Style of Life
家がすべて大きなワンルームふたりが目指したのは
マルタン・マルジェラの世界観
「粗い素材感や、なんでもないものにペンキを塗ったり、そのペンキが剥げてくる感じを楽しんだり、ゴージャスは求めないけれどセンスがいい……そんなメゾン・マルタン・マルジェラのショップのイメージの家を作りたいと思っていたので、僕らの意図を理解していただける建築士を探すことから始めました」
出会ったのがフリーダムアーキテクツデザイン。
「マルジェラの作品集を持っていったら、すぐにその世界観を理解してくれて、コミュニケーションが上手くできたんです。設計に当たっては、ショップも見に行ってくださったようです。集成材の柱を使ったり、細長い吹き抜けを大胆に配したりと、僕らの想像の上をいく提案をしていただいたので、この家づくりは成功すると確信しました」
「1階と2階にもつながりが感じられるような、ひとつの大きな空間の家にしたいと思っていました。玄関から続く細長い吹き抜けがその役割を果たしています」
家を作る際には、素材感を大切にしたそうだ。
「鉄の階段の錆び止めの塗装がいい感じだったので、鉄の素材感を活かすために、踏み板に木を貼る予定だったのですが止めました。鉄部に木材を留めるための穴が開いているのですが、それもいい味になっています。集成材の仕切りのガサッとした感じ、カーテンの柔らかさなど、素材感の違いが面白くなりました。あと気に入っているのが床の色。もともとのフローリングにうっすらと白をかぶせて、少し無機質なトーンになっています。1階のガラス扉の前の柵は、木の素材感が感じられるくらいの微妙な加減のペンキ塗装にしてもらいました。ペンキを塗っている現場に来て、職人さんと相談しながら決めました」
照明器具はごくごくシンプルなもの。
「単純明快。ランプシェードはどれにしたらいいかとか悩むこともありませんでした。この家に越してきた時に買った家具はダイニングチェアのみです。掃除の時に楽に動かせるように、軽くて座りやすいものを探しました」
座面の素材は夫婦で意見が分かれ、愛さんはロープを編んであるもの、雅人さんはレザーシート派。意見がまとまらず、結局両方買ったのだそう。
それ以外は、家のコンセプトから細かな仕様に至るまで、意見の相違なし。
「豪華なものを予算に合わせて削ったのではなく、もともと要らないという考え方で家を作ることができたのは幸せでした」
設計 フリーダムアーキテクツデザイン
所在地 千葉県市川市
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 96.00m2