Fashion
アトリエショップ-1-Hender Schemeの
初の旗艦店「スキマ」
ジェンダーを飛び越え、自由でクリエイティビティ溢れるレザーアイテムを展開する、Hender Schemeが初の旗艦店を恵比寿にオープンさせた。パーツをすべて革で再現したスニーカーのオマージュコレクションのほか、旗艦店限定のアイテムにも注目だ。
自動車部品工場を生かして
表現した、ボヤけた世界
Hender Schemeが初の旗艦店「スキマ」を構えたのは恵比寿駅と広尾駅のほぼ中央に位置する閑静な場所。50年間、自動車部品を作る工場として使われていた空間に惹かれてこの地に出店することを決めたという。「黒か白かではなく、その両色を混ぜて出来上がる灰色のような、モノやコトの狭間や隙間にあるボヤけた世界を表現したい」という思いを反映させ、内装は工場の面影を残し、長い時間をかけて作り出された灰色の壁や天井をそのまま生かして作られた。
この空間にHender Schemeの代表的なアイテムの革靴、バッグや小物、旗艦店だけのオリジナル商品など、フルラインナップがずらりと並ぶ。
店名の「スキマ」は、空間を構成する灰色=黒と白のスキマという意味のほかにも、街と街のスキマ、有機質と無機質のスキマ、モードとクラフトのスキマといったさまざまな「スキマ」が存在することを意味しており、店内ではこうした要素を反映し、多岐にわたるアイテムをフラットにディスプレイしている。
革の可能性を広げるアイテム
Hender Schemeは「Gender scheme」を発展させて作った造語だ。ジェンダー(社会的、文化的な性差)にとらわれず、その差を超えて自由にデザインしたものづくりを行っている。代表的なアイテムのひとつに革靴がある。外見こそはユニセックスだが、男女の骨格の差や筋肉の付き方など生理的な性差は尊重し、木型やカップの深さなどで若干の差をつけている。
2010年AWに革靴からスタートしたHender Schemeは現在、財布やブックカバーなどの小物類、アクセサリーやネクタイなどのファッションアイテム、ダストボックスや椅子といったインテリア雑貨を幅広く展開している。男女共に人気が高いピッグレザーのバッグはあえて張りのないスエードを使用することで、柔らかく、たたんでしまえる点が特徴で日常使いに最適。また、靴を作るときに出たはぎれを利用して作ったコースターやブックカバーもある。こちらはピンクやグリーンなど明るい色も展開しているので、迷いながら選ぶ楽しみを味わってほしい。
リクリエイションの小部屋
店内の一角には木に囲まれた小さな部屋がある。ここは「リクリエイション」をテーマにした空間で、直営店だけの商品を展示・販売している。リクリエイションは「遊び、楽しむ=Recration」と「再構築する=Re-creation」の両方の意味を持ち合わせており、リメイクをテーマにした遊び心溢れるアイテムを展開。たとえば、私たちが見慣れたパイプ椅子。背面と座面に使用されている塩化ビニールをヌメ革に張り替えて再構築することで、洗練されたルックスに生まれ変わり、経年変化によって革の表情が変わる楽しみも加わった。このように、リクリエイションでは見慣れたアイテムや役目を終えたアイテムに革をほどこすことで、新しい魅力を付加していく。基本的に限定数で製作し、不定期で内容を変えていくという。
また、カリモク木工とコラボレーションしたシューメーカーチェアとサンダルにも注目したい。椅子はHender Schemeのブランドロゴの「H」を表現したメープル材のフレーム、背部分に使用したヌメ革が特徴で、木も革もいずれも長い時間をかけて育ていく楽しみがある。