Style of Life
生活の断捨離すっきりと快適に過ごす
暮らしのテクニック
生活感を排除しつつ、実用的に
まるでモデルルームのように、整然と美しく片づけられた室内。夫とふたりの息子とともに暮らす、整理収納アドバイザー、村上直子さんの自宅は、どこを切り取っても絵になる美しさ。
「私以外は男性ばかりの家庭なので、あまり甘すぎる雰囲気にはしないようにしています。自分も家族も心地よく過ごせて、共存できる空間にしたいと思っています」
村上さんのポリシーは、生活感をできるだけ排除すること。しかし、家族みんなで過ごすリビング、ダイニングは、それぞれが好きなことをできるように工夫を凝らすことで、美しさと実用性のバランスを取っている。
「子供のおもちゃや本などは、ひとつの籠や旅行カバンに入れて持ち運びができるようにしています。使い終わったらきちんと片づけてしまっておく。そうすることで、子供たちも自分で自分を管理する意識が芽生えてくると思うんです」
必要最低限のものと暮らす
この家に引っ越したのは4年程前。散歩の途中で見つけた築28年の物件をリフォームした。
「以前はマンション生活だったので、自分の好きなようにできること、生活の合理性に合わせて変えられることは嬉しかったですね」
1階は、畳の和室、4・5畳のダイニング、廊下を取ってワンルームに。筋交いの抜けない部分はルーバーフェンス風にしてなるべく部屋を仕切らず、抜け感を大事にした。
「アンティークのドアや小窓などは、自分で選んで取りつけてもらいました。壁は、通常は石膏ボードですが、ディスプレイすることを意識して板を貼ってもらったので、重いものを飾りつけることもできます」
もともと納戸だったところは収納庫に。中にはプラスチックのケースを使い、システマティックに構成。生活に必要なもののほとんどはここにしまっておいて、入らないものは買わない、捨てる、ということを徹底している。
「収納はほとんどすべてここにまとめています。収納があれば片付けられるような感覚がありますが、使いこなしている人は意外と少ないんですね。私は、買いおきはあまりしないようにしていて、使い終わったら次のものを買うようにしています。場所にもお金を払っているという意識を、持ってもいいのではないかと思うんですよね」
洗面所、トイレにも収納はあえて設けなかった。最低限必要のものだけがディスプレイ感覚で置かれているのが、生活感の避けられないスペースを、おしゃれに見せているようだ。
家具の配置を工夫
「お客さんが入って来たときに、ああこの家は落ち着くな、と思ってもらえるような部屋を目指して、インテリアの配置も考えました」
リビングダイニングは、入って突き当たりの壁側はすっきりとさせ、ディスプレイ用の棚も低い位置に設置して、視界を遮らないようにした。パソコンやテレビなど無機質なものは、入口側の死角になるコーナーに。そうすることで、部屋に足を踏み入れたときの印象が違うのだという。
「ぱっと目に飛び込んでくる場所は大切に考えるといいと思います。あとは室内のものを減らすこと。ホテルでは置いてあるものの点数は100~150点だと言われています。それが一般の家庭だと6000点くらい。ものを減らすことで、私たちがホテルに求める非日常感が得られると思います」
特にこだわるのが照明。素材や色、形が微妙に違うペンダントライトが部屋を灯す。
「間接照明が好きなんですね。灯りは人の気持ちの安定につながるんです。傘だけ変えたりして楽しんでいます」
ダイニングテーブルを照らすふたつのライトは、同じもので揃えると当たり前だが、形を変えてみることで面白さが出る。そんな何気ないアイデアが活かされている。
アイデアを活かした生活
キッチンは“ハワイに感化されて”グリーンに。木の梁が温かさを出すこの場所も、整理収納アドバイザーのアイデアにあふれている。
「使いやすくて見た目にもかわいい、という収納を心がけていますね。アイテム毎にしまう場所は決めていますが、中をこまかく詰め込むことはしません。小物は引き出し、というルールもつくらないようにしています」
ケーキセット、食事セットなど、用途別に籠などに入れて、使用時にはそのままテーブルへ。そうすることで手間も省けて、見た目にも美しい。
「スプーンやフォークも引き出しには収納せず、小物入れを活用して、使う時にそのままテーブルに運んでいます。その入れ物も、キッチン用にこだわるわけではなく、ガーデ二ンググッズなどを使ったりしていますね」
かつて庭で使っていたアイアンのバスケットや棚なども、キッチンやリビングで活躍。捉われない発想が、楽しく、快適な空間を生んでいく。
家族のための家づくり
「子供部屋など、成長に応じて変わっていくだろうところにはお金をかけないようにしているんです」
ホームセンターで買った棚にワインの空き箱を組み合わせて収納を作ったり、閉店セールでゆずってもらった什器を利用したり。2階の子供部屋は、低コストで遊び感覚にあふれている。
「子供が楽しいと思える空間をつくりたいですね。寝室だけは自分用に女性っぽくしていますが、男の子のいる家なので、それらしいテイストにしておきたいと思います」
夫のためにはアイアンを活かし、少し無骨な感じを出すように工夫したとか。
「インテリアは私に任され仕切らせてもらっているのですが、私だけのものではありません。家族がミスマッチ感を感じないようにすることが居心地よく暮らしてもらうことですし、そこに住んでいる人が違和感なく住める家づくりが大事だと思いますね」