Architecture

土地のポテンシャルを活かす三角形から生まれる豊かな時間
四季の変化を愉しむ家

土地のポテンシャルを活かす 三角形から生まれる豊かな時間 四季の変化を愉しむ家

建築家に土地選定の段階から相談

20年住まわれた東京・江東区を離れ、昨年世田谷区内に家を建てたUさん夫妻。
「以前の自宅の目の前が再開発地域にあたり、タワーマンションの建築計画が入っていたんです。それを機に移ることにし、土地を探しました」(夫)

家を建てるにあたり、夫が以前勤務していた会社のオフィスデザインを手掛けた建築家の庄司寛さんに依頼。土地選定の段階から相談した。通勤や地盤などを考慮し、出会ったのがこのY字道路に面する三角形の敷地だった。
「庄司さんに“この土地、どう思いますか?”と見ていただいたら、庄司さんがサラサラと家のイメージを描いてくださってね。それが、20代の頃、2人で留学していたときに住んでいたシアトルのコンドミニアムと重なって、懐かしい気持ちになったんです」(妻)
スキップフロアや高い天井の開放的な雰囲気が当時と重なり、ともて気に入ったという。仕上がった家は、その最初のイメージどおりだと話す。

Y字道路に面する。角地に建つため、道を曲がってくると、大きな開口を設けた片流れの外観が目に飛び込んでくる。
Y字道路に面する。角地に建つため、道を曲がってくると、大きな開口を設けた片流れの外観が目に飛び込んでくる。
玄関前の三角スペース。妻が育てているバラがお出迎え。
玄関前の三角スペース。妻が育てているバラがお出迎え。
ガレージの奥には、近くを走る電車が時折見えるという遊び心も。
ガレージの奥には、近くを走る電車が時折見えるという遊び心も。
2階のリビングダイニング。奥行のある、明るく広々とした空間。
2階のリビングダイニング。奥行のある、明るく広々とした空間。

三角形の敷地の個性を活かす

「土地のポテンシャルを最大限に活かすことを考えました」とは建築家の庄司さん。三角形の土地でできるだけ長く取れる軸線を意識したという。北東側にとれた軸線に沿って奥行のある建物を配置。南西側に目線が広がるように大きな開口やベランダを設けた。また、奥に向かって徐々に下がっている高低差のある土地であるため、傾斜を活かすスキップフロアを採用した。

三角形の土地ゆえに、所々に残った三角形の部分は、玄関の前庭、寝室前の中庭、バスルームから見える坪庭、裏の勝手口などとして無駄なく活用。敷地の個性によって生まれたスペースが、生活に豊かさをもたらした。

また、「今回家を建てるにあたり、老後を意識しました」と話すご夫妻。災害等のときに避難しやすいよう寝室は1階に配置し、階段の段差は20cm以内を希望した。さらに、1階は割れにくい強化ガラスを採用し、ライトは自動やタイマーで灯るようにするなど、防犯面にも配慮した。

寝室脇の中庭は、妻のリクエスト。四季折々の花が植えられている。
寝室脇の中庭は、妻のリクエスト。四季折々の花が植えられている。
1階の寝室。南側の窓から、1階とは思えないたっぷりの日差しが入る。
1階の寝室。南側の窓から、1階とは思えないたっぷりの日差しが入る。
寝室の隣の部屋。近々、妻が営む事務所が移転してくる予定。
寝室の隣の部屋。近々、妻が営む事務所が移転してくる予定。
玄関から見る。階段の段差は低めに設定。数段降りた奥がサニタリールーム、その奥が勝手口へと続く。
玄関から見る。階段の段差は低めに設定。数段降りた奥がサニタリールーム、その奥が勝手口へと続く。
以前の家と同様にバスルームは開放的なガラス張りにこだわった。ホテルライクなバスルームがお好みの夫のリクエスト。坪庭(奥)を眺めながらゆったりとくつろげる。
バスルームは開放的なガラス張りにこだわった。ホテルライクなバスルームがお好みの夫のリクエスト。坪庭(奥)を眺めながらゆったりとくつろげる。
階段下は収納になっている。換気扇付きの猫用トイレ(左奥)も設置。
階段下は収納になっている。換気扇付きの猫用トイレ(左奥)も設置。
勝手口には、裏のシンボルツリーとしてトネリコを植えた。
勝手口には、裏のシンボルツリーとしてトネリコを植えた。

大勢が集うワンルーム

Uさん夫妻は広島県の出身で、高校の同級生。当時、夫が所属していた吹奏楽部の先輩や現役生までつながる後輩たちとともに、毎年夏にコンサートを開いているという。
「年に数回、その仲間たち20数名や留学時代の友人たちがうちに集まるため、大きなワンルームを希望しました」(夫)

