自宅で料理教室鮮やかな食材が映えるキャンバスのようなキッチン

自宅で料理教室鮮やかな食材が映える
キャンバスのようなキッチン

使いやすく、すっきりと

3年前、結婚を機に家づくりをスタートした中村さん夫妻。二人とも海が好きなことから、神奈川県内の海の近くで土地探しを始め、ほどなくして逗子駅近くの住宅街に土地を見つけた。「5区画あったんですが、ここだけ形が四角じゃなくて扇型なんです。そのせいかとても“お買い得”で」と笑う、奥さまのまりこさん。設計は週末建築家のご主人が自ら手がけて進められた。

3階建ての中村邸は、採光などに配慮して2階にLDKを配置。壁や床を白で統一した空間は、とても明るくモダンな雰囲気だ。「私の要望はキッチンのことと収納スペースのことだけで、あとは主人に任せました」とまりこさん。唯一、細かく要望を伝えたというキッチンは、使いやすさはもちろん見た目の美しさにも気を配り、電子レンジなどの調理機器や冷蔵庫をダイニング側から見えない位置に隠すなど、すっきり見えるようにつくられている。


白いダイニングテーブルは、脚が内側に付いているところが気に入って購入した。色鮮やかなエプロンは、友人が手がける「OTTO HUIT」のもの。

白いダイニングテーブルは、脚が内側に付いているところが気に入って購入した。色鮮やかなエプロンは、友人が手がける「OTTO HUIT」のもの。

明るく、使い勝手のいいキッチン。冷蔵庫の上にインターネット関連の機器を隠して収納するスペースをつくってもらった。

明るく、使い勝手のいいキッチン。冷蔵庫の上にインターネット関連の機器を隠して収納するスペースをつくった。

豚の塊肉にリンゴと栗を合わせたローストポーク。味付けはリンゴジュース、鶏がらスープの素、セージで。意外な食材を絶妙に足し算するのが、まりこさんの料理の魅力だ。

豚の塊肉にリンゴと栗を合わせたローストポーク。味付けはリンゴジュース、鶏がらスープの素、セージで。意外な食材を絶妙に足し算するのが、まりこさんの料理の魅力だ。

キッチン脇に棚を設け、電子レンジなどの調理機器をまとめて収納。ダイニング側からは視界に入らないため、キッチンがすっきり見える。

キッチン脇に棚を設け、電子レンジなどの調理機器をまとめて収納。ダイニング側からは視界に入らないため、キッチンがすっきり見える。


日当たりのいいリビング・ダイニング。テレビは中央の間仕切りに壁掛けして、あまり目立たないように配置。

日当たりのいいリビング・ダイニング。テレビは中央の間仕切りに壁掛けして、あまり目立たないように配置。


「舞台」のある家

設計にあたってご主人が苦心したのは、隣家に密接した扇型の土地を生かしつつ、いかにドラマチックな空間をつくるか、ということだったそうだ。

とくに、階段吹き抜けの中央にひとつだけ設けたトップライトには、ご主人のこだわりが詰まっている。トップライトから注ぐ太陽の光は、扇型の土地形状に合わせて配された白い内壁に反射して、空間に時々刻々と変化する表情を与えるとともに、3階からのプライベートな動線と1階からのパブリックな動線が出会う2階の踊り場を光が差す「舞台」のように演出する役割も果たす。さらに舞台装置としての階段も、空間に奥行きを与えるために上下階でずらして配置。また、周囲からの視線を感じず光だけを取り込めるよう、すべての開口部が隣家の隙間をつくように配されているのもポイントだ。「主人が設計したかったことがすべてできたわけではないようですが、予算の中で暮らしやすいように考えてくれました」。


2階LDKから3階へ上がる階段。トップライトからの光が柔らかく差し込む。

2階LDKから3階へ上がる階段。トップライトからの光が柔らかく差し込む。

土地の形状を生かし、上下階の階段の位置をずらして設計。1階から階段の先が見通せず、来訪者にはワクワク感も。

土地の形状を生かし、上下階の階段の位置をずらして設計。1階から階段の先が見通せず、来訪者にはワクワク感も。


空間をキャンバスに

壁も床も白で統一されている中村邸。これは広く感じさせるためであると同時に、「空間は白いキャンバスのようにして、家具の色を変えることで気分も変えられるように」というまりこさんの願いを叶えたもの。その言葉通り、絵画や家具が真っ白な空間に華やかな表情を与えているのが印象的だ。

