DIY
自然を取り入れてリメイク初めてのDIYで
少女の頃の憧れを形に
郊外に建つ洋風一軒家
東京郊外の丘陵地。蔦の絡まる洋風の一軒家を見つけた時、小泉さん夫妻は即決した。「古い家をアレンジして住みたいと思い半年ほど探していたんです。自然に恵まれたまわりの環境と家の造りの面白さ。ここだと思って購入を決めました」
白樺などを素材とするアクセサリーを制作するあやさんの理想は、子供の頃に読んだ「少公女セーラ」や「若草物語」の世界。ご主人と初めてのDIYに挑戦し、リフォームしていった築38年の物件には、夢だった屋根裏やツリーハウスのイメージが大いに活かされた。
自然を家に取り入れたい
1階はアトリエや来客用のスペースに洗面、バスルーム。2階がリビング、ダイニング、キッチン、居室など家族の生活スペースとなっている。壁はすべて漆喰にし、床も白いペンキを塗装。もともとなかった部分に壁を取り付けたり、ドアを古いものに付け替えたり。水道工事と2階の一部を除いては、ほとんどご主人とふたりで着手したそう。
「主人が休みの日は必ずDIYという感じでしたね。でも、もともとカーテンとか小物とか何かしら手作りするのが好きだったので、それが家づくりにつながった感じです」。傾斜地に建ち、今は家族4人の寝室としている子供部屋の窓からは、遠くまで広がる町の景色も眺められる。静けさの漂う空間にいると、別荘か山小屋にいるような雰囲気。
「家に自然を持ち込んで暮らしていきたいと思っているんです」。幼い頃からの夢であるツリーハウス風ロフトを、2階のリビングに完成したのもそんな想いのひとつ。子供たちの大好きな遊び場となっているそれは、白樺の木で飾り付けられている。
「工務店さんが捨てようとしていた白樺の木を頂いたんです。“こんなにかわいいもの、何かに使いたい”と思ったことが始まりで。家のインテリアにも活用していますし、現在の仕事ともつながっていますね」。2階のリビングには、白樺の木があちこちにオブジェのように配置され、森の中にいるような雰囲気を醸し出している。
素朴で味のあるインテリア
「インテリアは北欧風が好きですね」という小泉さん。骨董市などで買ったアンティークやヴィンテージの家具が、白い漆喰の空間になじんでいる。「家具や雑貨、作品などは白がいちばん映えると思って、白い箱をつくったんです」。レンガを使って煖炉のような置物を作ったり、杉材で鎧戸を作ったり。ヨーロッパの古い家を思わせる空間に、お気に入りの雑貨なども効果的に配置されている。
あやさんのインテリアのルールは、「飾りすぎず余白をつくること」。やりたくなるのを敢えて抑えて8分目にすることを心がけているという。「あとは温かい素材ばかりでも全体がぼやっとしてしまうので、冷たい素材を合わせてみたりします。例えば木とガラスとか、木とアルミとか」。
広々としたリビングだが、家具は意外と小さめのものを選んでいるのも意図してのこと。「大きいものはそれだけで主張してしまうんです。小さいものを選んで空きの空間をつくったほうが、部屋に広がりを持たせられると思いますね」。壁には小さな窓を設けるなど、抜け感も考慮した。「子供たちが小さいので、いつも目が届くように、家族の気配が感じられるようにしておきたいという主人の希望でもありますね」
穏やかな時間が流れる町
キッチンの床も夫婦で1枚1枚タイルを敷き詰めた。シンクは無機質なステンレスの質感を隠すため、白でコーティング。カウンターの窓のまわりもレンガで飾り付けした。細かいところまでこだわり、手を加えているのが感じられる。
「引っ越してきたとき、長女がまだ小さくてあまり外出もできなくて。そこで家をカフェ風にして楽しんでしまおうと思ったんです。自分がいかに快適でいられるか、考えてきたのが今の形になっています」。蔦のまばゆい緑が目に飛び込んでくる出窓の前のダイニングテーブルで、子供たちもおやつを楽しむのが日課だ。
「アイデアを出したのは全部私で、主人はそれを忠実に作ってくれました。大変なこともあったのですが、楽しんでやってくれましたね」。家づくりが一段落してからは、休日に家族で公園に行ったり、散歩をしたりして、まわりの環境を楽しんでいる。
「この辺りは坂道の町で自転車も少ないし、急いでいる人がいない感じです。近所のおじいちゃん、おばあちゃんも子供たちに声をかけてくれたり、和やかな雰囲気が漂っていますね」。ゆったりした時間の中、伸びやかに育っていく家と家族の様子が垣間みられた。