Architecture
“普通じゃない家”を求めて遊びに来ている、
そんな風に日々楽しい家
“普通じゃない家”の家づくりはまずは建築家探しから始まった。休みになると中目黒から渋谷あたりにかけて住宅街をずっと歩いて回ったという。
「雑誌や本も見たしインターネットでもかなりの数を見たのですが、写真と実物はやはりインパクトがまったく違うので。たまたますごいなと思った建物が何軒かあったのですが、そのうちの2軒が同じ建築家の建物だったんです」。そして、その建築家の遠藤政樹さんに設計を依頼することにしたという。
“普通じゃない家”とは
宇野澤さんの“普通じゃない家”とはどういうものなのか。たとえば階段について言えば、建築家には「階段とはこういうものだ」というような固定概念にとらわれず、「こういう使い方をしたい」などというイメージをどんどん伝えていったという。
「要は階段としての機能だけしかない階段なんかいらないということですね。ある構造物があってそこを結果的に階段としても使っているという感じで」
また、基本的に部屋はひとつでいいとも考えていたという。「部屋を区切ると使い勝手はよくなるかもしれませんが、狭くなるし各部屋の持つ意味が限定されてしまう。できるだけ空間をうまく使って、その空間の中に部屋と階段と玄関を取り入れてほしいということをお願いしました」
宇野澤さんの愛車はロータス・ヨーロッパ。できれば“見せ車庫”的なものにしたいというのが希望だった。また、スーパースターのコレクションは100足ほどあったという。
予想外の案が出てきて
こうした要望に対して建築家から出てきた案は、吹き抜けに2方向から上れる階段をつくり、傾けた曲面壁に収納棚をつくるというものだった。
この案は宇野澤さんにとって予想外のものだった。空間に動きが感じられて“楽しそうな感じ”はとても伝わってきたが、同時に、この家を建てたらどんなことになるのだろうという不安がよぎったという。しかし間もなく、こうしたデザインの方が逆に自分に合っていて面白いものになる、と思い直しそのままお願いすることにした。
「誰もが見ていいと思うのは、たぶん僕的には飽きるかつまらないものにすぐ変わるだろうな、というのがあったんですね。見た瞬間に、あ、面白いなと思ったけれど、これを建てたらどうなるのかなというのがその次に来ました。その波が来たので、これが逆に前に進もうという推進力になりましたね」
楽しさが止まらない
そして、この“普通じゃない家”に住み始めて2年弱。家に遊びに行く、そんな感覚は今でも変わらずあるという。
「今日は良く働いたから家に帰ってゆっくりビールでも飲もうというのが僕はいやで。家に帰ってきてほっとするというのも当然ありますが、どちらかというと家にいるときも遊びに来ているという感覚、いまだにそれがありますね」
このようにしていると1日の疲れがふっと飛んでいってしまうのだとも。楽しくて癒される、家にそのような機能をもたせることができることに感心すると同時に、そんな家を自分でもと、ふと思い描いてみた。
設計 遠藤政樹/EDH遠藤設計室
所在地 東京都目黒区
構造 鉄骨造、一部RC造
規模 3階建て
延床面積 126.85m2