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カタチのいい掃除道具 −1− 普遍的な美しさをもつ
日本の箒とちりとり
長年愛されてきた日本の掃除道具には、普遍的な美しさがある。そして、よい道具を使うことで、日常に心地よい緊張感をもたらしてくれる。今回は、カタチのいい日本の掃除道具に注目。紀州職人が昔ながらの製法で仕上げた棕櫚鬼毛箒、伝統的な棕櫚箒をモダンにアレンジしたひのき柄棕櫚箒、岩手県九戸村の風土にこだってつくられている南部箒、江戸末期より続く白木屋傳兵衛の江戸箒、凛とした佇まいが美しい柿渋和紙のちりとり、オーストリッチと馬毛の美しいブラシ、熊本の作家が手がけた工芸品のような掃除道具など、職人の手作業でつくられた美しい箒やちりとりを紹介する。
《本棕櫚 9玉長柄》
洗練された佇まいが美しい棕櫚の箒。一枚の棕櫚皮の中から少量しか取れない“鬼毛”という強くてしなやかな繊維を使用したもの。棕櫚繊維の深い色と黒竹の柄に、ほうきを束ねている銅線がアクセントになった力強いデザイン。棕櫚皮には植物性油脂が多く含まれているため、棕櫚箒を継続して使えば繊維に含まれる油分によって、フローリングや畳にワックスとは違う自然のツヤだし効果をもたらす。山本勝之助商店は明治13年に和歌山で創業、今でも紀州職人が昔ながらの製法でひとつひとつ手作業でつくり続けている。
《ひのき柄棕櫚箒》
山本勝之助商店の職人がひとつひとつ丁寧に手作業で仕上げたniguramuオリジナル棕櫚箒。ひのきの柄とオイルヌメ革のヒモを取り入れることで、伝統的な棕櫚箒をモダンにアレンジ。棕櫚の重厚な雰囲気は残しつつ、現代の暮らしにも無理なくフィットするデザイン。本格的な長柄箒から手軽使える手箒まで4型展開。
《南部箒》
独特のちぢれた穂先が特徴の南部箒。畳やフローリングはもちろん、絨毯にからみついた髪の毛やペットの毛、タバコの灰までも綺麗に掃きだしてくれる。力を入れることなく掃けるので床や絨毯をを傷めることなく掃除ができる。高倉工芸は、岩手県九戸村の風土にこだわり、ほうき草の栽培から製品の制作まで一貫してつくっている。南部箒の材料となるほうきモロコシは、使う人の健康と環境保全を考えて無農薬で栽培し、ひとつひとつ職人の手作業で丁寧に仕上げられる。絹糸を使って編み込まれた美しい編模様は熟練の職人技。使い方と手入れ次第で数十年使うことができる逸品。
《はりみ》
凛とした佇まいが美しい柿渋和紙のはりみ。江戸時代からの老舗、白木屋傳兵衛の職人による手作業で、和紙に柿渋を塗って仕上げたもの。“はりみ”とはチリトリの原型、また、“実がはいる”という意味も持ち、昔から縁起物として親しまれてきた。ヌメ革のひも付きはniguramuオリジナル仕様。
《江戸屋×中川政七商店》
江戸屋と中川政七商店のコラボによるオーストリッチと馬毛の美しいブラシ。ディスプレイはオーストリッチの羽はたき、キーボードの隙間は馬毛ブラシで掃除ができるパソコン用。テレビや本棚、サッシの溝の掃除にも便利。3000種類以上のさまざまな刷毛やブラシを作り続けている江戸屋は、創業から300年近い歴史を誇る老舗。
《江戸箒》
江戸時代末期、畳の住居のために江戸前の箒としてうまれた江戸箒は、コシが強く柔らかいほうき草を使用しているので、力を入れなくても掃き出しやすいのが特徴。テーブルまわりや洗面所など小スペースで活躍する小箒は、江戸らしい粋な色糸使いも魅力。白木屋傳兵衛は、1830年に銀座で創業し、江戸の終わりごろから江戸箒を作りつづけている老舗。
《OPEN STUDIO》
熊本のアーティスト、高光俊信氏による箒とちりとり。高光夫妻主宰のOPEN STUDIOで、薪ストーブをつくり始めたことをきっかけに箒作りをスタート。ほうきの基礎をアメリカで学び、独特の感性で他に類のない掃除道具をつくる。すべての箒は、絡む性質の優れた“ほうきモロコシ”を使用した手作業によるもので、個性的なフォルムと糸使いが特徴。また、色付けにこだわった銅製のちりとりや、削り出した木製ちりとりなど、工芸品のようなアイテムを取り揃える。
商品価格は、消費税別の本体価格です。