Style of Life
テーマは米軍ハウス細部までこだわりぬいた
アメリカンスタイルの家
米軍ハウスに憧れて
広い芝生の庭を前に建つ大きな平屋。明るいクリームイエローの外壁を、白い枠の窓が切りとる。まるでアメリカの映画やドラマに出てくるようなこの家に暮らすのは、Kさん夫妻と2人のお子さんだ。
以前は横浜のマンションに暮らしていた夫妻だが、いつかは「広い庭のある大きい家に住みたい」という希望を持っていた。「土地はあちこち探しましたが、同じ神奈川県内で、なじみ深い僕の実家の敷地に建てることにしました」(Kさん)。
Kさん夫妻は家づくりにあたり、さまざまな雑誌やWEBサイトを見たという。そんな中で強く惹かれたのが、「米軍ハウス」だった。米軍ハウスとは、1950年代ごろに建てられた米軍関係者のための家。広い庭、平屋、ゆったりした間取りなどが特徴で、アメリカらしい伸びやかさと、レトロな趣が魅力だ。「ゆったりした平屋と広いお庭に憧れていたので、米軍ハウスのスタイルって素敵だなと思いました」。「元々アメリカの古着を集めていて、新しくてピカピカしたものよりも、歳月を重ねて味わいを増したものが好きだったんです」とKさん夫妻は振り返る。
アメリカンスタイルの家づくり
米軍ハウスをテーマとしたKさん夫妻が家づくりを依頼したのは、アメリカのアーキテクチュアルサルベージ(建築古材)やアンティーク家具をふんだんに用い、味わい深いアメリカンスタイルの家づくりを行う「RUSTIC GOLD」の木堂夫妻だった。
「木堂さんを知ったのは『100%LIFE』。手がけた家の記事を見て、本物のアメリカンスタイルの家の格好良さに衝撃を受けたのです。木堂さんのご自宅にも伺ったのですが、圧倒的なセンスで思わず息をのむ空間。100%任せよう!と思いました」(Kさん)。
米軍ハウスがテーマと聞いた木堂夫妻は、国内はもちろん、グアムとサイパンの米軍基地の住宅も見に行ったそうだ。「庭周りのチェーンリンクフェンス、三角屋根、無垢のフローリング、二重扉の玄関など、本物の米軍ハウスの特徴を、Kさんの家の随所に取り入れました」(木堂夫妻)。
理想の空間が完成
そうして完成したKさん邸。どの部屋のどこに目をやっても、アメリカで長い年月を過ごし、いい渋さが出たものたちがドラマチックな佇まいを見せ、細部までスタイルのある空間となっている。
家中の床はすべて、アメリカ北部の街の製材屋で見つけたというベイマツの古材。窓は、リビング、ベッドルームともに、白い枠がさわやかな上げ下げ窓。そして、すべての壁面につけた白い腰板。内装の仕上げ方にも、アメリカンスタイルが貫かれている。Kさん夫妻は「まさに理想通りの空間。木堂さん夫妻にお任せして本当に良かったです」とうなずく。
また、ダイニングキッチンは、リビングと一体ではなく独立させて設けた。「作業スペースがたっぷりあって、趣味のお菓子づくりを思う存分楽しめるので、とても気に入っています。今は対面式キッチンが主流ですが、アメリカだとこういうスタイルも人気だそうです。独立してこもり感のあるキッチンも、“自分の城”という感じがしていいものですよ」(Kさん)。
暮らしやすさに感動
Kさん一家がこの家に暮らし始めて1年数ヶ月。見た目の格好良さもさることながら、住み心地の良さにも驚いたという。「この家は、リビング、独立したダイニングキッチン、3つのベッドルームというアメリカらしいはっきりとした間取りで、部屋の役割が決まっているところが暮らしやすいんです」。
間取りの他にも、暮らしやすさの工夫は随所にある。「収納が欲しいとお願いしたら、階段を織り交ぜた容量も見た目も最高なアイデア収納を作ってくださいました。あと、キッチンのカウンター下にゴミ箱を隠してくれたり、欲しいなと思うところに見事にコンセントがあって感動しました」。「明かり取りの天窓のおかげで夕方まで電気をつけなくても明るいし、床もさりげなくバリアフリーなんです」。Kさん夫妻は、住み心地の良さを次から次へと語る。
アメリカらしいラフな格好良さと、木堂夫妻の繊細な気遣いが同居したオンリーワンの住まい。Kさん夫妻が大好きな世界観の中で、すてきな家族の時間が紡がれていくのだろう。