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ACTUS青山店永く使い続けたい逸品
手仕事の家具展

AOYAMA_03

TOKYO DESIGNERS WEEKの会期にあわせて、アクタス青山店で、愛され続けるべき手仕事の家具たちを一同に集めた企画展「永く使い続けたい逸品、手仕事の家具展」が開催される。

都市で穏やかに暮らすための手仕事の家具

木製の家具の魅力とはなんだろうか。この展示会に際して、主催者はこんなことを語っている。建築家ルイス・バラガンの自邸は、住宅建築の傑作として知られているが、それは太古の人々が洞窟を住居としていたときに感じていたのと同じ、平穏や安堵という感覚を体現する建築であったから。住宅に平穏を求めたバラガンは、また家具の重要性もよく理解していた。いま、バラガンのような住宅を手に入れるのは不可能だが、ていねいな手仕事で作られた家具を手にすることは、日々を平穏に過ごす住まいに近づくことかもしれない。そう言うのだ。確かに、デザイナーと職人とが心血を注いだ家具を日常的に使うことは、心を豊かにし、バラガンの表現した住まいの感覚に近づくことなのかもしれない。

今回の企画展は、アクタスとマルニ木工による深沢直人デザインの「AOYAMA」、良質なマホガニー材を使用した北欧デザインの「HORSESHOE」、古きよき北欧の技を現代に受け継ぐ「H.W.F」、修復したデンマーク製のユーズド家具など、ていねいな手仕事の逸品が集められている。


AOYAMA

AOYAMA LOVE TREE

世界的なデザイナーである深澤直人氏がデザインした「AOYAMA」は、前後左右、どの角度から見ても美しく、デザイン上の邪魔なノイズがどこにもない。そして座りやすい。完成した椅子の重量は4.2キログラムしかない。軽量であることは、使い手の日々のストレスを軽減する。

そもそも木工製品にとって、細さや軽さと同時に、強度や耐久性を高めることは極めて難しい。そのため、「AOYAMA」の接合部には、数多くの見えない工夫と手間が掛けられている。工場では、機械による精密な加工と、熟練の職人の手仕事をバランスよく連携させ、軽くて工芸品のように美しいこの椅子を、手が届く価格で作っている。


HORSE SHOE

HORSE SHOE
1940年代以降のデンマークで、美しいデザインの木製家具が生まれたのは、優秀なデザイナーの力だけではなく、木の特性を知り尽くした、優れた木工職人との信頼関係があったからだと言われている。デンマークを代表する家具デザイナーであったハンス・J・ウェグナーも、家具工房ヨハネス・ハンセン社の職長であったニルス・トムセンとの出会いがあったからこそ、椅子の中の椅子と呼ばれる名作、「ザ・チェア」を発表することができた。
上から見ると馬蹄形に見えることから「Horse Shoe」と名付けられたこの椅子は、世界的に注目を集めるデンマークのデザイナー、ハンス・サンガイン・ヤコブセン氏による。ものづくりを熟知しているデザイナーが少なくなったと言われるデンマークで、職人と対等に会話ができるデザイナーの一人である。「素材や職人たちと向き合って作り上げていくプロセスにこそ、より美しいデザインが生まれる秘訣がある」と語る。

H.W.F

H.W.F
H.W.F


何らかの理由で元々の所有者の手を離れた、いわゆる中古品を求める人がますます増えている。キーワードは、Reconnect(再びつなぐ)、Recreate(再創造する)、Revalue(再評価する)。家具も中古品に対する抵抗感は薄れている。逆に、1950年代から70年代頃にデンマークで生産された、一般家庭で長く使われてきた中古家具は、補修作業が間に合わないほどの人気だ。
いつかは枯渇するデンマークのユーズド家具。半世紀前の職人たちが、たとえ自らの名は世に残らずとも丹精を込めて、永く愛される家具を作っていたように、「H.W.F」は、当時とまったく同じ工程でこれらを再生産し、その思いやこだわりを現代の作り手たちによって受け継いでいく新たなプロジェクトである。

Information

永く使い続けたい逸品、手仕事の家具展

10月25日(土)〜11月23日(日)

ACTUS青山店 
港区北青山2-12-28 1F
tel:03-5771-3591
11:00 – 20:00 無休