Architecture

リビング中心の家づくり明るく、開放的、
そして家族がつながる快適生活

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リビングが家の中心

亀崎邸の中心部分には、「人が自然に集まる場所なので、なるべく広くしてほしい」と亀崎さんがリクエストを出したリビングがすえられている。

玄関を入ってすぐの場所につくられたこのリビングを、寝室、キッチン、ダイニングといったスペースが囲み、南側の外部空間には広めのウッドデッキがつくられているのだ。


リビングより見る。カーテンの外はウッドデッキ。本棚の後ろには浴室などの水回りがある。庭に出られるドアが設けられているため、洗濯をしてそのまま外に出て干すことができる。このようなつくりにしたのは亀崎さんのリクエストだったという。
リビングより見る。カーテンの外はウッドデッキ。本棚の後ろには浴室などの水回りがある。庭に出られるドアが設けられているため、洗濯をしてそのまま外に出て干すことができる。このようなつくりにしたのは亀崎さんのリクエストだったという。

左手に寝室。北側に設けられた2階には子ども部屋が2つつくられた。
左手に寝室。北側に設けられた2階には子ども部屋が2つつくられた。

明るさをもたらし家族をつなげる

リビングの天井は半階分ほど持ち上げられている。その吹き抜け部分ではハイサイドライトが3 方に開いていて、広めに取られたスペースに十分な明るさをもたらしている。

天井が半階分持ち上げられてできたこの吹き抜けは、北側で2階にダイレクトに接し、小1の兄と幼稚園に通う妹の2人にそれぞれ用意された子ども部屋とリビングとを天井に遮られることなくつながっている。


リビング上の吹き抜けは、3方にハイサイドライトがあり、手前(北側)では子ども部屋のある2階ともつながる。
リビング上の吹き抜けは、3方にハイサイドライトがあり、手前(北側)では子ども部屋のある2階ともつながる。

納谷建築設計事務所から出されたこの設計案はまったく想定していなかったものだったという亀崎さん。「すごいと思うと同時に、建ったらどんなふうな感じになるのかが楽しみ」だったという。

実際に暮らしてみると、1階と2階がつながることにより「声が聞こえるので誰がどこにいるのかがわかるのがすごくいい」と話す。

奥さんも「キッチンにいても2階まで声は通るし、ああ、あそこで何をして遊んでいるなというのもわかるので、子どもが小さいうちは安心して過ごせる」つくりだという。


2つの子ども部屋の間につくられた廊下からリビングを見下ろすことができる。
2つの子ども部屋の間につくられた廊下からリビングを見下ろすことができる。
階段室の壁には照明が仕込まれている。
階段室の壁には照明が仕込まれている。


階段室からリビング上の吹き抜け部分を見る。
階段室からリビング上の吹き抜け部分を見る。
2階の子ども部屋から吹き抜け部分を見る。
2階の子ども部屋から吹き抜け部分を見る。


ハイサイドライトは、現在は空地の南側の敷地に万が一家が建った時の採光を考慮してのことでもあった。だが、南側に関しては、室内へ差し込む光の量を考慮して、天井を南側へ向けて傾斜させて開口面積を絞っている。そのために、北側の2階へ開いた部分では、大人が立ったまま下のリビングを見れるほどの高さが確保されている。


リビング上の天井/屋根が北側の2階から南側に傾斜しているため、ハイサイドライトの高さが南と東西では異なる。
リビング上の天井/屋根が北側の2階から南側に傾斜しているため、ハイサイドライトの高さが南と東西では異なっている。

段差で区切る

1.5階分の高さをもつリビングは、東側ではキッチン、ダイニングと壁なしでつながる。この土地にもともとあった段差をそのまま活かしているため、リビングとキッチン、ダイニングとは73cmの高低差があり、間に設けられた階段を通してつながりながらも別々の空間としてゆるやかに区切られている感覚がある。


ダイニングからリビングを見る。この2つのスペースは床の位置と天井の高さが異なるため、壁がなくても異なる空間としてゆるやかに区分けされている感覚がある。
ダイニングからリビングを見る。この2つのスペースは床の位置と天井の高さが異なるため、壁がなくても異なる空間としてゆるやかに区分けされている感覚がある。

お酒を楽しめるウッドデッキ

リビングから直接出ることができるウッドデッキを設けたのは、お隣にある亀崎さんの実家との行き来を考慮してのことでもあったが、亀崎夫妻から出されたリクエストでもあった。

「2人でお酒が飲めて楽しめる場所があるといいなあというのをお伝えしました」(奥さん)。「春や夏はウッドデッキがあれば気持ちよく過ごせるし、目の前が空地で圧迫感もないので納谷さんにお願いしました」(亀崎さん)


ウッドデッキに面した窓を開けるとさらに開放感が増す。
ウッドデッキに面した窓を開けるとさらに開放感が増す。

亀崎さんはこの家では特に夏の暮らしが気に入っているようだ。

「リビングはとても明るくて、このつくりにしてすごくよかったと思います。夏は朝から夕方の6、7時までずっと明るい。電気を付けないでもまったく問題ないぐらい明るいです。夏には実家の両親や友だちを呼んでウッドデッキでバーベキューをよくやりました。この家は夏がとても気持ちよく過ごせますね」


奥さんは階段部分に座って本を読むこともあるという。
奥さんは階段部分に座って本を読むこともあるという。
ダイニングの側から見上げると、吹き抜け部分がさらに高く見える。
ダイニングの側から見上げると、吹き抜け部分がさらに高く見える。


2階からは、夏場にはよくバーベキューをするというウッドデッキまで視線が通る。
2階からは、夏場にはよくバーベキューをするというウッドデッキまで視線が通る。

奥さんは「窓が多いので初夏の頃にはけっこう風が通って涼しく過ごせます。リビングは冬も暖かくてダイニングとともに床暖が入っているので、冬になっても最初のうちはそんなに暖房器具に頼らなくても過ごせる」という。

吹き抜けのある広めのリビングとリビングに隣接してつくられたウッドデッキが1年を通して亀崎家に快適な暮らしをもたらしているようだ。


リビングに隣接してウッドデッキをつくったため、お隣の実家とは、縁側のようにして玄関を介さずとも気安くコミュニケーションを取ることができる。
リビングに隣接してウッドデッキをつくったため、お隣の実家とは、縁側のようにして玄関を介さずとも気安くコミュニケーションを取ることができる。

亀崎邸
設計 納谷建築設計事務所
所在地 神奈川県相模原市
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 124.39m2