Style of Life
クライミングウォールのある家 開放感と使い勝手を追求
心地よい光が差し込む住まい
理想の家を求めて、設計を依頼
東京都と千葉県の境界を流れる江戸川にほど近い千葉県・市川市の閑静な住宅街。この一角に暮らしているのは、デナリやK2などの海外登山を経験している登山家であり、WEB・動画ディレクター、プロモーターとしても活動する佐々木理人さんと妻・喜久子さん、そして、1歳の娘さんの3人家族だ。
「以前は賃貸マンションの3LDKに夫婦二人で暮らしていました。3年ほど前から将来設計を考えて、家づくりを検討するようになりました」という理人さん。喜久子さんの実家がある市川市にエリアを絞り土地探しからスタート。条件に合う土地を見つけた佐々木夫妻は、設計をディンプル建築設計事務所の主宰・堀泰彰さんに依頼した。
「もともとは別の建築事務所に依頼していたのですが、私たちの要望があまりフィードバックされずに不満がありました。そんなときにたまたまネットで見つけて、素敵だなと思ったのが、堀さんの手がけた住宅でした。夫に話したところ、偶然にも堀さんと夫が知り合いだったため、早速堀さんに相談させていただきました」と喜久子さん。理人さんも「急遽相談することになったのですが、空間を余すことなく活用して、私たちの要望に合うようなデザインを提案していただきました」と振り返る。
広い玄関スペースと開放的なLDK
佐々木邸は1階に理人さんの仕事場を兼ねた玄関スペースと収納、水回りを配置。2階にLDK、3階に寝室と子ども部屋を設えている。
娘さんが生まれる前は夫婦でもよく山登りをしていたという佐々木さん夫妻。家づくりにあたって特にこだわったのは、山道具の収納と運びやすさを重視した広々とした玄関スペースだ。
「以前の住まいでは3階まで重い荷物を持って昇り降りしなければならなかったので、山道具を1階でまとめて収納し、土足でも持ち運びできるような広い土間空間にしたいということを最初のプラン作成時に堀さんにお伝えしました。また、土地が11坪と比較的小さい敷地なので、収納スペースはできるだけ確保してもらいました」(理人さん)。
メインの生活空間である2階LDKには、吹き抜けとバルコニーにつながる大きな窓からたっぷりと光が差し込み、明るく開放感あふれる空間が広がる。
「全体的なテイストは、堀さんが過去に手がけられた事例の雰囲気をそのまま取り入れてもらいました。家の中にいても開放感があって、とても明るいので、窮屈さを感じることはありません。窓が多いので寒くなるのかな、と少し心配もしていたのですが、気密性が高いため、冬でも快適に過ごすことができています」(喜久子さん)。
難易度も追求したクライミングウォール
佐々木邸の大きな特徴であり、理人さんが強く要望したのが、外壁に設えた高さ約9mのクライミングウォールだ。
「南東方向に開けるように角度をつけたりして難易度にもこだわっています。単純な直角ではなく登るにつれてオーバーハングするように計画しています。外部でここまでのクライミングウォールを設置するのは珍しいのではないかと思います」と堀さん。何度も現地に足を運んで検討を重ね、プライバシー面も考慮して設計を進めた。
佐々木さん一家がこの家で暮らし始めてから、もうすぐ2年が経とうしている。「コロナ禍により在宅も増えたので、家づくりのタイミングとしても良かったかもしれないですね」と夫妻は声を揃える。
最後にこれからの楽しみについて伺うと、「子育てもあるので、山登りはできていないのですが、子どもが成長したら家族で山登りやキャンプもできればいいなと思っています。さらに今は使っていない子ども部屋をこれから作り込むのが楽しみです」と理人さん。家族の成長とともに、たくさんの思い出がこの家に刻まれていくことだろう。