Architecture
住宅街の中のオープンスペース大人数のパーティでも
一体感が楽しいリビング-テラス
友人たちが訪れて来た時に楽しめるスペースにしたい。この思いは強く、杉谷さんが建築家にまずリクエストしたのがこれだった。
「20~30人呼ぶようなパーティは最近ちょっと減っていて3カ月に1回ぐらい。中学~大学時代の仲間だったり、僕の場合は会社の仲間にも声をかけて。あと、子ども繋がりで、保育園のお父さんお母さんたちも。すごく仲が良いので、パーティという感じではないですが月に何度も来てる感じですね」
「カフェで出てきそうな中東系の料理だったり、洋食系だったりと、いろいろありますが、どれも好評ですね。実際に来てくれてその場で温めたりもしてくれるので、パーティ始めてすぐはそちらが主人と思われていたりして。いや、あの僕なんですけど……みたいな(笑)」
皆と一緒になれる空間
キッチンをオープンなつくりにしたのは、パーティ時のことも考えて。「パーティとかで、料理している人が中にずっと入り込んでしまうのがすごく嫌で」皆と一緒にいるのと同じ気分で作業ができる感じにしたかったのだという。
テラスとは間にガラス1枚のみで視覚的につながり、シンクのある調理台はリビングのほうにそのまま延びてダイニングテーブルに。「これは大成功でしたね。どこに居ても、みんな一緒の気分になります。ふだんも、妻が料理が好きでキッチンにいることが多いんですけど、家族がいつも一緒にいる気分になれるので」。
このリビングにはさらに、パーティで大活躍の仕掛けがある。テラス寄りの天井に映写用スクリーンが仕込んであり、階段近くに吊るされたプロジェクターから映写できるのだ。
「南アフリカのワールドカップの時には、サッカー仲間に声をかけたら、30人ぐらい来て2階がびっしり一杯になって、階段も観客席にしてパブリックビューみたいに皆で観戦して。それは楽しい時間でしたね」。
自転車スペースもしっかり確保
知り合うそもそものきっかけがサッカーのワールドカップだったという杉谷夫妻。杉谷さんは、会社で11人制のサッカーチームに20年近く在籍し、フットサルのチームでも活躍中だ。ポジションはフォワード。陽子さんは一時、サッカー協会に勤めていたことも。
フリークライミングなども楽しむスポーツ好きのお2人は、ロングライドという、長い距離を1日皆で楽しみながら自転車で走るイベントにも揃って参加したことがあるという。陽子さんは、富士山の裾野から5合目まで自転車で上るイベントにこれまで3回参加、佐渡島を一周するイベントでは、1周210キロのコースを2回完走したという。
家には、マウンテンバイクが2台とロードバイクが2台、玄関入ってすぐ左のスペースに置いてある。「佐渡島のイベントの時とか、長く走る場合はロードに乗りますけど、今は子どもを乗せたりするので、街なかでは安定して走れるマウンテンバイクが多いですね」。
もちろん、自転車4台置くスペースが欲しいというのも設計時にリクエストした。「自転車4台置くとどのくらいのスペースだろうと一生懸命計って、その分1階に確保してもらいました」。
設計時にはまた、2人で冗談にテラスの壁でフリークライミングできるようにしようかみたいな話もしたが、さすがに外部だとホールドが汚れるし、現実的ではないと止めたという。「フリークライミング仲間は皆期待していたみたいですけど。あったらいつでも遊びに行けるって」。
「僕は、夜この階段に座るのが好きなんですよ」と語るのは3階へ上る階段だ。「夜電気を消して、テラス越しに外を見ていると、なんだか路地にいるみたいな気分になれるんですね。寝室の壁が外と同じ仕上げでざらざらとしていて、ここに座っているとなにかこう建物の外階段に居るような気分にもなれたりする。しかも、上を見ると窓から星空が見えるじゃないですか」。
夜、歯を磨きながら、普通の家では味わえないそんなちょっぴり贅沢なひと時を過ごしから床に就くのだという。
設計 都留理子建築設計スタジオ
所在地 東京都世田谷区
構造 S 造
規模 地上3 階
延床面積 98.81m2