Architecture
シンプル&クール三角に象られた天井のもと
一体感をもって暮らす
実は、この家も屋根を三角にしたかったが、敷地が道から数メートル上にあるため屋根は妻側の部分しか見ることができない。それで、下の道からでもよく分かるようにLD部分の天井を三角にすることにしたという。
異素材を組み合わせる
このLDでは、玄関側の木の壁がそのまま天井まで続いている。三角形と木との組み合わせがよく効いた空間の落ち着き感は、木の質感とともに低い天井から生まれる親密な感じと大いに関係がありそうだ。
三角屋根からスタートしたものの、最初は「こんな家にしたい」というはっきりとしたイメージはなく、打ち合わせを進めていくうちに、雑誌なども参考にしながら「この部分はこうしたい」と決めて行ったという。
ただ、異素材を組み合わせたいということははじめから考えていたという。「素材を統一するよりもいろんな素材を組み合わせてもらいたい、とは伝えていました」
このキッチンの、デザインはシンプルでクールだがどこか暖かみを感じさせるところが、北欧デザインのテイストを感じさせる。そう思って見回してみると、リビングに置かれたスツールはフィンランドの建築家、アルヴァー・アールトがデザインしたもので、フレームに入れて壁に立てかけられているポスターはそのアールトも家具デザインを手がけているフィンランドの家具メーカー、artekのものだ。
モダンテイストでまとめる
さらに、2階の子ども部屋にはファブリックパネルが2つ立てかけてあったが、これもクールな色合いと素材感のある組み合わせが北欧的な空気感を感じさせる。
しかし、そのあたりを確認すると、予想に反して、どれも北欧を特に意識して集めたものではないという答えが返ってきた。「北欧というよりも、ミッドセンチュリーじゃないですけど、ちょっとモダンなテイストが好きなんですね」と奥さん。
インテリアのデザインにも北欧デザインの空気感が感じられるが、建築家との打ち合わせでも北欧のデザインの方向でまとめようという話は出なかったという。
「好きなデザインなどを雑誌からコピーしてファイルしたものを建築家に渡しました。それで、だいたいの趣味は分かっていただいて、こういう感じが好きなんじゃないでしょうか、というようなかたちで提案してもらったんです」
「各部屋に1色は入れるというのは元々話していて、いざ色を入れる段階になったら、サンプルを見ながら、子ども部屋はこの色にしましょう、寝室はちょっと落ち着いた色がいいんじゃないですか、という感じで決めて行きました」
家づくりのきかっけとなった三角屋根は三角天井となって実現したが、これによって家族の一体感のようなものがより感じられるようになって良かったという西畑夫妻。帰宅時には、どこか温かい心持ちでこの三角天井を目指して坂を上るのだろうなと想像した。
設計 西村幸希建築設計
所在地 川崎市麻生区
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 97.36m2