テーマは米軍ハウス細部までこだわりぬいたアメリカンスタイルの家

テーマは米軍ハウス細部までこだわりぬいた
アメリカンスタイルの家

米軍ハウスに憧れて

広い芝生の庭を前に建つ大きな平屋。明るいクリームイエローの外壁を、白い枠の窓が切りとる。まるでアメリカの映画やドラマに出てくるようなこの家に暮らすのは、Kさん夫妻と2人のお子さんだ。

以前は横浜のマンションに暮らしていた夫妻だが、いつかは「広い庭のある大きい家に住みたい」という希望を持っていた。「土地はあちこち探しましたが、同じ神奈川県内で、なじみ深い僕の実家の敷地に建てることにしました」(Kさん)。

Kさん夫妻は家づくりにあたり、さまざまな雑誌やWEBサイトを見たという。そんな中で強く惹かれたのが、「米軍ハウス」だった。米軍ハウスとは、1950年代ごろに建てられた米軍関係者のための家。広い庭、平屋、ゆったりした間取りなどが特徴で、アメリカらしい伸びやかさと、レトロな趣が魅力だ。「ゆったりした平屋と広いお庭に憧れていたので、米軍ハウスのスタイルって素敵だなと思いました」。「元々アメリカの古着を集めていて、新しくてピカピカしたものよりも、歳月を重ねて味わいを増したものが好きだったんです」とKさん夫妻は振り返る。


フラットな土地だったが、水はけと眺望の観点から土を盛り、家が一番高いところに乗るようにした。庭の芝生は、Kさん一家と実家のお父様が力を合わせ、2日間かけて貼ったそう。

フラットな土地だったが、水はけと眺望の観点から土を盛り、家が一番高いところに乗るようにした。庭の芝生は、Kさん一家と実家のお父様が力を合わせ、2日間かけて貼ったそう。

シンボルツリーは立派なパーム。ご近所に40〜50年間植わっていたものを、家づくりを担当した木堂夫妻が格安で購入した。

シンボルツリーは立派なパーム。ご近所に40〜50年間植わっていたものを、家づくりを担当した木堂夫妻が格安で購入した。

庭の水栓周り。古い木材でつくった柱、バケツを地面に埋めた水受けと、凝ったディティールで、水やりも楽しくなりそう。

庭の水栓周り。古い木材でつくった柱、バケツを地面に埋めた水受けと、凝ったディティールで、水やりも楽しくなりそう。


庭先には、アメリカの映画やドラマで見たままの郵便ポストが。

庭先には、アメリカの映画やドラマで見たままの郵便ポストが。
 

横にまわると、ビルドインガレージが出現。

毎日の「行ってきます」「ただいま」を見守る古材の階段と飛び石。

毎日の「行ってきます」「ただいま」を見守る古材の階段と飛び石。

ガレージの内部。左手のドアを開けると、リビングにつながっている。

ガレージの内部。左手のドアを開けると、リビングにつながっている。


アメリカンスタイルの家づくり

米軍ハウスをテーマとしたKさん夫妻が家づくりを依頼したのは、アメリカのアーキテクチュアルサルベージ(建築古材)やアンティーク家具をふんだんに用い、味わい深いアメリカンスタイルの家づくりを行う「RUSTIC GOLD」の木堂夫妻だった。

「木堂さんを知ったのは『100%LIFE』。手がけた家の記事を見て、本物のアメリカンスタイルの家の格好良さに衝撃を受けたのです。木堂さんのご自宅にも伺ったのですが、圧倒的なセンスで思わず息をのむ空間。100%任せよう!と思いました」(Kさん)。


天窓から明るい光が入るリビング。壁の色はたっぷり悩んだが、落ち着いたベージュをチョイス。コテの跡を残しながら塗り、温もりのある雰囲気に仕上げた。左手の階段部分は収納。

天窓から明るい光が入るリビング。壁の色はたっぷり悩んだが、落ち着いたベージュをチョイス。コテの跡を残しながら塗り、温もりのある雰囲気に仕上げた。左手の階段部分は収納。

