趣味と子育て- 1 - 好きなドラムを思いっきり叩ける家を作りたい!

趣味と子育て- 1 – 好きなドラムを思いっきり
叩ける家を作りたい!

大好きなドラムを思いっきり叩きたい! 『インターナショナルギャラリー ビームス』の鷲尾龍志さんが家を建てるときに、まず考えたのは、防音室を作ることだったそうだ。一軒家を建てるという大きな決断も、「一軒家なら防音室が作れる!」という夢が背中を押してくれたそうだ。

「音大生の寮などを手がける、防音室専門の業者さんに頼みました。ドラムは振動が音となって伝わる楽器なので、特に音を抑えるのが難しいとのことでした。ジェット機が200メートル上を通過するに等しい120デシベルにもなる音を、30デシベルにまで抑えてもらいました。完全に音を防げるようになったわけではありませんが、隣が親戚ですし、その先が幼稚園という環境なので、夜中に叩かなければまったく問題のないところまで下がりました。壁面のカーテンレールから音の緩衝材になるものを下げればさらに抑えられるそうですが、現状これで満足しています」

防音室の壁面の本棚には写真集や漫画が並び、奥様からプレゼントされたというシュウィンの自転車や、ダンベルが床に転がる。鷲尾さんの趣味の空間が防音室の中にできあがった。

「仕事柄もあるのですが、洋服の量がとても多いので、大きなウォークインクロゼットを作ってもらいました。靴もたくさん持っているので、靴のウォークインクロゼットもあります」

こだわりのスペースを特別に誂える……一軒家ならではの設計のメリットを存分に生かした家ができあがった。


高校生の時にバンドを組んでいたという鷲尾さん。大人になったら再びドラムを叩きたいという夢が叶った。

防音室のドアは二重扉になっている。天井には防音のためのクッション材が張りつめられている。


吉村順三の別荘建築をお手本に。

「自分が飽きっぽい性格なので、デザイン建築は何年か住むと飽きてしまうだろうなと思いました。飽きることなく長く住み続けられる家にするには、どんなデザインにすべきかをまず考えました。ホテルのような部屋か、別荘建築のどちらかだろうと。そんな時、建築家の吉村順三さんの作品集に出会い、目指すべきは別荘建築だと確信しました」

大きな吹き抜けと、傾斜屋根。流行のデザインを追わず、何年も住み続けられる家。家に帰れば、別荘に来たような心休まる家。鷲尾さんの“別荘のような家”のイメージを具体的に形にしてくれる建築家を自分で探したそうだ。

「WEBサイトなどでまず3人の建築家さんを選んでから、実際にお会いしてお話させてもらって決めました。実は決め手はプロフィール写真だったりしました(笑)。すごくナチュラルな写真で、あぁ、この人となら話が合いそうだって思ったんです」


広いデッキはアウトドアでのくつろぎのスペース。大きく広がったキウイの葉が、デッキに木陰を作ってくれる。

大きな吹き抜けは、室内にも開放感を感じさせてくれる。


素材や仕上げ。細部にまでこだわりを。

床材はナラ、柱や天井にはアメリカスギ。窓の木枠もアメリカスギのものをチョイスした。

「階段の壁面は漆喰で、角も丸く仕上げてもらいました。ドアノブがあまり好きじゃないので、収納の扉は丸い穴にしました。防音室以外、すべて引き戸を使っています」

和室の襖の把手も、金具を使わず、指をかけられるユニークな形状。「僕の好みを汲み取って、建築家に作っていただいたもの」なのだそうだ。外壁のガルバリウム鋼板も、住環境とマッチする外観と、鷲尾さんの好みの両方を生かす特注品。

「念願の防音室も作れたし、別荘建築も実現することができました。全体の設計から、素材の選択など、大きな部分から細かなこだわりまで形にできて、とても満足しています」


吹き抜けの階段部分の壁は、漆喰で仕上げてある。

リビングの一角にある和室の襖の把手には、金具が使われていない。

鷲尾宅のために特別に作られたガルバリウム鋼板を使った外観。