Style of Life
グレーをベースに色彩を愉しむ日だまりの家に
溢れるパリのエッセンス
建築家の父が設計
「君の好きなエリアに土地が出てるよ、と主人が見つけてきたんです」。学生時代から気に入っていたという緑の濃い住宅街に、はるみさんは12年前一戸建てを新築。現在は自宅でカルトナージュ教室「メゾン・ド・カルトナージュ」を開いている。
「父が建築家なので大まかなデザインは任せました。私からは柱があまりないシンプルな間取りにして欲しい、とお願いしたくらいですね」。コンクリート打ちっ放しのモダンで重厚な建物は、おしゃれな家々が立ち並ぶ東京の人気エリアの中でもひと際目を引く。
「南向きにこだわって土地を探したので、温かくて風通しもよいですね」。日だまりのようなリビングは、はるみさんが作り上げるカルトナージュ作品のように、美しく洗練されている。
カルトナージュとの出会い
「もともと布が好きだったんです」。というはるみさんは、家全体に麻のクロスを採用。玄関もリビングも麻の自然な風合いがコンクリートの冷たさをカバーしているよう。「ソファーの布も麻でつくりました。麻のシャリッとした質感が好きなんです」。
家を建てて2年後、ご主人の仕事によりパリで3年間暮らすことになる。この間にカルトナージュにはまっていったという。「向こうでは週に何回もローランス先生の教室に通って、徹底的に技術を学びました。教室に通うか、布探しに街を出歩くか、制作をするかの日々。何気ないお店のショーウインドーなどもとっても素敵で、ヨーロッパ的な色使いをその時学んだ気がしますね」。
そして帰国後、はるみさんがまず行ったのは、白木だったリビングの壁の木材をグレー系に塗りあげること。用賀のカラーワークスでペンキを購入し、3週間くらいかかって一人で仕上げた。「マスキングテープを貼って養生するのが大変でした。キッチンカウンターはニスをはがしてから塗ったのですが、こちらも手間がかかりましたね」。
リビングのテーマカラーは気分に合わせて半年に一度変えている。「今はあずき〜ベリー系にかけての“モーブカラー”です。クッションカバーやクロス類、ランプシェード、カルトナージュ作品などすべてテーマカラーに合わせて取り替えました」。
イタリアのリゾート地風など、色々なアレンジを楽しんでいるそう。「ただしベースはいつもグレーです。グレーって万能色なんですよ」。アイアンの小物を添えたり、カルトナージュ作品や雑貨でグレーベースの空間に変化をつけるのがはるみさん流。キャンドルホルダーなど高さのあるもので高低差をつける、ディスプレイも素敵だ。
コーナーは手を抜かない
家具はスウェーデン発祥の「Sia」が好き。グレー系にペイントしたチェストやインテリアフラワーが飾られたあずきグレーのリビングは、コーナー毎のデコレーションがシックに美しくまとめられている。
「持論なのですが、インテリアって角を放っておくと気が抜けた感じになると思うんです。だからコーナーを大事に飾ることを考えていますね。フランスでさんざんインテリアショップを見て回って得たアイデアを活かしています」。
蚤の市や「Flamant」などの雑貨店で買った小物を使ってコーディネート。額縁に入れたフランス伝統の生地、ボックスなどのカルトナージュ作品からも、はるみさんのインテリアへの思いが伝わってくる。
「カルトナージュもインテリアも飾りすぎないことが大事だと思うんです。色をマッチさせること、やりすぎないことを基本にして、そこに効果的にアクセントをつけるようにしています」。
明るい陽光が差し込むリビングで、カルトナージュ作品の制作やレッスンに励むはるみさん。好きなものと家族に囲まれた幸福な日常が偲ばれた。