Style of Life
豊かな自然を満喫北鎌倉の自然環境を
活かしきった家づくり
敷地は北鎌倉の山側
敷地は北鎌倉の駅から海とは反対方向に山側へと向かって2kmほどの場所。敷地の裏手の斜面は途中から林にかわる。Yさんがこの土地を探した時のポイントはまず、山に近く、家があまり建て込んでいないという2点だった。
通勤に問題なければエリアは特に限定しなかったという土地探しで、山に近いということで勧められたのが鎌倉のこの場所だった。
「都内のように、窓を開けたらすぐ隣の家があるみたいなのはいやだったんですが、ここなら窓をあけても見えない。そこが大きかったですね」とYさん。
土間がほしい
「自然のある伸び伸びとした環境の中で子育てをしたかった」(奥さん)ということもあっての敷地選びだったため、家づくりは周囲の自然環境を活かしながらそこにY夫妻のリクエストを盛り込むかたちで進んだ。
「土間がほしいとお伝えしました。用途が限られるような場所をつくりたくなかったのと、狭い玄関はいやだったので」とYさん。
「バイクも置くことができたりと用途をあまり限定せずにざっくりとした使い方ができるようなスペースがほしいという要望がまずありました。ただそれが玄関スペースというだけで済ましてしまうと道路と建物と庭がつながらないので、建物の真ん中にもってきて貫いたらどうですかという提案をしました」(桑原さん)
環境との親和度を高める
玄関から入って土間をそのまま進むと豊かな緑のスペースへと出ることができるのだが、このように土地の魅力を活かすための提案は他にもあった。1階部分を庇がぐるりと回っているのだ。
豊かな緑に面した庭側の開口を、日差しが強い日にカーテンで閉めてしまうのではもったいない。庇があれば日差しが強くてもカーテンを引かずにいられるし、雨の日なら窓を開けて雨音を楽しむこともできる。
庇をぐるりと回すことで周囲の環境との親和度を高めようとしたのだという。そしてさらにもうひとつ、吹き抜けスペースに大きめの開口がつくられたのも庭側の緑を満喫するためであった。設計は日照のことも合わせて考えながら進められたという。
「この土地は南側に斜面があって日照の面では実は不利で、特に真冬になると2時を過ぎると日が入らない。それでも有効に家全体に光を届けられるように吹き抜けと窓の位置をいろいろシミュレーションしましたね」(桑原さん)
図書館のような場所
2階ではこの吹き抜けに面して机が造り付けられていて、そこに座ると庭の緑をまた違った角度から楽しむことができる。この机は、そのまま奥まで続いているが、夫妻のリクエストをもとにつくられたものという。
リクエストは「図書館のような場所」。家族みんなで一緒に勉強したり調べものをしたりして一緒にいられるような部屋がリビング以外にもほしい、そんな思いを建築家に伝えたという。
机の長さは8m。このスペースを家族が集って楽しめるものにするために、隣接する子ども部屋は寝るだけの場所にして比較的小さめに抑えた。
また、四季折々の変化がわかるのも気に入っていると。「日の入り方とか1日の中での変化もそうですけど、自然の変化がとてもよく感じ取ることができていいですね」(奥さん)
Yさんの現在の夢はリビングに薪ストーブを置くこと。それを前提に煙突を通す穴も天井にすでに開けてある。「ストーブを置いて早く煙突を見たい」と語るYさん。岐阜の奥さんの実家では薪がもうすでに用意されていて、Y家で使われるのを待っているという。