Style of Life
インテリアへの想いを実現ギャラリーのように鮮烈に
家族を包む理想の住まい
2年弱かけてプランニング
のどかな都心の郊外。アイアンの門扉の向こうに建つその家は、一歩足を踏み入れると暖かで新鮮な空気に包まれる。玄関の大きなクリスマスツリー、薄いブルーの壁面に飾られた数々のフォトフレーム。アットホームなその雰囲気は、映画に登場する海外の富裕層の一軒家のよう。
「NYとフロリダに住んでいた子供の頃の経験が影響しているんです。NYでは1階がアートギャラリーになった3階建てのレンガのアパートに住んでいたのですが、その時の印象がとても強いですね」。
と言うのは自宅でベトナム・タイ料理教室を営む小原麻美さん。結婚後、家を建てるときには理想の家を目指し、とことんこだわり抜いた。
「ハウジング雑誌を見ていたので、こういう家にしたいというイメージはありました。いろいろ調べた結果、自由に設計させてくれてアイアンをきれいに使わせてくれる会社にお願いしました」
週1回のミーティングを2年弱も続けてプランニング。
「変更した設計図をもらって帰り、また1週間考えて、ということの繰り返しでしたね。でも、設計士さんとお酒を飲みながら話し合ったりして、とても楽しくさせてもらいました」
外から見えない開放的な家に
小原さんのいちばんのリクエストは、中庭があることと、外からの視線を気にしなくてよいこと、かつ開放的な家であることだった。
「中庭を囲むコの字型の家が欲しかったんです。バスルームというと大抵外に面していて、周囲が気になるじゃないですか。でも中庭に面していればいつでも自由に入れるし、夏は中庭で子供をプールに入れたりもできます」
お風呂あがりには、中庭を見下ろす2階の外廊下で寛いだりすることも。気兼ねなくのびのびと過ごすことができる。
「あとは、初めから購入するインテリアや家電を決めていたので、それに合わせて設計してもらいました」
洗面台や食器棚、オーブン、食洗機、ウォーターサーバー、本棚、さらにスピーカーなども収めるスペースを予め設定。壁面にもディスプレイ用の棚を設けた。サイズをぴったり合わせることですっきりと、無駄のない空間が完成した。
足を踏み入れるのが楽しみな部屋に
アットホームな海外の一軒家というイメージは、各部屋に用いられた色の壁紙の効果が大きい。
「3人兄弟だったのですが、子供の頃色分けされて育ったんです(笑)。私に割り振られたのがピンクで、そのためかブルーに憧れがあって。せっかくこだわって建てた家なので色で遊びたいと思い、1階は水色の壁紙にしました」
淡いブルーが開口部からの光を反射し、リビングダイニングにやわらかい表情を与えている。2階のベッドルーム、子供部屋は、それぞれのテーマカラーを小原さんが自ら塗っていった。
「イメージがわかなかった子供部屋は、最初は白にしておいて、後で私が塗りました。長男の部屋はそのうち別の個室につくるので、そうしたら今の子供部屋を長女の部屋として、また塗り替える予定です」
子供部屋はウォールステッカーや小物を使って、楽しくデコレーション。これもすべて小原さんが自ら考えて飾り付けたものだ。子供の成長や季節に合わせてインテリア、ディスプレイを替える、それがとても愉しみなのだとか。
「映画を観てもインテリアばかり気になってしまうんです。設計中にちょうどダイアン・キートンの“恋愛適齢期”を観てすごく素敵! と思って影響されたところはありますね」
ベッドルームも毎朝カバーをかけ、クッションを置いて整える。“部屋に入ってくるのが楽しみになるような空間にしたい”、その思いがすべての部屋にあふれている。
暖かな家に家族が集う
小原さんは結婚後、料理の修行のため、ベトナムに2回ほど短期留学している。そこで学んだベトナム料理の教室を定期的に開催。
「キッチンは私が描いた絵をもとにデザインして造ってもらいました。もともとお料理教室を開くことを決めていたのでアイランドは腰の高さでかつ大きく、オーブンやレンジを下に収められるように。引き出しも調味料や食器など、入れるものを先に決めてサイズを設定してもらいました」
通販で購入することを決めていた大きな食器棚は、ぴったり収まるよう設計された壁面に内蔵。食器類は家庭用と教室用に分けて収納されている。
「何事もきっちり計画していないと気が済まないタイプなので(笑)」
そんな小原さんだが週末はゆったりと、長めの朝食を家族全員で楽しむのだという。
「週末の朝ご飯は夕飯よりも豪華で、長い時間をかけて頂きますね。ジャンルは和、洋、ベトナムと何でもですが、気候のいいシーズンは中庭で食べたりして、家族のコミュニケーションになっています」
現在小学校3年生の長女、幼稚園年長の長男、仕事で忙しい夫も、ママの愛情に満ちた空間でのびのびと過ごす。幸せに包まれたアットホームな家は、これからも家族とともに成長を刻んでいく。