家をライフスタイルの実験場にオフグリッド住宅で新しい生活に挑戦中

家をライフスタイルの実験場にオフグリッド住宅で
新しい生活に挑戦中

地域コミュニティの拠点にもしたい

緑豊かな横浜市郊外の二世帯住宅の隣に、オフグリッド住宅を建てたランドスケープデザイナーの熊谷 玄さん、ケアマネージャーの恵美子さん夫妻。オフグリッドとは、電気・ガス・水道などの都市インフラから供給を受けない、災害にも強いスタイルだ。
「暮らし方を変えられるような家を作りたいと考えていました」と玄さん。

そしてもうひとつこの家でチャレンジしたいことがあったのだそうだ。
「これからここでカフェを始めたいと思っていて、認可も既に取得しています。ケアマネジメントの仕事を通して、地域の人が気軽に利用できるサロンのような場所があればいいなと感じていたので、ここが地域のコミュニティの拠り所になればと思っています」と恵美子さん。

家を使って新しいライフスタイルにチャレンジする……熊谷夫妻らしい住宅との向き合い方だ。去年の12月に竣工して約半年、日々の取りくみがとても楽しそうだ。


優しいグリーンの壁面と木目が印象的な熊谷邸。ゆくゆくは地域のコミュニティの拠点になるようなカフェにしたいそう。

優しいグリーンの壁面と木目が印象的な熊谷邸。ゆくゆくは地域のコミュニティの拠点になるようなカフェにしたいそう。

玄さんが生まれた時には既に家にあったというイームズのシェルチェア。この家を新築する際にレザーを張り替えた。

玄さんが生まれた時には既に家にあったというイームズのシェルチェア。この家を新築する際にレザーを張り替えた。

大きな開口部から、気持ちのいい風が抜ける。キッチンからの眺めも抜群だ。

大きな開口部から、気持ちのいい風が抜ける。キッチンからの眺めも抜群だ。


廃材を使ったオリジナルのソファ。木目のFRP素材のテーブルはアートユニット『ゲルチョップ』のもの。

廃材を使ったオリジナルのソファ。木目のFRP素材のテーブルはアートユニット『ゲルチョップ』のもの。

鹿のオブジェは『ゲルチョップ』製。キッチンの後ろの棚にはお気に入りのカップを並べている。

鹿のオブジェは『ゲルチョップ』製。キッチンの後ろの棚にはお気に入りのカップを並べている。


庇のレベルを、左に見える母屋の2階の高さに合わせている。母屋と行き来できる廊下を作ることも考えているそうだ。生後6ヶ月の愛犬モカの散歩から帰ってきた、嵩くんと咲ちゃん。

庇のレベルを、左に見える母屋の2階の高さに合わせている。母屋と行き来できる廊下を作ることも考えているそうだ。生後6ヶ月の愛犬モカの散歩から帰ってきた、嵩くんと咲ちゃん。


電気はソーラーパネルで発電

熊谷邸のオフグリット住宅は、屋根の上にソーラーパネルを設置、ガスは都市ガスではなくプロパンガスを使用。井戸を掘ったが飲料には適さない水質だったため、水は上水道を使用している。

「木材工場から出る廃材を燃料とするペレットストーブも使ってみたいもののひとつでした。ペレットストーブには、電気を使ってファンを回すものが多いのですが、この『CRAFTMAN』はファンを使わない自然吸排気式のストーブです。中が広いのでダッジオーブンを入れることもできます。焼きリンゴを作って楽しんでいます。
プロパンガスを使った床暖房とストーブで、冬は快適に過ごすことができました。夏がどうなるか、楽しみでもあります」

ソーラーパネルの発電量には限りがあるので、照明器具は、必要な人が必要な場所に手で持って歩く、昔の行灯スタイルに。
「照明デザイナーの方に相談をしたら、シガーソケットを使って15Vの電気を使えば節電になると聞いたので、壁にシガーソケットを設置しました。照明器具のプラグもシガーソケット用に交換しています」と玄さん。

