Column
食のセレクトショップ-1-日本とイタリアの豊かな
食を堪能する「essentia」
日本海で獲れた新鮮な魚介類とイタリアのナチュラルワイン、古代小麦を使ったパンなどの食料品や環境に配慮した生活雑貨などを集めたグローサリーストア「essentia」が学芸大学にオープン。こだわりの商品セレクトをオーナーのユキトさんに聞いた。
日本とイタリアの
美味しいものが集まる場所
オーナーこだわりのセレクトで世界各国、日本各地からおいしい食材を集めるグローサリーストア。今年9月、学芸大学駅に新たに誕生したのが「essentia」だ。オーナーのユキトさんは人の生活に毎日関わる “食”を通じて、健康や消費者の意識を変えるきっかけになればとこの店をオープンさせたという。店内にはユキトさんやスタッフが厳選した無農薬野菜や無添加・伝統製法の調味料、イタリアのナチュラルワイン、生活雑貨など、ひとつひとつに深いこだわりをもって選ばれた商品が並ぶ。特に注目したいのは主に週末に並ぶ新鮮な魚介類。兵庫県の日本海側、山陰地方で漁師をしているユキトさんのお父さんから、水揚げしたばかりの鮮魚が届く。また、イタリア料理好きが高じて、イタリアワインの多様性に魅了され、結果、ワインエキスパートの資格を取得したユキトさんがセレクトするイタリア各地からのナチュラルワインも豊富に揃う。イタリアに20あるすべての州で造られているワインは、その土地の文化や食生活を反映させて造られた個性的な味わいで、いわばイタリア食文化そのもの。比較的手頃な値段で美味しい味わいが楽しめるのも特徴だという。「essentia」の食材を用いて「オステリア・メグロ」のシェフが仕込んだ特製のお惣菜と合わせて、ワインとのアッビナメント(相性)も楽しめる。
美味しく、安全な
食べものを必要な分だけ
全国から届く野菜は、無農薬、自然農法のものを厳選している。中でも、群馬の農園で手がけられている野菜は、日本では珍しいバイオダイナミック農法で作られたもの。バイオダイナミック農法とは、太陽や月、惑星と地球の位置関係が土壌や生命体に深く影響を与えることを重視し、種まきから苗の植え付け、堆肥作りや収穫などの工程を天体の動きに合わせて行う。味はもちろん、栄養価が高いのが特徴だ。ただ、農薬や化学肥料に頼らず、自然の摂理にそって育てるため、環境や天候に左右されやすく、収穫量が安定しないこともある。そのため、日本では大手のスーパーや個人商店で並ぶことはほとんどないが、だからこそ「essentia」が取り扱うのだという。「一年中、安定した数の野菜が並ぶというのは消費者の都合であって、本来の育て方からはずれている。消費者が生産背景をきちんと理解して、旬の野菜を必要な分だけを求めるようになれば、作り手の意識や仕組みも変わっていくと思う」と話す。必要な分だけを購入してゴミを出さずに済むよう、野菜は1個からのバラ売り。スタッフが一つ一つ丁寧に作った特製の新聞紙の袋に入れて持ち帰ることができる。
野菜とともに並ぶのは、長野県北安曇野でドイツ人のシュラーク・ティルさん、さやかさん夫妻が無農薬・有機栽培の小麦畑で育てた自家製ライ麦サワー種で作るミネラル豊富なパン。イースト菌や砂糖を使わず、有機栽培の古代小麦粉や全粒粉、ゲランドの塩や天然酵母などシンプルな材料だけでゆっくりと焼き上げたパンは噛みしめるほどに美味しさが広がる。素朴ながら、滋味深い麦の味を楽しめる逸品だ。
健康な体は良質な塩、オイルから
「調味料の中でも特に大切なのは塩とオイル」というユキトさん。塩は本来デトックスの作用があるもの。無理に減塩するのではなく、良質なものを摂取することで健康維持、体質改善が期待できるという。「essentia」では、赤道直下に位置するクリスマス島の塩をセレクトした。キリバス共和国の島々のひとつであるクリスマス島は全体がサンゴ礁でできており、島近くに湧き上がる深層海流水が良質のプランクトンを育む。海水が自然に結晶した塩には、ミネラルを豊富に含んでおり、まるみのある味と香りは素材の旨みを引き出し、料理に深みをもたせてくれる。また、オイルのラインナップにも注目。ここではイタリアのワイン醸造家が作るオリーブオイル「レ・コステ」「アリアンナ・オッキビンティ」が選ばれている。信頼できる生産者のもと、無農薬、無肥料(または有機肥料)で育てた良質なオイルで、オリーブ本来の果実味が存分に感じられる。店内の奥にはテーブル席を用意したキッチンもあり、今後はここで料理教室やワインの試飲会などを行っていきたいという。
東京都目黒区鷹番3-5-2-1F
11:00〜21:00
火曜不定休