Style of Life
組み合わせの妙を楽しみながら中古家具で、オリジナルで、
空間をカスタマイズ
ふつうなら長い間使い込んでいくうちに出てくる、そこにしかない“味”のようなものさえ感じさせるが、こうした空気感を醸し出すのには、庫本夫妻が2人でよく訪れるという宇都宮の古道具屋さんで見つけた収納家具や雑貨類がまずは一役買っているようだ。それらを使って自分たちの感覚にしっくりとくるように空間をカスタマイズしていく。その腕は、学生時代にはともにデザインを学んだというだけあって確かだ。
中古家具でカスタマイズ
夫妻がこれまで買い揃えてきたものの中には、確かに古道具ではあるけれど、“元々は何だったの?”と思うようなものも。ダイニングの壁には、引出しを立てて掛けられたようなものものがあり、中にはアクセサリーなどが納められている。これは和菓子屋さんなどで、作ったお菓子を入れて運ぶのに使われていたものではないかという。
「古道具屋の物がいいなと思うのは、それだけじゃない使い方ができるところ。これも立てて壁にかけたら何かに使えないかなみたいな感じで」と奥さん。
空間の雰囲気を「ちょっとお店のような感じ」にしたかったのだという。「よく行く古道具屋さんにああいうものが何枚か置いてあって、それを使えばイメージしていたような雰囲気になるかなと思って」購入した。そして、設置できるように横に立てる柱などを建築家に設計してもらったという。
オリジナル家具でカスタマイズ
家具などが空間に馴染み込んだ印象を受けるのは、そうした古い家具などが多く活用されているということだけではなさそうだ。家具の中には自分たちで製作したものもあるのだという。置く空間のサイズにピッタリと合わせて製作するから、余計な隙間や出っ張りが出来ず、元からそこにあったかのようにしっくりと空間に馴染んだものができる。さらに「もっているものに合わせてそれにふさわしい寸法で作れるというのもいいですね」と庫本さん。
空間をさらにカスタマイズする庫本夫妻オリジナルの家具たち。その中には少々不思議なものも。ガソリンスタンドで使われていたという間仕切りの隣に置かれたそれは、古い収納に脚がついたものだが、この脚が、元から付いていたものにはどうしても見えないのだ。「あれは、いらなくなった椅子を会社からもらってきて切って、その脚の上に収納を載せている」のだという。庫本邸に置かれたオリジナルのもののなかで一番の珍品ものだ。
そうすると「思いがけない組み合わせになるので、その雰囲気が好き」と奥さん。その組み合わせをとても楽しんで行っているように見えた。庫本家のカスタマイズ作業はこれからもずっと続くに違いない。
設計 straight design lab
所在地 栃木県宇都宮市
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 107.64m2