リビングから廊下とベッドルーム側を見る。左の大きなアンティークキャビネットは、テレビ台として活用。Kさんのテレビがぴったり収まるものを、スノホミッシュという街で見つけてきた。

リビングから廊下とベッドルーム側を見る。左の大きなアンティークキャビネットは、テレビ台として活用。Kさんのテレビがぴったり収まるものを、スノホミッシュという街で見つけてきた。

リビング内にあえて階段をつくり、階段下と、ガレージの屋根裏にあたる階段上にたっぷりと収納できるようにした。

リビング内にあえて階段をつくり、階段下と、ガレージの屋根裏にあたる階段上にたっぷりと収納できるようにした。

玄関を入ったところ。右手がリビング、左手が廊下とベッドルームにつながり、奥に見えるのがダイニングキッチン。

玄関を入ったところ。右手がリビング、左手が廊下とベッドルームにつながり、奥に見えるのがダイニングキッチン。


木堂夫妻は、1970年代をアメリカで暮らし、1980年から渋谷でアメリカの古着を販売。さらにはアーキテクチュアルサルベージ、アンティーク家具を取り扱い、アメリカンスタイルの家づくりを手がけるようになったという経歴の持ち主だ。家づくりが決まると毎回渡米し、長年の経験や人脈を生かして、建て主の希望にぴったりの素材を集めてくるのだという。「私たちのモットーは、楽しみながら工夫して、ローコストですてきな家をつくること。お金を出せばいいものがつくれるのは当たり前ですが、予算の中でお施主さんが大満足できる家をつくることが大切なポリシーなんです。例えばドア一つでも、新品をカタログで探すと何十万円とかかるでしょう。でも、アメリカの古い家に眠っているアーキテクチュアルサルベージを利用すれば、低価格で良質、しかも趣のあるものを取り入れられるんです」(木堂夫妻)。

米軍ハウスがテーマと聞いた木堂夫妻は、国内はもちろん、グアムとサイパンの米軍基地の住宅も見に行ったそうだ。「庭周りのチェーンリンクフェンス、三角屋根、無垢のフローリング、二重扉の玄関など、本物の米軍ハウスの特徴を、Kさんの家の随所に取り入れました」(木堂夫妻)。


二重扉の玄関は、風除けや防寒に効果大。重厚な内ドアは、アメリカの古い家にあったもの。深みのある色合いが美しい。

二重扉の玄関は、風除けや防寒に効果大。重厚な内ドアは、アメリカの古い家にあったもの。深みのある色合いが美しい。

パームの絵は木堂夫妻からの新築祝い。庭に植えるパームの木に合わせて、ハワイで見つけたものだそう。

パームの絵は木堂夫妻からの新築祝い。庭に植えるパームの木に合わせて、ハワイで見つけたものだそう。


左がガレージにつながる扉。右が階段下収納の扉。ずっと眺めていたくなる味わい深さ。

左がガレージにつながる扉。右が階段下収納の扉。ずっと眺めていたくなる味わい深さ。

何度もペンキを塗り直されてきたドア。「この剥げ具合がいいんです!」と木堂さん。

何度もペンキを塗り直されてきたドア。「この剥げ具合がいいんです!」と木堂さん。


暖房には薪ストーブをチョイス。「この空間にしっくりくるし、使ってみたらとても暖かかった」とKさん。窓際のサボテン型が楽しい照明は、Kさんが渋谷の古着屋さんで見つけたもの。

暖房には薪ストーブをチョイス。「この空間にしっくりくるし、使ってみたらとても暖かかった」とKさん。窓際のサボテン型が楽しい照明は、Kさんが渋谷の古着屋さんで見つけたもの。


理想の空間が完成

そうして完成したKさん邸。どの部屋のどこに目をやっても、アメリカで長い年月を過ごし、いい渋さが出たものたちがドラマチックな佇まいを見せ、細部までスタイルのある空間となっている。

