Style of Life
子供と楽しむ海辺の生活シンプルな白い箱に、
こだわりとアイデアを凝縮
![子供と楽しむ海辺の生活 シンプルな白い箱に、 こだわりとアイデアを凝縮 子供と楽しむ海辺の生活 シンプルな白い箱に、 こだわりとアイデアを凝縮](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub.jpg)
“格好つけない”2軒目の家
「鎌倉に家を建てよう」と思ったのは、子供が生まれたことがきっかけだった。「サーフィンをやっているので、もともと鎌倉にはよく来ていたんです。海も山も近くにある、自然に恵まれたところで子供を育てたいね、と妻と話し合って決めました」
それまでは東京駅が見える一戸建てに住んでいたという坪井さんは、住宅の内装デザインやプロダクトデザインを行うデザイナーであり、現在は自宅の一階に自らデザインした商品や、各国から集めた商品を販売するセレクトショップ「Losango」も経営する。前の家も今の家も自分でイメージし、プランを立てて建築した。
「以前は鳥かごみたいな構造で、屋上にお風呂を造ったり、床を全部モルタルにしたりと格好つけた造りでした。今回はそれとは全く違って、力の抜けた家にしたかったんです。デザインっぽくするのではなく、なるべくシンプルに、箱のような家を目指しました」
![ソファーテーブルは壁と床の色に合わせて塗り替えてもらった。ペルシャ絨毯の雰囲気ともマッチ。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_003-350x525.jpg)
![ドアは腰壁のカラーと合わせて統一。仕切りの壁にはめこんだガラスにもこだわった。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_004-350x525.jpg)
自らプランニング
吹き抜けがあったり、段差があったりといった凝った造りは一切ない。2階にベッドルームとバスルーム、3階にリビングダイニングと構成はいたってベーシック。しかし細かいところにこだわりが見て取れる。「柱が出ないようにというのは特にこだわりました。木造3階建てで柱がないと不安だという人もいますが、そこはしっかり構造計算しました」
壁は漆喰、階段やバスルームには全て細かな白いタイルが敷き詰められている。階段を登って2階に上がると、正面には入り口の狭いシューズインクローゼットが。これも坪井さんのアイデアで、靴を見えないようにしておくため、あえて入り口を狭くしたという。中に入ると、家族の靴のコレクションがずらりと並ぶ。
「ベッドルームは寝るためだけの部屋なので小さくていいかなと思い、“ドラエモンの寝室”を目指しました」。2階は1階、3階と比べて天井が低く、小さな個室で区切られている。「逆に3階は天井を高くして広々とさせました。普段はリビングや屋上にみんなが集まれるようにしたいと思ったんです」
洗面とつながったバスルームは、ドアがなくアーチ型の狭い入り口をくぐったところにある。「洞窟風呂のイメージですね。本当はもっと狭くしたかったのですが、それだと子供を抱っこして入れないので」。どこか幻想的なムードが漂うのは、バスタブまで敷き詰められたタイルの効果かもしれない。「タイルはずっと使えるハードウエア。素材的に好きなんです」。
![1階店舗の脇の階段から2階に上がる。階段もすべてタイルが敷き詰められ、清潔で美しい。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_005-700x467.jpg)
![3階まで細い階段が続く。真っ白な空間がどこか幻想的。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_006-350x525.jpg)
![坪井さんのベッドルーム。各個室は小さく、天井を低く設計。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_008-350x525.jpg)
![トイレの奥がバスルーム。入り口はアーチ型にして、あえて狭くすることにこだわった。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_010-350x525.jpg)
![洗面所の壁はタイルと漆喰で構成。坪井さんがデザインしたガラスの棚受けなど、「Losango」の商品を使用。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_012-350x233.jpg)
![シューズインクローゼットは、身体を横にして入る広さ。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_007-350x525.jpg)
![洗面、バスルームへの入り口。床はここまでチーク材で統一。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_009-350x525.jpg)
![バスタブもタイル貼りの徹底ぶり。洞窟風呂に入っているような気分が味わえる。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_011-350x525.jpg)
![バスルームの水栓はポルトガルのもの。白いタイル貼りの空間にマッチする。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_013-350x233.jpg)
力強さのあるプロダクトを
坪井さんが空間やインテリアに興味を持つようになったのは子供の頃。「姉が読んでいた『オリーブ』とかを見るのが好きだったんですね」。その感性で選ばれたものは、3階のリビングに結集。
