Style of Life
葉山の自然と一体にキッチュなのに温かい
自由に楽しむ海沿いの家
自分らしくプロデュース
葉山の海が間近に望める絶好のロケーション。ヘアメイクアップアーティストの神崎美香さんは、2年前にこの地に一軒家を新築した。
「海が見える条件で土地を探しました。下の子が生まれて、のびのびとした環境で育てたいと思ったのがきっかけです」。
20代のうちの7年間をロンドン、パリで過ごした神崎さん。当時受けた刺激が影響を与えているそう。
「向こうでは、引っ越すとまずペンキ塗り。自分の好きな空間に作り変えるんです。日本ではあまり家に手を加えることがないと思うのですが、それがすごく嫌で。どうしてもっと生活を楽しまないのかな、と。いずれ家を建てたら自由にやりたいと思っていました」。
その言葉通り、フラッグガーランドがウッドデッキのテラスにはためく海沿いの一軒家は、神崎さんの空間を楽しむアイデアが満載。ワクワクさせられるような独創性に満ちていた。
一体感のある造りに
「なぐり書きで描いた設計図を、工務店さんに図面に起こしてもらいました。すごく嫌がられましたが(笑)」。その画の緻密なこと! 空間のイメージだけでなく、タイルの並べ方、色使いまで細かく表現されている。
「何風とか、テイストは一切無視。好きなものを集めてコーディネートしました。非現実的な雰囲気がイメージでしたが、落ち着かないのは嫌なので、木を使うなどナチュラルな素材も取り入れました」。
譲れなかったのは吹き抜けと、そこからつながる広々としたテラス。
「ベランダというよりはテラス、キッチンというよりはリビング。どの場所もひとつの空間として使いたいと思いました」。
玄関は海や空をイメージするグリーンを壁に塗装して、外からのつながりを演出。バスルームはお風呂、トイレ、洗面所をなるべく仕切らず、窓はルーバーにして目隠ししつつ、開け放てば庭を見ながら入浴できるように。リビングや、仕事場でもあるメイクルーム、キッチンなど、天井高にもこだわった大空間が、開放感を与えてくれる。
オリジナリティ豊かに彩る
「工務店さんには色々と造作してもらいました。“そんなのやったことないなあ”とか、ぶつぶつ言いながら作ってくれましたよ(笑)」。
キッチンの中央に構えるアイランドはモルタルで造作。ウッドの収納部分が温かみを出している。玄関やリビングのドアなども、アンティーク調にリクエストした。
「職人さんが持っていた昭和のガラスをはめ込んで作ってもらいました。模様が1枚1枚違っているのが気に入ってるんです」。
流木の取っ手は神崎さんが作ったもの。海で流木を拾い集めては作るお手製の流木アートが、部屋のあちこちに飾られ、デコラティブな中に素朴な雰囲気も添えている。
「壁はわざとくすませたり、にじませたりして、古さを出してもらいました。ピカピカなのは嫌なので」。
本棚風だったり、パリの風景だったり、だまし絵のような壁は「WALPA」で買った壁紙を採用。ロンドンやパリ時代に買い集めたアンティーク雑貨も活かしつつ仕上げられた、アーティスティックな空間に目を奪われる。
夢はまだまだ広がる
「8割は夢に近づきましたが、あと2割はこれから。夫婦でちまちま手をかけていきたいと思います」。
今、取りかかりたいのは庭。傾斜のある地面に階段をつけてハーブや野菜を育てるほか、ピザ釜を作る予定だそう。
「パンを習っているので、釜で焼けたらいいなと。レンガを組み立てて作る予定です。こちらの人は家にピザ釜を持っている人も多いんですよ」。
広々としたリビングやテラスでは、ヨガ教室やワークショップなどを開くこともある。
「自分で企画して、先生を呼んで講義してもらったり、ランチ会を開いたり。東京にいた頃はがむしゃらに働いていて、それも大事な経験でしたが、今は少し余裕が出て、毎日の生活を楽しめるようになりました」。
気候のよい日にはテラスで食事をしたり、お茶を飲んだり。波音と潮風を感じながら、自分らしい暮らしを楽しむ様子が伺えた。