広々とした2階のリビングダイニングは、その人数をもてなすにも十分な広さ。「人を招くのが大好き!」という夫が中心になって料理をふるまうとのこと。普段は中華料理に凝っているというが、パーティのときはイタリアンが多いそう。「けっこうイケますよ」と妻も太鼓判を押す。

ダイニング脇のキッチン(右)は動線を考えた造り。中華料理に凝っている夫の希望もあって、火力の強いガスレンジに。
ダイニング脇のキッチン(右)は動線を考えた造り。中華料理に凝っている夫の希望もあって、火力の強いガスレンジに。
自然と窓に向かって並んで座ることが多いというお2人。華奢でシンプルなテーブルは庄司さんのデザイン。イスは『柏木工』のもの。
自然と窓に向かって並んで座ることが多いというお2人。華奢でシンプルなテーブルは庄司さんのデザイン。イスは『柏木工』のもの。
2階もスキップフロアになっている。勝手口の上にあたる(奥)部分にはサービススペースを設置。
2階もスキップフロアになっている。勝手口の上にあたる(奥)部分にはサービススペースを設置。
広めに設計した2階のトイレ。うっすらと透けたガラス張りがお洒落。
広めに設計した2階のトイレ。うっすらと透けたガラス張りがお洒落。
階段状に設えた収納は無駄のない造り。裏のキッチン側に収めるものによって、階段側の収納部分の厚みが異なる。
階段状に設えた収納は無駄のない造り。裏のキッチン側に収めるものによって、階段側の収納部分の厚みが異なる。
音楽が趣味のお2人。クラシックを中心としたCDコレクションが。パーティ用のグラス類もたっぷり収納。
音楽が趣味のお2人。クラシックを中心としたCDコレクションが。パーティ用のグラス類もたっぷり収納。

愛猫たちも満足

この家に暮らし始めて1年半。「私たちももちろん気に入っていますが、猫たちが1番喜んでいるかも」と笑うご夫妻。スキップフロアは猫にとって楽しく、ベランダへと続く猫用扉により、外へも自由に行き来できる。また、1年中たっぷり日差しが降り注ぐ2階のリビングは猫にとっても快適空間。季節によって異なる変化を敏感に感じ取り、心地よい場所を見つけてはお昼寝や日向ぼっこをしているという。

愛猫たちとともに過ごす何気ない時間を楽しんでいるお2人。今後は植栽にも力を入れていきたいと話す。
「四季を意識した花木を少しずつ植えてきて、やっと根付いてきました。イングリッシュガーデン風の庭に憧れているので、少しずつアレンジしていきたいですね」(妻)

『柏木工』で購入したソファで過ごすひとときは、お2人のお気に入りの時間。奥の開口が道路側。夜は、天井の梁が幻想的に光り、外から見ても美しい。
『柏木工』で購入したソファで過ごすひとときは、お2人のお気に入りの時間。奥の開口が道路側。夜は、天井の梁が幻想的に光り、外から見ても美しい。
2階のウッドデッキ。低めの手すりがポイント。左下が猫の出入り口。下には、寝室前の中庭がある。
2階のウッドデッキ。低めの手すりがポイント。左下が猫の出入り口。下には、寝室前の中庭がある。
キッチンの下に設けた猫の出入り口。ご夫妻が留守のときでも自由にベランダと行き来できる。
キッチンの下に設けた猫の出入り口。ご夫妻が留守のときでも自由にベランダと行き来できる。
下から上に調節できるブラインド。道路からの視線と日差しを避ける。
下から上に調節できるブラインド。道路からの視線と日差しを避ける。
先代猫のリリくんとトームくん。日本画を学んだ妻の妹さんの作品。U邸の猫たちは皆、捨て猫や保護猫だった。
先代猫のリリくんとトームくん。日本画を学んだ妻の妹さんの作品。U邸の猫たちは皆、捨て猫や保護猫だった。
現在飼っているモモちゃん(5歳、メス)。もう一匹の黒猫のハナちゃん(6歳、メス)はシャイな性格で一瞬しかお目にかかれなかった。
現在飼っているモモちゃん(5歳、メス)。もう一匹の黒猫のハナちゃん(6歳、メス)はシャイな性格で一瞬しかお目にかかれなかった。
モモちゃんを描いた妹さんの作品。御覧のとおり、そっくり!
モモちゃんを描いた妹さんの作品。御覧のとおり、そっくり!

U邸
設計 庄司寛建築設計事務所
所在地 東京都世田谷区
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 105㎡