Architecture
落ち着きのある家色と素材のコンビネーション、
そして開放感が心地よさのもと
「今じゃないと新しい家に越したりとかいろんなことができないんじゃないかと。それと、快適な生活を手に入れるチャンスだとも思って」と話すのは奥さん。
夏も冬も心地よく
家づくりでのこだわりはいくつかあったが、まずは暑さ、寒さへの対策を建築家にお願いしたという。
「前の家は30年経っていたので冬は寒くて夏は暑かったんですね。特に夏の暑いのががまんできなかったのでとにかく南側から陽が直接射さないということ、そして、冬は床暖房で快適に過ごせる。それが第一の希望でした」と奥さん。
さらに、真下のダイニングに光を落としているトップライトを開ければ室内の熱気も外へと抜けて暑さも軽減される。実際越してから初めて迎えた今年の夏はとても快適に過ごすことができたという。
色と素材にこだわる
奥山邸を訪れてみてまず気が付くのは、いくつかの壁面に色が塗られていることで、まず玄関入ってすぐの壁面がレッド系の色。前の家で棚などに使われていた色が気に入っていたためそれに近い色にしたという。1階の廊下と階段の壁のグリーンは奥さんの希望でグリーンに塗ることに。
加えて天井が温か味のあるベージュと、使っている色はやや多めだが、いずれも落ち着いた感じの色合いで、かつ、階段や床との色のコンビネーションもよく、上品な空気感を室内にもたらしている。
設計を手がけた建築家の都留さんは「前から持たれている家具類を心地よく、また大事に使われていたので、それらに合わせて色や素材の配置を考えた」という。
リゾートのような開放感と心地よさ
3階は息子さん夫婦の空間で、こちらにもこだわりの品々が置かれている。息子さんの奥さんが集めたもので、ミッドセンチュリーのものが多いという。キッチン脇の壁にかかるのはアンディ・ウォーホルが描いたキャンベル・スープのポスター。このウォーホルの初期の作品が映えるように壁は鮮やかめのブルーに塗った。
この3階の特徴は何と言っても都会の住宅地とは思えない開放性だが、これがリゾート空間のような心地の良さをつくり出している。このプランは、屋上テラスのポテンシャルを最大限生かそうとして考えられたものという。
「小さい中庭だけど、開放感があってちょっとコルビュジエの家みたいですね。それと、すごく落ち着きます」と奥さん。奥山さんは「まだ住み始めてから半年ほどですが、ずっと前からここに暮らしているような落ち着き感と心地よさがありますね」
好きな家具やコレクションを活かしつつ、色と素材にこだわってつくったこの家には、また、身体にやさしい心遣いも行き届く。お二人の満足は深いようだ。
設計 都留理子建築設計スタジオ
所在地 東京都渋谷区
構造 木造
規模 地上3階
延床面積 177.48m2