Family
アトリエと住居をひとつに-1-大空間ではずむ
家族との会話
「忙しいと何日も家に帰れないことが続き、寝るのはアトリエのソファ、食事はコンビニとファミレスという不健康な生活がカラダにこたえましたし、両方の家賃の支払いも不経済でした。なにより家族と会話ができない日が続く状況をなんとかしたかったんです」
そんな状況をいっぺんに打破すべく、公私ともに親しくおつきあいのある、六本木ヒルズの『トラヤカフェ』などを手がけた建築家の武松幸治さん(E.P.A 環境変換装置建築研究所)と二人三脚で、アトリエと住居を兼ねられる家づくりがスタートする。
白い壁と、構造用合板の木目のリズム感が美しい。「構造用合板は、壁にポスターを貼ったり、ビスを打って棚を作ったりなど、躊躇なく使えるのがいいですね」。
リビングの大きな構造用合板の壁は実はパーティションになっていて、後ろがすべて収納用の棚になっている。ジェームズ・ブラウンのオブジェが飾ってある部分がパーティションの切れ目。「急な来客時には、散らかっているモノをここから奥の収納部分に投げ入れられるので便利です(笑)」。
家族がいつでも集まれる
やわらかなパーティション
ワンフロア105m2の住居スペースには、ほとんどドアがない。やわらかくパーティションで仕切られているだけなので、家族の息遣いを常に感じることができる。取材時も、CDデッキの使い方がわからないお母さんが気軽に次男の明尚くんを呼び、お母さんへの用事を思いついた明尚くんは、勉強机のあるパーティションの後ろからキッチンにいるお母さんに話しかける。
「家族がすぐに集まってしまう家なんです。2階の居住スペースではもちろんですが、僕が1階で仕事をしていると2階から子どもたちが降りてきて、何かと話しかけられます」
建築家と二人三脚で作った家には
楽しく住まうための工夫が随所に
リビングのソファと、長く大きなテーブルは、建築家の武松さんによるオリジナルの家具。ブルーのグラデーションのソファのファブリックは、倉科さんがインテリアショップ『プレイマウンテン』で見繕ったもの。
「このステンレスのアームのTV台が便利なんです。キャスターがついていて、自在にアームが動きます。ソファでくつろぎながらでもテーブルに座っていても、1台のTVで楽に見ることができます」
長く家に帰れないほど忙しかった時に作った家。
「忙しかったこともあって武松さんとの打ち合わせもままならず、お任せな部分も多かったんですが、家族構成や僕が家に望むことを最大限汲み取っていただけたんです。大きなウォークスルー型の収納パーティションを作るなど、素晴らしいアイディアをたくさんいただきながら満足できる家を作ることができました」