Style of Life
螺旋階段のある家抜けと余白のある空間に
光がたっぷり降り注ぐ
吹き抜けの開放感を楽しみたい
ECメディア「北欧、暮らしの道具店」でバイヤーを務める竹内敦子さん。のどかな住宅街の日当りのいい角地に、1年程前一軒家を設けた。
「両親も兄も建築関係の仕事をしていることもあって、建物を観るのが好きだったんです。夫も戸建て派で、将来は家を建てたいねと話し合っていました」。
見つけた土地は第一種低層住居専用地域にあった。閑静な住環境と日当りが保障される一方、土地に対して建てられる面積は制限される。ここにあえて螺旋階段のある、贅沢な吹き抜けのリビングを設けることに。
「100%LIFEで螺旋階段のある家を見て、ヒントになったんです(笑)。大工さんの押しもあり採用したのですが、良かったなと思っています」。
ネット検索で見つけた地元の工務店が、設計から施工までを担当。
「決して広くはない土地でも明るく開放的に暮らしたい、光が差し込む家にしたい、とリクエストしました」。
外側からは中が伺い知れない、閉じた白い箱のよう。ところが中に入ると、光いっぱいの抜けのある空間が広がっていた。
光の入り方を大切に
「北欧を特に意識したわけではないのですが、もともと持っていた家具から、必然的に北欧の雰囲気になりました」。
白い壁に明るめの色味を選んだ床。シンプルな空間には、4mの高さのある大きな開口から光がたっぷり降り注ぐ。
「光がどう入るかは気になりましたね。特に水回りには窓が欲しかったので、キッチンは南側の庭向きに設置してもらいました」。
当初のプランでは窓がなかった2階のベッドルームにも、リビングを見下ろすようにガラス窓を設け、北側の玄関には光が届くよう、リビングの引き戸をガラス戸に。
「仕切りがほとんどないので、冬はコロナの石油ストーブ1台で、家中が暖かいんです。エアコンはほぼつけないですね」。
2階のフロアも、ベッドルーム以外には仕切りを設けずオープンに。いずれ家族が増えたら部屋をつくれるよう、可変性のある間取りにした。
「当初のプランではもうひと部屋あったのですが、工事中にやっぱり要らないな、と思って中止してもらったんです。だから柱にその名残りがあります(笑)」。
ひとつながりとなった空間を、暖かい光と空気が回遊する。
庭を眺めながら調理を
「キッチンはお料理しながら緑が眺められるので気持ちがいいです。春先には木々が芽吹いてくるのも見られますよ」。
キッチン台は、ステンレスの天板をリクエストして造作。“業務用感”が気に入っていたリンナイのコンロと、“予洗いが要らない”ミーレの食洗機をビルトインした。
「全体的に白っぽい空間なので、キッチンと洗面にはタイルを使ってアクセントにしました」。
空間になじむよう白いタイルをセレクト。目地は汚れをカバーしつつ、“強すぎないよう”グレーで。床はキッチンまわりだけ、グレーのタイル調の素材を張った。
「汚れや水ハネも気にならないし正解でした。使いやすさを考えて設計したキッチンなので、お料理も楽しいですね」。
機能的でシンプルなキッチンを、グリーンやお気に入りの雑貨が彩っている。
北欧ソファーが似合う家に
学生の頃から北欧にはまっていたという竹内さん。新築時には揃えたいソファーがあった。
「ハンス・J・ウェグナーのデイベッドを新築記念にしたくて。そのために建築予算を残しておいたんです(笑)。置く位置も設計する時にイメージしました」。
ストライプの柄をセレクトしたデイベッドは、リビングの壁沿いにちょうどよく収まっている。北欧家具を中心とした空間に、さり気なく飾られたダーラナホースやヒンメリなどの雑貨が、温かな雰囲気を添える。
「雑貨が大好きなのですが、どこに置くか考えてからでないと買うことができなくて。意外とものが少ないね、と言われます」。
延床面積約82㎡の空間を好みのもので彩りつつも、すっきりとしているのは、余白が大切にされているから。開放感あふれる日溜まりのような空間で、お気に入りのものとの暮らしが営まれている。