Outdoor
車庫をギャラリーに鎌倉の森の隣に
人が集まる場所を作る
2階は家族の共有空間
稲村ヶ崎の海が望める小高い丘の上。敷地の後ろが鬱蒼とした森になっている。なんと百瀬さんのお宅は、敷地の4分の3が森なのだそうだ。家の裏の斜面を上がった遊歩道まで百瀬さんのお宅なのだとか!
「森への入り口のような場所が気に入って、東京の千駄木から越して来ました。実家が茅ヶ崎で高校が鎌倉だったので、江ノ電沿いには馴染みがありました」と晶子さん。
夫の龍輔さんは横浜出身。ここから片道2時間かけて都内まで通勤している。そして5歳の花ちゃん、3歳の空くんの4人家族だ。
土地は鎌倉R不動産で見つけた。
家の設計は4件ほどの建築事務所に連絡をとり、最終的にフジワラテッペイアーキテクツラボにお願いすることにしたそう。
「ここを人が集まる場所にしたいという想いがありました。その希望に寄り添っていただき、また、森を活かした提案をしてくださったのが決め手になりました。
この辺りに住んでいる方はご高齢の方も多いのですが、いろんな世代の方が集まれる場所にしたいと思っています」
2階が居住空間。大きな窓いっぱいに森の濃い緑が広がる。
天井の高い、気持ちのよい空間の中央に洗面とバス・トイレがある。その周りは仕切りのないフリースペース。
「いろんな場所に布団を持っていって、毎晩違う場所で寝ています(笑)」
1階をカフェに。
1階がカフェ「INAMORI」。現在は週に2日のペースでオープンしている。
いつかお店を持ちたいと考えていた晶子さんは、東京でもお店を出せる場所を探していたのだそう。
「最初は、暮らしていた東京の千駄木で探していたのですが、千駄木の人気が高くなるにつれ、どんどん賃料が高くなってしまいました。住んでいた家は雰囲気がよくて気に入っていたのですが、築40年の古い家で住宅密集地でもあったので、東日本大震災の時にこのまま住み続けることに不安も感じ始め、思い切って東京以外の場所で家を探すことにしました」
百瀬さんのお宅は、SE構法で建てられている。耐震性能が高く、開放的な大空間を作ることができる。
「最初は鉄筋コンクリート造で提案いただいたのですが、予算が合わない。次に木造の在来工法で考えていただいたのですがまだ高い。何度も設計変更していただいて、現在の形になりました。
窓掃除が大変そうなので、窓はもう少し少なくてもよかったかなと思っていますが(笑)、大胆な空間を作ることができて、結果的によかったと思います」
車庫をギャラリーに。ピロティには工房も
この土地の前のオーナーが作った半地下の車庫をギャラリーにした。
「私の周りにものづくりをしている人が多く、そういう人たちから作品を展示する場所が欲しいという話を聞いていたので、いつかギャラリーを作りたいと思っていました」
家の裏手には、広い土間スペースを確保。
「今は主に薪を割ったり、DIYで家具を作ったりしています。将来的に、このスペースを使ってワークショップができたらと考えています」
敷地の樹々を活かすプランも考え中とのこと。
「今年のGWに、ツリーハウスクリエイターの小林崇さんをカフェにお招きして、稲村ヶ崎の山の散策イベントを行いました。斜面になっている土地には建物を建ててはいけない決まりになっていますが、ツリーハウスを作ることは可能です。いつか作ってみたいと思っています」