家中の床はすべて、アメリカ北部の街の製材屋で見つけたというベイマツの古材。窓は、リビング、ベッドルームともに、白い枠がさわやかな上げ下げ窓。そして、すべての壁面につけた白い腰板。内装の仕上げ方にも、アメリカンスタイルが貫かれている。Kさん夫妻は「まさに理想通りの空間。木堂さん夫妻にお任せして本当に良かったです」とうなずく。

また、ダイニングキッチンは、リビングと一体ではなく独立させて設けた。「作業スペースがたっぷりあって、趣味のお菓子づくりを思う存分楽しめるので、とても気に入っています。今は対面式キッチンが主流ですが、アメリカだとこういうスタイルも人気だそうです。独立してこもり感のあるキッチンも、“自分の城”という感じがしていいものですよ」(Kさん)。


ダイニングキッチン。くの字型に配したカウンターや収納は、作業のしやすさを考え抜いてオリジナルで造作したもの。シンクはユーズドを使い、コストを抑えた。勝手口のドアは、網戸にできて風が抜ける仕様のものに。

ダイニングキッチン。くの字型に配したカウンターや収納は、作業のしやすさを考え抜いてオリジナルで造作したもの。シンクはユーズドを使い、コストを抑えた。勝手口のドアは、網戸にできて風が抜ける仕様のものに。

ダイニングテーブルと椅子はオーク。1930年代くらいのアンティークで、経年変化した濃い色合いが格好良い。

ダイニングテーブルと椅子はオーク。1930年代くらいのアンティークで、経年変化した濃い色合いが格好良い。

テーブルに飾られていたお花たち。右側の花瓶は、木堂夫妻のお店「RUSTIC GOLD」で、Kさんが一目惚れして購入したもの。

テーブルに飾られていたお花たち。右側の花瓶は、木堂夫妻のお店「RUSTIC GOLD」で、Kさんが一目惚れして購入したもの。

窓は元々腰板の上までで設計していたが、施工途中「外がもっとよく見えるように」と、木堂夫妻がサービスで広げてくれたそう。

窓は元々腰板の上までで設計していたが、施工途中「外がもっとよく見えるように」と、木堂夫妻がサービスで広げてくれたそう。


暮らしやすさに感動

Kさん一家がこの家に暮らし始めて1年数ヶ月。見た目の格好良さもさることながら、住み心地の良さにも驚いたという。「この家は、リビング、独立したダイニングキッチン、3つのベッドルームというアメリカらしいはっきりとした間取りで、部屋の役割が決まっているところが暮らしやすいんです」。

間取りの他にも、暮らしやすさの工夫は随所にある。「収納が欲しいとお願いしたら、階段を織り交ぜた容量も見た目も最高なアイデア収納を作ってくださいました。あと、キッチンのカウンター下にゴミ箱を隠してくれたり、欲しいなと思うところに見事にコンセントがあって感動しました」。「明かり取りの天窓のおかげで夕方まで電気をつけなくても明るいし、床もさりげなくバリアフリーなんです」。Kさん夫妻は、住み心地の良さを次から次へと語る。

アメリカらしいラフな格好良さと、木堂夫妻の繊細な気遣いが同居したオンリーワンの住まい。Kさん夫妻が大好きな世界観の中で、すてきな家族の時間が紡がれていくのだろう。


マスターベッドルーム。朝起きると庭の緑が目に飛び込む。

マスターベッドルーム。朝起きると庭の緑が目に飛び込む。

子ども部屋。壁の色はペールブルーにした。

子ども部屋。壁の色はペールブルーにした。


アメリカ中から集められたアンティーク家具が、Kさん一家の暮らしにずっと寄り添っていく。

アメリカ中から集められたアンティーク家具が、Kさん一家の暮らしにずっと寄り添っていく。

飾り棚には、Kさん夫妻が集めた古いアメリカの小物たちが。古着屋で見つけたワッペンは、4歳と2歳のお子さんの服につける予定。

飾り棚には、Kさん夫妻が集めた古いアメリカの小物たちが。古着屋で見つけたワッペンは、4歳と2歳のお子さんの服につける予定。


「RUSTIC GOLD」