造形作家の住む家ほとんどの家具が手作り創作と暮らしが共にある住まい

造形作家の住む家ほとんどの家具が手作り
創作と暮らしが共にある住まい

造形作家の横溝 創さんが、3年間師事したKINTAさんが作るテーブルと、運命的な出会いをしたのはほんのふとしたきっかけだった。

都内の陶芸ショップで仕事をしていた奥様の夕子さんに誘われ、陶器を見に益子へ。ふらりと立ち寄った〈スターネット〉カフェで、KINTAさんのテーブルの存在感に一目惚れする。創さんはすぐに弟子入りをしたい旨の手紙を書いたそう。それまでの旅とアルバイトの暮らしから一変、頭に手ぬぐいを巻いて師匠の元へ通う毎日に。

「絵は好きで描いていましたが、実はそれまで家具に興味を持ったことはなかったんです。1台のテーブルと出会ったことで今の自分がありますから、ほんとうに人生って不思議なものです」


薪ストーブは、入居後に新しく買ってきて据え付けたもの。薪をストックしてある棚は横溝さんの手作り。

薪ストーブは、入居後に新しく買ってきて据え付けたもの。薪をストックしてある棚は横溝さんの手作り。

アウトドアチェアの定番、カーミットチェアの仕様そのままに、脚を鉄、座面をレザーに。最高の座り心地!

アウトドアチェアの定番、カーミットチェアの仕様そのままに、脚を鉄、座面をレザーに。最高の座り心地!

漆の器の上になにげなく並べられたもののチョイスと組み合わせに、センスが光る。

漆の器の上になにげなく並べられたもののチョイスと組み合わせに、センスが光る。

丸いカッティングボードのサイドに刻印された見覚えのある数字の列、3.1415……。円周率を入れる楽しいアイディア。

丸いカッティングボードのサイドに刻印された見覚えのある数字の列、3.1415……。円周率を入れる楽しいアイディア。

釘の目盛り、中央のドロップ缶の色味……、見ていると楽しい気分になる掛け時計。「数字の並びに特に意味はないです(笑)」

釘の目盛り、中央のドロップ缶の色味……、見ていると楽しい気分になる掛け時計。「数字の並びに特に意味はないです(笑)」

手鏡。以前ここに住んでいた植木屋さんが残していった剪定ばさみの一部を持ち手に使っている。

手鏡。以前ここに住んでいた植木屋さんが残していった剪定ばさみの一部を持ち手に使っている。

食器棚の把手も、植木屋さんの道具を拝借。そう、刈り込み用のハサミの把手の部分です。

食器棚の把手も、植木屋さんの道具を拝借。そう、刈り込み用のハサミの把手の部分です。


横溝宅には創さんの作るキュートで遊び心のある家具や小物にたくさん出会うことができる。鉄のパイプを使ったチェアは、たくさん並べて置かれていても印象が軽やか。古い日本家屋の包容力がそうさせるのか、個性的な作品が心地よさそうに横溝家で生活を共にしている。

実はこの家の以前の住人は植木職人だったそうで、たくさんの道具が残されていたそう。刈り込み鋏の把手などを家具や小物に再び使うことで、道具を新たに甦らせる創さんの作品には、ついつい笑顔がこぼれてしまう。

12年前に東京から益子への移住を決意してから、この家が3軒目の住まいになるそう。最初の住まいはアパート、次の木造住宅も手狭だったので、やっと広い仕事場を同じ敷地内に確保できたのが今の家。自分たちで床をフローリングに張り替え、壁や天井にペンキを塗り、薪ストーブを据えた。

「畳の床を上げてみたら基礎が痛んでいて、そこから手を入れないといけないとわかるなど、始めに考えていたよりも大変なリフォームになりました」と創さん。


鉄、木材、革……、様々な素材を扱う創さんのアトリエ。奥は主に材料をストックするスペース。

鉄、木材、革……、様々な素材を扱う創さんのアトリエ。奥は主に材料をストックするスペース。

夕子さんのモビール。上のパーツは2×4の建材。「木材の部分は焼却されたのですが、残ったパーツがいい感じだったんです」

夕子さんのモビール。上のパーツは2×4の建材。「木材の部分は焼却されたのですが、残ったパーツがいい感じだったんです」

『HAJIME STUDIO』では、アルファベットを使った鉄の看板を作る仕事が多くなっているそうだ。

『HAJIME STUDIO』では、アルファベットを使った鉄の看板を作る仕事が多くなっているそうだ。

出てこないし入らない……巨大な巻き尺は、益子の『ヒジノワ』で開催された「役に立たないもの展」への出品作品。

出てこないし入らない……巨大な巻き尺は、益子の『ヒジノワ』で開催された「役に立たないもの展」への出品作品。

夕子さんの作業スペース。自分たちで床にコンパネを張り、天井と壁をペイント。

夕子さんの作業スペース。自分たちで床にコンパネを張り、天井と壁をペイント。


子どものオモチャも家具も、お父さんの手作り。

横溝家は家族4人。遊び盛りの長男の花人くん、次男の山人くんのオモチャは、創さんの手作りのものが多い。コリントゲーム、将棋盤……。子ども用の椅子も、勉強机ももちろん創さんの手作りだ。

部屋を散らかさないための家具を作るのもお父さんの役目?

「充電のためにコンセント近くの床にそのままゲーム機を置いてしまうので、ゲーム機用の台を作って『ここに置きなさい』と。ただの太い薪ですが(笑)。あ、あと最近のヒット作は、ボール用のラックです。玄関にボールがいくつも転がってるので、丸い穴を開けた台にボールを置けるラックを作りました」

自分たちのためにオモチャや家具を作ってくれるお父さん。愛情いっぱいの家具やオモチャを作ってくれるお父さんの姿は、きっと大きくなっても忘れないはず。


子どものオモチャも手作りのものが横溝宅にはたくさん。昔懐かしいコリントゲーム。他には手作りの将棋盤も。

子どものオモチャも手作りのものが横溝宅にはたくさん。昔懐かしいコリントゲーム。他には手作りの将棋盤も。

横溝家のサインボードも完成。上から、創さん、夕子さん、花人くん、山人くん。

横溝家のサインボードも完成。上から、創さん、夕子さん、花人くん、山人くん。

「子どもがボール遊びに夢中で、玄関にボールがたくさん転がってしまうので、ボール置きの台を作りました」

「子どもがボール遊びに夢中で、玄関にボールがたくさん転がってしまうので、ボール置きの台を作りました」

創さんの作った子ども用のイス。細い鉄のパイプと座面のレザーの組み合わせが、軽やかで、愛らしさを感じさせるデザイン。

創さんの作った子ども用のイス。細い鉄のパイプと座面のレザーの組み合わせが、軽やかで、愛らしさを感じさせるデザイン。