DIY
コーヒーの香りに包まれて第二の人生の舞台は
ショップ併設の2階建て
街道沿いの中古住宅を購入
須田 忍さんがコーヒー豆専門店「桃円」をオープンしたのは2007年。「それまでデザイナーとして働いていましたが、50歳を迎える頃からなんとなく先が見えてしまって。だったらやってみたかった店の経営にチャレンジしてみようと思ったんです」。
そこで考えた業種は、たこ焼き、大学芋、そしてコーヒー豆の焙煎の3つだったという。「いずれも材料の種類が少なくて、加工もシンプルだから始めやすいかなと(笑)。その中でもコーヒーが大好きだったので、豆の焙煎ショップに決めました」。
焙煎の煙が出ても近所に迷惑がかからない環境を求め、見つけたのが入間市駅から歩いて15分ほどの街道沿いに建つ中古物件。「元は蕎麦屋だった建物を買って、自分で店舗のプランを考えました。内装の大工をしている義弟に店舗部分のリフォームを依頼して、2階の住居部分は自分で手を入れることにしました」。
人やモノが行き交う場として
正確な年数はわからないものの、「築40年ほどは経っているんじゃないかな」という建物は、リフォームを経てコーヒー豆の焙煎専門店「桃円」に生まれ変わった。
1階の大部分を占めるショップスペースは、通りから見える位置に焙煎ルームがあり、その横に商品の豆をディスプレイするコーナー、その奥にカウンターを備えたキッチンがある。通信販売も行っているが、販売は99%が店頭だそうで、豆を買いにきた近所の人とコーヒー談義に花が咲くことも。
また、お客さんからも果物のお裾分けをはじめ家電などを譲り受けることも多いという。「店を始めてわかったのは、店という場にはいろんな人やモノがやってくるということ。それがおもしろくて、もっと早く店を始めていれば良かったと思うほどです」。
住居部分は自分でリフォーム
住まいとして使っている2階の3部屋は、自らリフォームを行った。「住み始めた8年前から今まで、少しずつですが、手を入れ続けています」。壁には珪藻土を塗り、ドアや階段の天井などもペンキで好みの色に塗って楽しんでいる。
「戸建てのいいところは、自分の好みに合わせて気兼ねなくリフォームできること。時間制限もないので、無理なくコツコツと進められるのもいいんです」。
自由な発想で住みこなす
「楽しみは音楽と料理と写真、そしてペインティングすること」と話す須田さん。豆を焙煎するかたわら、果実酒やジャムなどを作ったり、音楽を聞いたり、忙しい中にも楽しみの多い日々を送っている。「もともとコーヒーも大好きだから、今の暮らしの90%は、楽しみを味わうためのもの」と笑う。
そんな趣味を満喫する場として活躍しているのが、2階の住居スペース。3室ある部屋を、ペインティングのためのアトリエとして、お茶を気楽に楽しむ場として、自由な発想で使いこなしている。
ショップ併設の住まいを舞台に、新たな生き方を手に入れた須田さん。コーヒーを煎る香ばしい匂いに包まれる空間で、充実した時を刻んでいる。