Style of Life
インダストリアル・スタイル武骨な機能美を
ライフスタイルに取り入れる
アルミや鉄、亜鉛やステンレスといった様々な金属の素材感、天井などに使われている合板の木目や床の色、白だけではなく黒やグレーなどで塗られた壁が、それぞれの場所で様々な表情を見せている。そして、それらの分量のバランスや、リズム感が抜群にカッコいい。
玄関ドアを開けて通路を進むと、広い中庭に出る。前面の道路からも他の家からも見えない、プライベートな空間だ。
「最初に建築家にお願いしたのは、プライバシーを保てる中庭を作ってほしいという点でした」
中庭を確保することで駐車場のスペースを諦めたものの、中庭に向いたそれぞれの部屋からの眺めや、家の隅々まで光を取りこめる暮らしを楽しむことを選んだそうだ。
金属×木のバランスがクール
「工場で使われるような機能重視のものや、業務用のステンレスのアイテム、欧州の軍モノも大好きです」と兼茂さん。一法師さんのお宅が、ストイックでインダストリアルな印象なのは、兼茂さんのコダワリに拠るところが大きいようだ。
「例えばアルミの鍋は、すぐに把手が熱くなってしまいますし、蓋を取るのにも鍋掴みが必要なのですが、そういうちょっと不便さがあるモノの方が逆に愛着を感じることが多いですね」と、清子さんも兼茂さんのコダワリを一緒に楽しんでいるそう。
機能美を優先
リビングと渡り廊下をつなぐスイング式のドアは、食堂の厨房や、倉庫のバックヤードなどでよく使われている業務用のもの。一般家庭ではあまり使われないものだそうだが、兼茂さんのたってのリクエストで取り付けらた。
「スーパー等で見かけるたびに、いつか家を建てる時は絶対採用しようと密かに狙っていました。完全に見た目だけで採用したのですが、両手が塞がっていても、背中で押して開けられたり、子どもでも閉め忘れがないなど、実用面でも優秀でした」
兼茂さんのコダワリは、洗面所の水道の配管でも発揮された。
「本来なら壁の中に配管を隠してしまうものなのですが、敢えて見えるように外に出してもらいました。カッコいいL字のパイプや、元栓のバルブなど、こだわってパーツを探しました」
「2階の渡り廊下は、設計の段階では外廊下にする案もあったのですが、風呂やトイレに行くのに一度外に出るのは不便かと思い直し、渡り廊下でつないでもらうことにしました。洗濯物を干したり、サンルーム的にも使えるので、いい判断だったと思っています」
兼茂さんがぜひ使いたかったという蛇籠をとり入れた中庭。
「枯山水をイメージした庭を作りたいのですが、苔の山にするか、植物を植えてグリーンの山にするか、まだ決めかねています。家の中が落ち着いたので、これから手をつけたいと思っています」