテキスタイルの額は妻の柴原規子さんの作品。

柴原さんが最近力を入れているという、シャビーシックなテイストの作品。花掛け、額、プランターボックスなど、手に入れやすい小物が揃う。

柴原さんが最近力を入れているという、シャビーシックなテイストの作品。花掛け、額、プランターボックスなど、手に入れやすい小物が揃う。

ギャラリーのエントランス。扉は柴原さんがつくったもの。外壁のオレンジはアリゾナの夕陽を浴びた土の色をイメージしたそう。

ギャラリーのエントランス。扉は柴原さんがつくったもの。外壁のオレンジはアリゾナの夕陽を浴びた土の色をイメージしたそう。

ギャラリーのトイレ。メキシコのタイルや洗面ボウルを取り寄せて設置。鏡は柴原さんの作品。

ギャラリーのトイレ。メキシコのタイルや洗面ボウルを取り寄せて設置。鏡は柴原さんの作品。


庭の樹木や緑とともに

ギャラリーの前のパーキングを兼ねた庭には、大きな樫の木をはじめ、さまざまな植物が繁る。これらの植物の世話をするのも、柴原さんの楽しみのひとつ。「樫の木は、家を建てたときに植木屋さんに頼んで植えてもらったもの。すっかり大きくなりました。樫のほかには、いよかん、みかん、くるみ、柿、枇杷、いちじく、さくらんぼなど、実のなる木をたくさん植えています」。

樹木以外で最近取り組んでいるのが、「風蘭」と呼ばれる日本で古くから楽しまれているという蘭の栽培。「木の枝の朽ちた部分に蘭を根づかせて栽培するんです。蘭は原始的だけれど、植物的には最も進化していると言われていて、育てていてもおもしろいんですよ」と柴原さん。その笑顔は、木や植物にふれることの喜びを物語っていた。


庭では、いよかんの樹が大きな実をつけていた。

庭では、いよかんの樹が大きな実をつけていた。

ワイヤーにフックで吊るされているのが風蘭。

ワイヤーにフックで吊るされているのが風蘭。

ケヤキの枝の穴に、シンピジウムを着生させている(左)。右ふたつは、着生用に保管してあるケヤキの枝。

ケヤキの枝の穴に、シンピジウムを着生させている(左)。右ふたつは、着生用に保管してあるケヤキの枝。


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