DIY
新築をDIY古いものに囲まれる
ノスタルジックワールド
建て売りをリフォーム
小学校の工作室の机、教会の椅子、錆びた郵便ポスト…。1歩足を踏み入れると、ノスタルジックな雰囲気に包まれる。古いもの、懐かしいものに思いを寄せる、高橋香緒里さんの思いは、一軒家の購入とともに溢れ出した。
「最初は土地を探して家を建てるつもりだったのですが、建て売りで気に入ったものが見つかったので。ただ、即決で買うことを条件に、至るところをリフォームしてもらいましたね」
間取りなど、後から手を入れられないところだけは最初にリフォームしておきたいと考えた。1階にあった和室を取り払い、キッチン、リビング、ダイニングを一体型のワンフロアに。2階の子供部屋も、2部屋あったところを1部屋にした。
「マンションに住んでいたときに、細かく仕切られているのが嫌だったんです。男の子ばかり3人の子供がいて、主人も入れると男性が4人。狭い空間だと息苦しいし(笑)、広々としていた方が動きやすいと思って」
広々とした空間を確保
高橋さんが憧れていたのが、洋雑誌などでよく見かけるリビング階段。そこで、廊下と居間を仕切っていた壁を取り払い、リビングから階段につながるようにした。こうすることでさらに空間に広がりが生まれる。
「子供がこれからどんどん大きくなりますから、家に帰ってきた時に、一度はリビングを通って顔を見せてから2階にあがってほしい、というのもありましたね。玄関からしか行けなかった洗面も、壁をあけてもらい、キッチンから回れるようにして、動線を楽にすることも考えました。あとは、和室の押入れをとりはらいましたが、クローゼットにするのではなく、オープンな収納にしてもらって、そこにも広がりをもたせました。」
DIYでアンティーク風に
完成後は、イメージする空間に近づけるため、色々なところにDIYで手を加えた。例えば、アンティーク風のドアは、もともとあったドアに穴を開け、ガラスと木枠を使って小窓を取りつけたもの。さらに色を塗った板を貼り、骨董市で買った取手に付け替えて仕上げた。キッチンにはタイルを、シンクの下は、色を塗ったベニヤ板を自分で貼って、艶のあるメラミン調の素材から模様替え。
「洗面もユニットっぽかったのが嫌でアレンジしました。上の部分をはずして、鏡に古材で作った枠をはめ込み、収納の扉も付け替えました」
近代的な戸建てから、時代を感じさせる家へ。それらの作業を全部自分でやってしまった、というから素晴らしい。
「自分の思うようにしたいので、私が作ってしまうことが多いですが、その間主人は子供と遊んでくれるし、お願いすれば手伝ってもくれます。家にいちばん長くいるのは私なので、好きなようにしていい、と言ってくれる主人には感謝していますね」
古く懐かしい時代を再現
その空間は、昔から集めているアンティークやヴィンテージ、ユーズドの家具や雑貨で埋め尽くされ、ノスタルジックな雰囲気に満ちている。
「子供の頃から収集癖があるんです。古いものを見つけると、つい買ってしまいたくなって。結婚前にロンドンの蚤の市で買ってきたものなどもありますが、最近は月1回、家の近くで開かれる骨董市で買っていますね」
床屋のおしぼり入れ、古い旅行カバン、タイプライター、ポストカード…。インテリアとして所狭しと飾られるのは、どれも高橋さんの思い入れのある品。
「子供の頃、祖母の家にしばらく住んでいたことがあって、その時の家が懐かしく思い出されるんです。古いものを大切にしていきたい、という思いがありますね」
祖母が使っていたというミシンは、ディスプレイとしてだけでなく、現在も使用。この家でひと際存在感を放っている。
次の挑戦が楽しみ
窓際にはシャビーな色合いのドライフラワー。庭で咲いたアジサイやラベンダーを高橋さんが乾燥させて、手作りしたものだそうだ。
「アジサイはアナベルという種類で乾燥させやすいんです。クリスマスの飾りつけ用にもみの木を育てたり、葉っぱでリースをつくるためにユーカリを植えたりもしていますね」
リビングに面した南向きの庭も、古くなった家具やオーナメントで飾られて、味を出している。
「ホームセンターでレンガを買ってきて、3年がかりで地面に埋めたり、木を買ってきてフェンスを作ったり。お庭もいろいろと手を加えましたね。あとは、日当たりが良すぎて夏は暑くなりすぎるので、設計事務所さんに枠組みだけのパーゴラを造ってもらい、自分でオー二ングをつけました」
藤棚のように柱を組んで、その上に布をかけるオー二ングで、カーテンやテントとはひと味違うシェードができる。リビングからは、その手間をかけた庭の緑が眺められる。
「子供たちを学校に送り出して、ひとりになった時間には、ずっと欲しかったチャーチチェアに座って、お茶を飲んだりしています。最近は、キッチンの中にパソコンを使える机を置いて、そこで作業をしていることも多いですね。次はどこをいじろうか、などと考えています」
高橋さんの思いがつまった家は、まだまだ古い時代へと変貌していきそうだ。