冷蔵庫は100Vで使用しているそう。
「今の冷蔵庫は電気の使用量がとても少ないので、問題ありませんでした」と恵美子さん。


照明は必要な人が持って歩くスタイルに。節電のため、15Vのシガーソケットを設置し、そこから電源をとる。

照明は必要な人が持って歩くスタイルに。節電のため、15Vのシガーソケットを設置し、そこから電源をとる。

「『CRAFTMAN』のペレットストーブはとても気に入っています。ペレットだけでなく、薪も使うことができます」

「『CRAFTMAN』のペレットストーブはとても気に入っています。ペレットだけでなく、薪も使うことができます」


使える電気の残量はモニターで確認できる。使いきってしまうとバッテリーの負担が大きくなるので、こまめにチェックする。

使える電気の残量はモニターで確認できる。使いきってしまうとバッテリーの負担が大きくなるので、こまめにチェックする。

鉄製の蓋を開けると、焚火スペースが現れるアイディア。友人を招いてバーベキューを楽しむことも。

鉄製の蓋を開けると、焚火スペースが現れるアイディア。友人を招いてバーベキューを楽しむことも。


屋上に設置したソーラーパネルで作った電気を貯める蓄電池は、ゴルフカートのバッテリーを再利用したもの。

屋上に設置したソーラーパネルで作った電気を貯める蓄電池は、ゴルフカートのバッテリーを再利用したもの。

雨水タンク。庭の水やりの他、屋上のソーラーパネルの洗浄にも使っている。

雨水タンク。庭の水やりの他、屋上のソーラーパネルの洗浄にも使っている。


オフグリッド生活にチャレンジできるのも、隣に母屋があるからだそうだ。
「料理、洗濯、入浴などは母屋で行っています。様子を見ながら、徐々にこちらに移動してきたいと思っています。母屋にはTVがありますが、こちらにはありません。なるべく生活感をなくすようにしています。オフグリッドの家を作って、いろいろなことが見えてきました」

住宅設計は「abanba」
「オフグリッドのアイディアをたくさんいただきました。母屋の2階と床のレベルを合わせているので、将来的には廊下でつないで行き来できるようにしたいとも考えています」

母屋は建築家である玄さんのお父様の設計。アメリカ西海岸を中心に、リチャード・ノイトラ、イームズ、エーロ・サーリネンらによって作られた住宅建築プログラム『CASE STUDY HOUSE』を、日本の環境で作った実験的な住宅だ。

「建増しした2階は、当初は箱型のガラスの面積が大きいものでしたが、様々な問題が起きて今の形になっています。自分の家で様々な実験をした父らしい住まいです」

家を住まいの実験場にする。そのライフスタイルが、熊谷さん夫妻にも受け継がれているのかもしれない。


2階の床と庇床のレベルに段差をつけることで、机やベンチとして使えるようになっている。

2階の床と庇床のレベルに段差をつけることで、机やベンチとして使えるようになっている。

大きな吹き抜けは、1階と2階の空気の循環に役立つ。床と庇床の間にも隙間があり、風が抜けるように工夫されている。

大きな吹き抜けは、1階と2階の空気の循環に役立つ。床と庇床の間にも隙間があり、風が抜けるように工夫されている。

もともとここの土地には熊谷家の物置小屋が建っていた。そこにあったモノを収めるために、引き戸の奥の収納は大容量。

もともとここの土地には熊谷家の物置小屋が建っていた。そこにあったモノを収めるために、引き戸の奥の収納は大容量。


建築家の玄さんのお父様が1960年代後半に『CASE STUDY HOUSE』を建てた実験的住宅が母屋。2階は増築部分。

建築家の玄さんのお父様が1960年代後半に『CASE STUDY HOUSE』を建てた実験的住宅が母屋。2階は増築部分。

玄さん家族が住んでいるのは、母屋の和室を改築した部分。壁を抜いたので梁を追加して補強し、構造合板で作った棚を設置した。

玄さん家族が住んでいるのは、母屋の和室を改築した部分。壁を抜いたので梁を追加して補強し、構造合板で作った棚を設置した。

自転車は玄関にポールを立てて収納。ここ旭区から、みなとみらいにある事務所まで自転車で通っていたこともあるそうだ。

自転車は玄関にポールを立てて収納。ここ旭区から、みなとみらいにある事務所まで自転車で通っていたこともあるそうだ。