Style of Life
建築デザイナーの自邸 鎌倉の緑豊かな高台に建つ
居心地の良い小さな平屋
終の住み処は手入れが楽なほうがいい
鎌倉の自然豊かな小高い丘の上に建つ平屋の家。
リビングの大きな窓を開けると、広々とした明るい庭が広がる。
この家はパパスホームを設立し、現在はAtelier23.を主宰する建築デザイナーの井手しのぶさんの7軒目の住まい。
「子どもも独立し、暮らしをコンパクトにしたかったので、終の住処のつもりで小さな平屋を造りました」
土地はネットで見つけた。
「熱海や軽井沢もいいなと思ったのですが、家族や友人が居る鎌倉で土地を見つけることができました。
傾斜地と書いてあったのですが、気になるほどではなく、却って少しの傾斜は水はけが良かったです。ただ雑草が生い茂っていたので、家を建て、庭を作るためには、かなり手を入れなければなりませんでした。
犬と猫がいるのですが、クルマが往来する道路も近くにないですし、この環境ならのびのびと飼うことができると思いました」
自然素材の居心地の良い住まい
家造りのテーマは、ローコスト、そして住まいの手入れが簡単なこと。
「DIYで壁に珪藻土を塗ったのですが、計算するとプロに頼んだほうが安かったという失敗もありました(笑)。
動物がいるので、床は手入れが楽なモルタルにしました。箒でさっと掃けば掃除が終わります。海辺に建てた前の家は窓掃除に苦労したので、この家は庭に面した窓以外は小さくしました」
井手さんの住まいのほっこり安らげる居心地の良さは、珪藻土の壁、モルタルの床、杉材の天井と、自然素材で作られているからかもしれない。経年変化が楽しめるアイアンの飾り棚や薪ストーブ、アンティークの家具が自然素材の家にしっくりと馴染む。色数を絞り、玄関扉とモロッコタイルのブルーをアクセントカラーにしている。
少しつづ暮らしを整える楽しみ
今年に入って、動線の確保のため、I型のシステムキッチンから、コンロとシンクを独立させたスタイルにチェンジ。
「I型のシステムキッチンはアウトレットで安かったので買ったのですが大きすぎました。買ってきた食料を冷蔵庫に仕舞うために、キッチンをグルリと周らなければいけないのが不便で。コンロとシンクのアイランドに変更したら、無駄な動線が減りました。使わなくなったI型キッチンは友人の家に嫁に出しました(笑)」
キッチンの他にも、住みながら少しづつ暮らしを整えていった場所は多い。
「リビングの家具の配置をちょっとづつ変えてみて、ようやく落ち着いたところです。
今、庭の小屋を手直し中です。それが終わったらデッキも広げたいし、玄関タイルの張り替えも思案中です」