Family
子どもたちがのびやかに過ごす家族が自然と集まる
キッチン中心の大空間
子どもをのびのび遊ばせたい
宮田さんご一家は、現在、ご夫妻と遊び盛りのお子さん4人の6人家族。医療業務に従事するご主人の仕事の都合で3年間住んでいたカナダから帰国してまもなく、一軒家を建てることを決意した。「住んでいたバンクーバーは、自然が豊かで安全で、なにより子どもが大事にされていると感じられる、“子どもに優しい街”でした。帰国して住んだ集合住宅では、物音がうるさいと苦情があり、子どもに歩き方を注意したりして窮屈な生活でした。子どもをのびのび遊ばせられないと感じる日々でしたね。3人目の子どもが生まれたこともあり、思い切って戸建てを建てることにしたのです」(奥さま)
ちょうど奥さまの実家近くに良い物件を見つけ、家を建てたのが4年前。周辺には、公園や緑地、遊歩道など子どもたちの遊び場がそこここにある。「子どもたちは学校から帰ってくると、すぐに外に遊びに行きます。この辺りは子どもが多く、みな外で自由に遊んでいますね」と、周囲に気兼ねすることなくのびのびとした生活が戻り、微笑む奥さま。
新居では4人目のお子さんも生まれ、ますますにぎやかな毎日を過ごされている。走りまわるお子さんたちをおおらかに見守るご夫妻のやわらかな表情が印象的だった。
カナダでの生活を活かして
「早く家を建てて、集合住宅を出たかった」(奥さま)といわれるだけに、家を建てるにあたっての構想期間は約3カ月。設計を担当したエス・デザイン㈱一級建築士事務所の北原啓子さんが、スピーディーながらもご夫妻の要望をしっかりキャッチし、希望どおりの家を実現してくれたという。
ご夫妻の1番の希望は、キッチンを中心とした広いリビングルームで、子どもたちが遊ぶスペースが一望できることだった。カナダで住んでいた家の住み心地が良く気に入っていたため、参考にしたという。「前の集合住宅では、キッチンは別の部屋で、壁に向かって一人で料理するのがさみしくて。その反動で、こんなに広々とオープンなキッチンにしてもらいました」と笑う奥さま。
周囲を回遊できるアイランドキッチンからは、リビングダイニングはもちろん中庭や玄関までフロア全体を見渡せ、子どもたちの様子を見守りながら料理ができ、家事もはかどる。仕切りを設けない開放的なLDKに家族が自然と集まってくるようだ。
中庭のウッドデッキをDIY
建築当初は、隣の敷地は駐車場だったという。その後、家が建った場合の日当たりを考慮し、あらかじめ中庭を設けた。当初、この中庭はタイルが敷いてあり、屋根もなかったそう。外で遊ぶことが大好きな子どもたちが、雨の日でも外の空気を吸って遊べるようにと、住み始めてから屋根を取り付けた。また、外に出やすいようにリビングと同じ高さのウッドデッキを設置。これはなんと、ご主人が3、4カ月かけてDIYした力作である。「仕事から帰ってきて、毎晩2枚ずつ、コツコツと貼っていきました。完成したときは、ちょっと寂しかったですね」と笑うご主人。ウリンという耐久性のある硬い木を、特殊のビスで留めていったそうだが、全て独学で行ったというから驚く。
奥のフェンスや大きなプランターの木もご主人がDIYしたもの。「ウッドデッキを造ったら、子どもたちが自由にリビングと行き来するようになりました」と、子どもたちにも大好評で、苦労した甲斐があったようだ。
シンプルな空間が快適
お子さんが4人もいると部屋も雑多になりがちと思うが、宮田邸は物が少なく、すっきりシンプル。「片づけるのに時間がとられると子どもたちと遊ぶ時間がなくなるので、今は何もないのが楽ですね。ゴチャゴチャしていると気持ちも落ち着かないですから」と奥さま。掃除しやすいようにと家具も最小限しか置いていない。「常に断捨離です」とご主人が言われるように、物を増やさないよう心掛けているそうだ。
そんな宮田邸を優しく彩るのがグリーンの存在。大きめの観葉植物から、庭の草花をカットした小さなものまでさりげなく飾られている。「お世話が大変ですが、内外ともに植物をもっと増やしたいですね」とは、自然が好きなご夫妻らしい。
「子どもが大きくなれば、重厚感のあるアンティークの家具なども置いてみたい」と話す奥さま。このシンプルな空間は、お子さんたちが小さい今、最も安らげるものであり、今後家族の成長に伴い、そのときどきの暮らしに合った住まいへと表情を変えていかれることだろう。