Style of Life

小さなお店のある家家も暮らしの器
自分に心地いい暮らし

小さなお店のある家 家も暮らしの器 自分に心地いい暮らし

デレク・ジャーマンに憧れて

東京の立川市で手仕事品を扱う店「H.works」を営む園部由貴さん。以前は駅近くのビルの一室で12年ほど店をしていたが、家を建てるのを機に、職住一体の暮らしに。駅からは遠くなったが、大きな通りから少し入り、畑などに囲まれた緑のある敷地に小さな家を建てゆったりとお客様を迎えている。「デレク・ジャーマンの家と庭がすごく大好きで、あんな家がいいなあというイメージがありました」。そう話す園部さん。デレク・ジャーマンとは、原子力発電所の近くの何も無いだだっぴろい土地に小屋を建て、庭造りをしながら暮らしていたイギリス人の映像作家だ。確かに、畑や大きな木が植わっている広い敷地にさりげなく建つ小さな家は、デレク・ジャーマンの家と通じるものがある。

正面から見た1階の店部分。右奥がダイニングスペース。正面棚の裏がキッチンスペースに。店、ダイニング、キッチンを回遊できる動線となっている。
正面から見た1階の店部分。右奥がダイニングスペース。正面棚の裏がキッチンスペースに。店、ダイニング、キッチンを回遊できる動線となっている。
吹き抜けからの見下ろし。
吹き抜けからの見下ろし。
奥のダイニングスペースは店ともキッチンともつながっている。扉をしめればプライベート空間に。
奥のダイニングスペースは店ともキッチンともつながっている。扉をしめればプライベート空間に。

限られた面積で使い勝手よく

1階が店で、外から中が見えやすい木枠のガラスドアを開けて中に入る。建物は「家」だが、店としての入りにくさもなく、家と店の中間という絶妙な雰囲気を感じさせる。店には園部さん厳選の器や料理道具などが並べられている。決して広くはないが、見ごたえのある量とバラエティで展開されており、かゆいところに手が届くような品ばかり。
奥にはキッチンとダイニングスペースが。ここは普段の食事にはもちろん作家さんを招いたり、出張カフェをしてもらったりするときにも使うという半プライベート空間。
奥の階段前が玄関で、靴を脱いで2階へ。ここを扉で仕切り、将来的に小さな二世帯住宅としても使うことも考慮されているそう。2階はリビングと寝室のプライベートな空間。小さなキッチンもあるが、ここではお湯を沸かす程度だという。

ご自身の使い方と器の寸法を熟知した園部さんが望んだコンパクトかつ収納力もあるキッチンスペース。道具類は見えるように扉などはつけなかった。
ご自身の使い方と器の寸法を熟知した園部さんが望んだコンパクトかつ収納力もあるキッチンスペース。道具類は見えるように扉などはつけなかった。
ダイニングから見たキッチン。この小窓からお皿の出し入れもできる。
ダイニングから見たキッチン。この小窓からお皿の出し入れもできる。
キッチンは以前から愛用していたワゴンが収納できるよう大工さんにつくってもらった。
キッチンは以前から愛用していたワゴンが収納できるよう大工さんにつくってもらった。
ダイニング奥にある玄関スペース。
ダイニング奥にある玄関スペース。

食事の器、暮らしの器

家の設計をお願いしたのは、国分寺の設計事務所「straight design lab」を営む建築家・東端桐子さん。「雑誌の狭小住宅特集で東端さんの手がけられた記事を見つけて、サイトを見たらすごく心にひっかかる部分があったんです。木も好きなんですが、素材によってはスチールのシャープな感じなんかも好きで。東端さんのご自宅の記事も拝見して色使いや使っている材質、細部のちょっとした工夫がまさに私が求めているイメージと重なったのでお願いしました」と園部さん。東端さん曰く、「色使いなどに関しては本当にスムーズに決めることができました。また、プランなどは園部さんが熟考されたスケッチをいただいたので、私は整える程度でしたね。特にキッチンまわりは完璧なスケッチでした」。
「私の器選びの基準は、自分の心にぴたっとくるものかどうか。つくり手の思いや実際の使い勝手など、見た目以外のことも重要なので、作家さんとも対話を重ねています。家も器も似たようなところがあると思います。今の家はほんとうにちょうどいいもので、デザインも使い勝手も居心地もとても満足しています」。店へのアクセスは決してよくはないが、長居していく方も多いそう。少しずつ庭づくりも楽しんでいきたいと話す。

2階のリビング。奥が寝室とクロゼット。
2階のリビング。奥が寝室とクロゼット。
寝室は屋根の形がそのまま現しの落ち着く空間。
寝室は屋根の形がそのまま現しの落ち着く空間。
シンプルな白いタイル貼りの清潔感ある水周り。
シンプルな白いタイル貼りの清潔感ある水周り。
ところどころに使われているスチールのブラケットは、東端さんが家具製作をするご主人とつくる「SAT. PRODUCTS」のもの。
ところどころに使われているスチールのブラケットは、東端さんが家具製作をするご主人とつくる「SAT. PRODUCTS」のもの。