Renovation
自宅の1階で働くリノベで作る
ぬくもりのある家とカフェ
自宅兼カフェで働き方もチェンジ
東京オリンピックの年に建てられた築53年の木造一軒家をリノベーション。経堂の駅からもほど近い家の1階は念願のカフェ『FINETIME COFFEE ROASTERS』に、2階を住居にした近藤剛さん。
「『リビタ』さんに物件探しからお願いしました。何軒も家を見て回りましたが、駅から近いのに静かで、住むにもカフェを作るにもちょうどよかったここに決めました。設計は『成瀬・猪熊建築設計事務所』です。こちらも『リビタ』さんにご紹介いただきました」
近藤さんはMBAも取得している外資系金融会社で働いていたビジネスマン。一念発起してカフェのオーナーとなるチャレンジは、家と店を同じ建物内に構える昔ながらのスタイルへ、働き方から設計し直した。店では定期的にカッピングのイベントなども開催し、フルーティなスペシャリティコーヒーは人気を集め、オープン半年にして町の新たな交流スペースとなっている。
2階をプライベートな空間に
いざ工事を始めると予想以上に家が傷んでいたが、元の柱や梁を極力残し、リノベーションならではのぬくもりが感じられる家になった。
「幅が狭く奥行きのある細長い家だったので、1階が薄暗い印象でした。1階も明るくしたいという希望を建築家が叶えてくれました」
その方法とは、天窓を開け、太陽の光をまず2階に届け、2階の透明なアクリル板を通して1階へ送る方法だ。カフェでコーヒーを飲みながら感じられる柔らかな自然光が心地よい。
「住居兼店舗というスタイルは、気持ちの切り替えがうまくできるか心配でしたが、実際に始めてみると良いことのほうが多かったです。同じ空間に妻と子どもがいるのでお互いに安心できます。店舗の入口と自宅の玄関を別にして、店舗と生活動線をしっかり分けたことも良かったと思います」
北欧のスペシャリティコーヒーをどうぞ
『FINETIME COFFEE ROASTERS』は、オレンジ色の焙煎機とかわいらしい煙突が目印のカフェ。北欧から取り寄せている生豆をここで焙煎している。こだわりの浅煎りで、豆が本来持っているフルーティな味わいを引き出している。
「カフェを開くにあたって、200軒以上カフェを回り、どんな味を提供したらよいか研究しました。行き着いたのが浅煎りのスペシャリティコーヒーです。家具も北欧のスタイルが好きでしたので、ピンときたのかもしれません」
会社員時代から音楽やアートが大好きだったという近藤さん。世田谷区の保存樹木にもなっている大きな樹を眺められる奥のスペースでは、定期的に個展なども開いている。コーヒーとカルチャーがつなぐ新しいコミュニティが経堂に誕生している。