ジャパンメイドにこだわった服作りを行う「SEA」のクリエイティブディレクターRIEさんが、衣食住にまつわるクラフトショップ「S-STORE」をオープン。住宅街に佇む小さな空間には心地いいアイテムが静かに並ぶ。
荏原台地の一角にあり、起伏の豊かな地形をなす世田谷区深沢。桜のトンネルをはじめ、イチョウやハナミズキなど並木が多く、緑豊かな住宅地の顔を持つこの街で、3月19日にオープンしたのがクラフトストア「S-STORE」だ。アパレルブランド「SEA」のクリエイティブディレクターRIEさんが考える、衣食住のかたちを投影したミニマルな空間で、暮らしに寄り添いながら長く愛用したいアイテムの提案を行う。
衣は「SEA」をはじめ、新たに立ち上げたハウスブランド「S」を中心に構成。いずれのブランドも生地、縫製をジャパンメイドにこだわって作っている。それは一緒にものづくりをする地方の工場とそこで脈々と受け継がれてきた技術を次の世代につないでいきたいからだという。その思いは加工や付属品など細部に至るまでも同様で、全てを通してストーリー性のあるものづくりを行う。数あるアイテムの中でも特に人気なのがデニム。「SEA」のデニムは岡山の井原にある老舗の旗屋で織り上げているもの。その作業は1日約50cmしか生産することができないという貴重な旧式の重力織機で行われている。それにより、柔らかなアタリとルーズな風合いが出やすく、デニムを育てていく愉しみを実感できるという。「S」では徳島藍で染められた糸を使ったセルヴィッチデニムを発表した。無駄をそぎ落としたミニマルなものをまとうことで着る人の内面まで引き出し、着る人にとって自分らしく、心地良い時間を提供したいという。
尊敬できる職人たちとの出会い
食を構成するのは、RIEさんが日本全国、海外を旅する中で出会った作家6人の作品。ものづくりに対する考えに非常に感銘を受けたというRIEさんは、ふだんの生活でも実際に愛用し、今回「S」をオープンするにあたって取り扱いを直々に依頼したという。6人の作品はいずれも独特の質感や色を持ちながら、どんな料理にもすんなりとなじむ汎用性の高さ、ものとしての強度を感じる。また、同じ作家でもシリーズによって驚くほど表情が違うのもおもしろい。人の手によって丁寧に作り上げられる器は、同じものが一つとしてない。ECショップではその微差までは伝わらないからこそ、実際に目で見て、触れて、自分だけのお気に入りを選びたいもの。
「S-STORE」は店づくりのコンセプトに「余白」を掲げており、訪れる人が「もの」との対話をじっくり楽しめるような空間作りを行っている。
心地いい時間を提供
住にまつわるアイテムは、天然由来で作られたヘアケア、ボディケアアイテムなどのオリジナルプロダクト「S organics」のほか、日本初上陸の「YOKE」のアイテムを展開。「YOKE」はヨガとアーユルヴェーダの基礎に根ざしたものづくりを行うカリフォルニア発のホリスティックボディケアブランド。古代から受け継がれた知恵をベースに、天然由来で作られたアイテムは奥行きのある豊かな香りが特徴だ。
店から歩いて10分ほどの場所にはドッグランを有する駒沢オリンピック公園があるように、このエリアは愛犬家たちが集う街としても知られている。「S-STORE」店内は犬の同伴も可能なので、散歩の途中にふらりと立ち寄る人もいるそうだ。訪れる人が自然体で落ち着いて「もの」と向き合える、そんな時間をこれからも大切にしていきたいという。
shop info
S-STORE
東京都世田谷区深沢5-5-11 1F
03-6432-2358
12:00〜20:00
月曜休(月曜日が祝日の場合は翌日休。)