Green
焼き立てパンと木の香り自然を楽しむ
贅沢な日常
目の前の保護林が決め手に
「家の南側の雑木林を主人が気に入って、この土地に決めたんです」
と、髙橋郁代さん。ここは埼玉県ののどかな郊外の住宅地。市の自然保護林にも指定されている雑木林が、テラスの前に広がる。
「本当はもっと山の方に行きたかったんですけど、妻との妥協点でここに落ち着きました」
山好きな夫・孝次さんが目指したのは、自然と調和する一軒家。市街地にありながら、自然も豊かなこの場所は、ふたりともに納得の場所だった。更地だった土地を購入し、4人の家族が暮らす家をプランニング。
「なるべく木を使って、自然が感じられる家にしたかったのですが、かといってログハウス風にもしたくなかったんです。一応、街中なので、外から見たら普通の家で、街並みになじむ感じにしたかったですね。設計士さんにひとつひとつ希望を伝えて、相談して決めていきました」
木にこだわった家づくり
色々な家を見て回り、外壁や屋根などのイメージを固めていった。その結果、外壁は暖色系に、内装は木を活かした造りに。特に木材は、近隣の飯能市で採れる西川材にこだわった。
「山好きなので知っていたのですが、知る人ぞ知る地元の良質な建材なんです。地元ということで応援したい気持ちもあり、リビングの床はヒノキ、子供部屋はスギを、工務店に頼んで用意してもらいました」
家の中に入ると、ほのかに木の香りが漂い、森の中の家を訪れた気分になる。その空間は、温かく、ヒーリングムードに満ちている。
「どうしてもやりたかったのは、木枠の窓です。金属の枠だと無機質で味気ないので、お風呂以外はすべて木の枠にしました。密閉性も高くて、結露することがないですね」
山の中の家を思わせる
雑木林の景観を活かすために、リビングは2階に設けて、広めのウッドデッキのテラスを設置。子供部屋はあえて1階にもっていった。
「リビングの窓から雑木林が広がるようにしたいと思いました。あとは部屋数を少なめに、その分リビングを広くとって、なるべく家族みんなが顔を合わせられるように、ゆったりと食事ができるようにと考えました」
天井高のある広々としたリビングにはロフトがあり、そのためログハウスの雰囲気も。
「部屋数を少なくした分、せめてひとりになって寛げるスペースがあるといいと思って、ロフトを設けました」
孝次さんが自宅で仕事をするときは、登ってはしごを取ってしまい、子供たちがあがってこられないようにするのだとか。
「でも、結局あまり使うことはなくて。オーディオセットを置いてリビングに音楽を流したりしていますね」
キッチンは妻のこだわり
妻・郁代さんがこだわったのは、キッチン。清潔感のある白いタイルに、木のテイストが温かい雰囲気を出している。
「システムキッチンは使いたくなかったんです。インテリア雑誌などを参考にして希望を伝えて、設計してもらいました。日常使いのものがすぐに取り出せるようにとか、アイランドにはオーブンを入れるための収納がほしいとか、だいぶわがままに造ってもらいましたね」
床には、ショールームで見つけたテラコッタ風のタイルを貼ってもらった。換気扇や食洗器などの電化製品も、重さを感じさせる黒が嫌で、白いカッティングシートを自分で貼って目隠し。
「あまり上手ではないので、きれいにはできないのですが。昔はアメリカンアンティークが好きだったのですが、今は気分が違っていて、ダークな色のキャビネットから秤まで、何でも白で塗っています」
白と木目のシンプルなキッチンに、ダーナラホースなどの雑貨や、キッチングッズがインテリアのように映える。そのこだわりのキッチンでは、天然酵母を使ったパン教室も開催されている。
「みんなを呼んで、お茶を飲むつもりで教室を開いたんです。試行錯誤の結果、ホシノ天然酵母を使ったパンを作っています。自宅のオーブンで手軽にできるもの、が基本ですね」
自然を堪能する贅沢
香ばしい焼き立てのパンは、テラスに出て頂くことも。小鳥のさえずりも聞こえる森を前に、カフェタイムが繰り広げられる。
「テラスは教室で利用することもありますし、家族でブランチをしたり、バーベキューをしたりすることもあります。子供が小さい頃は、プールを出して遊ばせたりもしていましたね」
郁代さんが手をかけて育てている、ハーブや多肉植物なども、ウッドデッキを彩る。四季折々の表情を見せる森を前に、焼き立てのパンを家族でほおばる幸せ。自然と調和する贅沢な日常が、ここにはある。