現在、まりこさんはLDKのスペースを利用して、料理教室「legame cooking salon」を主宰している。じつは、この家を設計した当時は都内で会社勤めをしており、教室をする予定は全くなかったのだという。「もともと料理好きだったのですが、この家ができて料理を振る舞う機会が増えました。最初は友人に頼まれて教えていたのが、だんだん教室というかたちになっていきました」。
レッスンは皆で一緒に料理をつくり、料理に合わせたお酒もいただきながらランチを楽しむスタイル。湘南エリアや都内から幅広い年齢層の生徒さんが訪れているそうだ。


リビングのインテリアは、絵画やファブリックの色をアクセントに。「インテリアのイメージはニューヨークにある家です」。

リビングのインテリアは、絵画やファブリックの色をアクセントに。「インテリアのイメージはニューヨークにある家です」。

リビングから階段側を見る。壁に開口部を設け、窓のない階段にもリビングからの光を導いている。

リビングから階段側を見る。壁に開口部を設け、窓のない階段にもリビングからの光を導いている。

パープルの1人掛けソファは、アメリカで購入したもの。白に囲まれた空間に鮮やかな色が引き立つ。

パープルの1人掛けソファは、アメリカで購入したもの。白に囲まれた空間に鮮やかな色が引き立つ。


ダイニングのキャビネット上のディスプレイ。大皿や食材もインテリアの一部に。

ダイニングのキャビネット上のディスプレイ。大皿や食材もインテリアの一部に。

白いテーブルにブルーのグラスが映える。空間が白で統一されているため、小物の色使いで気分を変えたり、雰囲気を演出できる。


「色」から発想する料理

まりこさんが教えているのは、世界中の食材や調理法をミックスしたオリジナル料理。そのベースになっているのは、ウクライナ人のお母様がつくってくれたボルシチなどの家庭料理、料理人のお父様から教わった日本料理、そして高校時代に留学したアメリカで味わった世界各地の料理だという。「世界中から生徒が集まっていたので、彼らに各国の料理を教えて貰いました。世界にはこんなに美味しい料理があるんだと衝撃を受けました」。

ルーツや豊富な経験をもとに生み出される、オリジナルレシピの数々。まりこさんにとって、インテリアと同じように料理にも「色」が重要なのだという。「色には人を元気にする力があると思うんです。“メイン料理はこの色にしよう”と、まず色を決めてから食材や調理法を考えることもありますよ」。

取材当日は、赤紫のビーツリゾットにほうれん草のサラダ、オレンジの縁取りがある皿に盛り付けたローストポークなど、鮮やかなメニューがテーブルに。カラフルな料理は華やかさと非日常のワクワク感があり、おもてなしにもぴったりだ。

この家での暮らしを契機に、料理や食にまつわるお仕事を始めたまりこさん。これからやってみたいことも構想中だ。「海外の食材や調味料など、すごく美味しいのにまだ日本に入ってきていないものがたくさんあるんです。今後はそういった素材をみなさんに紹介するなど、仕事の幅を広げていきたいです」。


ビーツのリゾット、洋梨とほうれん草とフェタチーズのサラダ、リンゴと栗のローストポークを食卓に並べて。「友人や家族のために、自分へのご褒美に。頑張らないおもてなし料理を提案しています」とまりこさん。見た目は華やかだが、どの料理も簡単な手順でつくることができる。

ビーツのリゾット、洋梨とほうれん草とフェタチーズのサラダ、リンゴと栗のローストポークを食卓に並べて。「友人や家族のために、自分へのご褒美に。頑張らないおもてなし料理を提案しています」とまりこさん。見た目は華やかだが、どの料理も簡単な手順でつくることができる。


legame cooking salon