Hobby

三角屋根の広々空間 家族で楽しみたいから
音楽室はリビングの横に

1階は家族の共有空間

音楽が縁で知り合った井上真史さんと沙織さん。おふたりが家を建てる時に必ず作りたかったのが、楽器の演奏を楽しむための部屋……音楽室だったそう。
「音楽室はリビングのすぐ近くに作りたいと思っていました。たとえば地下などの、リビングから孤立した場所に作ってしまうと、だんだんと足が遠のいてしまう気がしました。家族団欒のすぐ側に音楽室が欲しかったんです」

家を建てるための土地を探すのに約1年かかったそうだ。そして見つかったのが、目の前が公園、窓から富士山が見える抜群の環境にある高台の土地。
そして希望通り、リビングからお互いに見える距離に音楽室を作ることができた。実現させたのは建築事務所まんぼうの一條さん。

「まんぼうさんは、TVを見ていて知りました。紹介されていたお宅も、マイペースで泳ぎ続ける“まんぼう”という言葉の響きも気に入りました。キッチンや畳の小上がり、音楽室やロフトなどのいろいろな場所が、リビングから見渡すことができます。そんな自分たちが思い描いていた家を形にしてくださいました」


リビングと音楽室はクリアガラスの窓でゆるやかに隔てられている。
リビングと音楽室はクリアガラスの窓でゆるやかに隔てられている。
音楽室でジャズドラムを楽しむ真史さん。外側の窓は2重サッシにしている。沙織さんは実家から運んだピアノでジャズを楽しむ。
音楽室でジャズドラムを楽しむ真史さん。外側の窓は2重サッシにしている。沙織さんは実家から運んだピアノでジャズを楽しむ。


表面の目が細かい化粧ブロックを積んだカウンターキッチン。シンクが外から見えない高さになっている。
表面の目が細かい化粧ブロックを積んだカウンターキッチン。シンクが外から見えない高さになっている。
窓の向こうには広々とした公園が広がる。「引っ越しの時、ダイニングテーブルは吊り上げてこの窓から搬入しました」
窓の向こうには広々とした公園が広がる。「引っ越しの時、ダイニングテーブルは吊り上げてこの窓から搬入しました」
小上がりの畳スペースは、佑真くんの遊び場になっている。ゲストのための部屋になることも。
小上がりの畳スペースは、佑真くんの遊び場になっている。ゲストのための部屋になることも。


忙しい夫婦を助ける間取りの工夫

家の間取りは、忙しいご夫婦の動線がコンパクトにまとまるように考えられている。
「リビングの近くに洗面所を作ったので、慌ただしい朝でも、顔を洗ったり歯を磨いたりの身支度のために階段を上下する必要がないのがとても便利です。2階の洗面所の近くに洗濯機置き場も作りました。共働きなので昼間は家に居ないことが多く、部屋干しがマストです。物干し用のバーは、使わない時は上げておいて、必要な時に下ろすことができます。天窓から明るい光が射すので、とてもよく乾きます」


マグネット塗料と黒板塗料を重ねた壁は、真史さんと沙織さんが構造合板に直接ペイント。佑真くんも大のお気に入り。
マグネット塗料と黒板塗料を重ねた壁は、真史さんと沙織さんが構造合板に直接ペイント。佑真くんも大のお気に入り。
「2階に洗面台を作りました。朝の慌ただしい時間に2階で身支度が整えられるのがとても便利です」。右側の扉の中に洗濯機。物干しのバーは上下できる。
「2階に洗面台を作りました。朝の慌ただしい時間に2階で身支度が整えられるのがとても便利です」。右側の扉の中に洗濯機。物干しのバーは上下できる。
家族構成が変われば、本棚の後ろのスペースに臨機応変に部屋を増やすことができる。三角屋根の白の壁の内側はロフトになっている。
家族構成が変われば、本棚の後ろのスペースに臨機応変に部屋を増やすことができる。三角屋根の白の壁の内側はロフトになっている。


三角屋根の高い天井がとても気持ちいい。伸びやかな垂木がダイナミックな表情を作っている。
三角屋根の高い天井がとても気持ちいい。伸びやかな垂木がダイナミックな表情を作っている。
「エジソンバルブを使ったダブルソケットランプは、青山の『オルネ  ド  フォイユ』のオリジナルです」
「エジソンバルブを使ったダブルソケットランプは、青山の『オルネ ド フォイユ』のオリジナルです」
1階から2階へ。音楽室の黒い木製サッシの窓枠が見えてくる。
1階から2階へ。音楽室の黒い木製サッシの窓枠が見えてくる。


家族構成の変化に柔軟に対応

三角屋根を生かした高い天井高の広々とした2階に、黒板塗装の壁と本棚に囲まれた一角がある。扉をつければ、ここを子供部屋にすることができる。家族が増えたら、分割して2部屋にすることも可能だ。上にロフトもある。

竣工は昨年の5月。手付かずだった外構の植栽にいよいよとりかかる。
「傾斜を生かした庭を作りたいと思っています。まんぼうにも相談しています。どんなアイディアをいただけるのか、楽しみにしています」


2階のテラス。雨の日でも濡れずにゆったりとくつろげる。
2階のテラス。雨の日でも濡れずにゆったりとくつろげる。
テラスの雨の当たらない場所に、多肉植物やサボテンを並べたコーナーが。


見晴らしのいい横浜市内の傾斜地に建つ。外構の植栽はこれからのお楽しみ。
見晴らしのいい横浜市内の傾斜地に建つ。外構の植栽はこれからのお楽しみ。
玄関の裏手から庭に出られるようになっている。スノコをDIYして、玄関の奥行きを生かしている。
玄関の裏手から庭に出られるようになっている。スノコをDIYして、玄関の奥行きを生かしている。


井上邸
設計 一條美賀+一條太郎(まんぼう)
所在地 神奈川県横浜市
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 126.69m2