「なんとか風というのは好きではないし、デザイナーもの、ブランドものはひとつもありません。自分がいいと思うもの、自分でデザインしたものだけを置いてインテリアにしています」。ペルシャ絨毯や大きな鳥かご、インドネシアで作ったショーケース、業務用のロイドの椅子。無国籍に選ばれたそれらは、すべてその審美眼にかなったもの。
「きゃしゃなデザインは好きではないですね。無骨で力強いもの、大量生産の工業製品が好きです。グラスで言えばバカラではなくてデュラレックス。かっこいい店でも幼稚園でも、老人施設でもはまるような強さのあるデザインのものに魅力を感じるんです」
あえて深い赤にして落ち着いた雰囲気を出したチーク材の床に、微妙なベージュトーンの腰壁が個性を添える。ソファー、テーブル、テレビボードなどは床と壁に合わせて塗り直した。ドアノブや鍵は真鍮、スイッチはアメリカ製の味のあるもの。さり気ないのだが、こだわりが随所に散りばめられている。
![棚の上のフラワーベースは仏製。「大量にプレスして作る力強さが好きなんです」](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_015-350x525.jpg)
![フィリピンの工場で手作りされる大きな鳥かご。中にいるのはオカメインコのグリちゃん。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_017-350x525.jpg)
![照明は琺瑯シェード。無骨な感じが空間になじむ。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_016-350x525.jpg)
![リビングの中で存在感を放つ植物。ホルダーは「Losango」でも販売。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_018-350x525.jpg)
![スイッチはアメリカのホームセンターなどで売っているものを使用。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_020-350x331.jpg)
![ドアノブや鍵はすべて真鍮にこだわる。重厚感が魅力。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_021-350x331.jpg)
海辺での穏やかな暮らし
「キッチンは妻のリクエストで、パントリーを設け、人工大理石のシンク、メラミンの戸棚の扉、ミーレのクッカーやオーブンを採用しました」。元パティシエの妻は、料理やお菓子づくりがプロの腕前。その本格的な料理を家族揃って堪能する。お子さんは現在4歳の男の子。
「ふだんはリビングも子供のおもちゃが散らかっています。1階で仕事をしていて、2階で歩き回る子供の足音が聞こえる、そういうのもいいですね」。リビングの窓からは由比ケ浜の海が見える。海が一望できる屋上のテラスでは、友人らと共にヨガをしたりすることも。
「毎朝8時に、長谷寺の鐘の音も聞こえてきます。朝起きて波があればサーフィン、そのあと仕事をして、夜はブラジリアン柔術の先生もしています。本当に規則的な生活ですし、東京に住んでいた頃とは全然違った暮らしになりました。子供のためにここに引っ越してきたところが大きいけれど、ここでの生活を満喫させてもらっています」
![キッチンは妻が立てたプランを基に設計。大きめのシンクなど、使いやすさが感じられる。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_023-700x467.jpg)
![キッチン脇のパントリー。愛用品が整然と並ぶ。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_024-350x525.jpg)
![キッチンからリビングを望む。子供の動きもチェックできる。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_026-350x525.jpg)
![由比ケ浜に建つ3階建ての一軒家。1階がセレクトショップ「Losango」。http://losango.jp](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_029-350x525.jpg)
![食器は和食器を除いて、白で統一。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_025-350x525.jpg)
![プロ仕様の調理器具、調味料が揃う。水筒はお気に入りのフランス柳のホルダー付き。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_027-350x233.jpg)
![キッチンツールやガーデングッズ、ステーショナリーなど、“力強さ”を感じたものを坪井さんがセレクト。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_031-350x233.jpg)
![坪井盛朗さん。格闘技・ブラジリアン柔術の先生でもある。「Carpe diem Kamakura 」 bjjkamakura.com](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_032-350x233.jpg)
![唯一柄の入ったコップはオリジナルデザイン。ポルトガル語で菱形を表す「Losango」に因む。](https://img.100life.jp/2015/02/150216_tub_028-350x233.jpg)