Interior
暮らしの道具-1-自然に寄り添う心地いい
暮らし。白金台「雨晴」
昨年12月、日本各地から選りすぐった器や花器、盆栽などを揃える「雨晴」が白金台にオープンした。「雨の日も晴れの日も心からくつろげるくらし」をコンセプトに、現代生活にフィットした心地いい暮らしを提案している。
日々の暮らしの中で日本の工芸に出会える場
白金の坂の途中、1970年代のビンテージマンションの1階にオープンした「雨晴」。「ここは作る人と使う人が出会う場所であり、心からくつろげるくらしを一緒に考える場所にしたいと思っています」と話すのは、全国の作り手の元を巡りながら、器や雑貨のバイイングを行うディレクターの金子憲一さん。「私たちの暮らしに身近にあるもの」を主題として選んだという商品は、その約7割が食にまつわるアイテムだ。大きく分けて「集い、語らう、ご飯の時間」「おもてなしのお茶の時間」「自然を肴に、お酒の時間」の3つで構成されており、北は岩手から南は沖縄まで約30もの作り手たちの器が揃う。
店をオープンするにあたり、白金台を選んだ理由を聞くと、「感度の高いショップもありつつ、住宅街としての一面もある。すぐそこに暮らしを営む人たちがいるからこそ、日常生活の中で自然に日本の工芸と出会える場所になれたらと。また、海外の方も多く住んでいることもあり、文化の交流地点とも思います。街全体がのんびりしているのもいいですね」と金子さん。開放感のある空間に、丁寧に器や雑貨が並ぶ店内。ここではじっくりと一つ一つのものと向き合うことができる。
コンセプトを具現化した空間
店舗デザインを担当したのは、建築からインテリア・家具など幅広いジャンルで活動しているトネリコ。中でも目を引くのは、器や雑貨が引き立つすっきりとした什器だ。これは青森のヒバ材を使用した白木の天板で「お盆」をイメージして作られており、そこに器を置くだけで自然と豊かな食卓のシーンを思わせる。壁面上部から天井にかけては、灰色から濃い灰色にぼかしながら切り替えることで、霞みかかった空を思わせるような仕上がりで、室内にいながらも外とつながっているような空間を演出している。また、大きな引き戸を採用した開口部から店内に入る前に「現代版の縁側」と呼ぶ中間領域があり、外と中の境界線をいい意味で曖昧にしている。外の環境を遮断することなく、自然を身近に感じることができる。
心地いい暮らしのヒントを探しに
「雨晴」の店名はコンセプトにある通り、「雨の日も晴れの日も心からくつろげるくらし」に由来している。金子さんは日本の各地にいる作り手たちの元を訪ねるたび、自然に寄り添って、愉しみながら生活する彼らの暮らし方に共鳴したという。そういう環境から生み出される日本の工芸は、自然と共に暮らすための知恵や感性が凝縮されたもの。だから、この場所ではものを見つけて買うだけではなく、暮らしを愉しむヒントを見つけて欲しいという。実際に器を使ったワークショップなどを行いながら、心地いい暮らしを具体化して提案していく。
雨晴
東京都港区白金台5-5-2
03-3280-0766
11:00〜19:30
水曜定休