Column
街の本屋-1-美しい本を探しに
中目黒「dessin」へ
今月は住宅街で親しまれている本屋を紹介。前編では4月に目黒区・東山から上目黒に移転オープンした中古書店「dessin」へ。
渋谷の古書店「東塔堂」の姉妹店、「dessin」は2012年目黒区東山でスタートした。「東塔堂」は建築やデザイン、アートなどのアカデミックな本が中心。一方の「dessin」は子どもから大人まで楽しめる絵本をはじめ、画集や写真集などビジュアルの美しい中古書をメインで取り扱っている。そんな「dessin」が今年4月に中目黒駅にほど近い上目黒に移転した。もともと住居として使われていた建物に手を加え、1階を本の販売スペース、2階をギャラリーで構成。内装を手がけたのは家具屋「スタンダードトレード」だ。もともと「東塔堂」の本棚を手がけていたこともあり、今回「dessin」のために新たな本棚を完成させた。ナラ材で作った本棚は、腰のあたりに平置きできる棚をもうけて、そこで立ったまま本を読めるようになっている。また、中央の平台も同じくナラ材で製作。トップの板をガラスにし、本を手に取った時に下に置かれた本も目に入るという工夫がある。入り口は店内に自然光がたくさん入るよう一面ガラス張り。店内の様子がわかりやすいので、初めて訪れる人も気軽に入りやすい空間だ。
「本は読む時以外は置き物です。だから、そこにあるだけでいいような装丁の美しい本を選びました」と話すのは店主の大和田悠樹さん。絵本、写真集、アートブックから小説、実用書まで幅広いジャンルの中からヴィジュアルが美しい本をセレクトしている。店名の「dessin」は、自身が子どもに絵を書いてあげる体験を通じて、絵を書きたくなるような本を紹介したいとの思いから。
そんな大和田さんに中古書の魅力を聞いた。「紙の質感や印刷のにじみ具合、経年変化によって生まれた中古書ならではの独特の佇まいが魅力です。特に絵本は時代によって、訳や挿絵を手がけた人が変わっていることもあり、その違いを楽しむのも一つ。たとえば、新刊で持っていたとしても、中古書で同じ本を買う人もいます」という。「dessin」では買い取りも行っており、お客さんが貴重な本や珍しいポスターを持ってきてくれる場合も少なくない。「僕自身、こんな本があったんだという発見もあり、そういう出会いを得られるのは嬉しい。お客さんと一緒に店を作っている感覚です」
そんな大和田さんに中古書の魅力を聞いた。「紙の質感や印刷のにじみ具合、経年変化によって生まれた中古書ならではの独特の佇まいが魅力です。特に絵本は時代によって、訳や挿絵を手がけた人が変わっていることもあり、その違いを楽しむのも一つ。たとえば、新刊で持っていたとしても、中古書で同じ本を買う人もいます」という。「dessin」では買い取りも行っており、お客さんが貴重な本や珍しいポスターを持ってきてくれる場合も少なくない。「僕自身、こんな本があったんだという発見もあり、そういう出会いを得られるのは嬉しい。お客さんと一緒に店を作っている感覚です」
階段を上った先はギャラリースペース。月に1回程度、さまざまなアーティストの作品を紹介している。5月には、モノトーンで抽象的な模様を描くイラストレーター林青那さんの新作ドローイング展を行った。また、店内には過去に展示を行ったアーティストの作品も並ぶ。猫の本と一緒に並んでいるのは、ハンドメイドニットメーカーSWISH!の編みぐるみ。1点ずつ手作りの猫のぬいぐるみは、まとっている衣装や表情の違いがあり、選ぶ楽しみがある。イラストーレーターのアオイ・フーバーとDRILL DESIGNがコラボした波佐見焼の器は普段使いしやすいプレートやカップを取り扱っている。店は遠方の人でも購入できるようにウェブショップも開設。定休日の火曜以外は新商品が毎日アップされているので、美しい本との出会いを楽しみにサイトをのぞいてほしい。