Family
葉山を子どもの故郷に大きな吹き抜けを通して
家族のぬくもりが伝わる家
引っ越しとともにライフスタイルも大きく変化
新居を建てる場所を探していた時、緑の多い葉山の中でも、特に静かな土地を見つけた小川謙治さん・妙子さん夫妻。
「ここは交通の便があまり良くないこともあり、葉山の中でも緑が残るのどかな場所です。最初にこの土地を見た時、故郷の福島に近い印象を受け、ピピッと来ました」と妙子さん。
TV番組のディレクターを務める謙治さんが東日本大震災の取材で福島に向かった時に、実家が酪農業を営む妙子さんと出会ったのだそう。
結婚する前は中目黒に住んでいたという謙治さん。
「震災を経験して生活環境を変えたい、落ち着いた仕事の仕方をしたいと思いましたし、なにより子どもに故郷となる場所を作ってあげたいという思いが強かったです」
幸い仕事は都内に通う必要がなく、家の仕事場でやれることが多いのだそう。
住まいは鎌倉に事務所のあるエンジョイワークス一級建築士事務所が手がける『スケルトンハウス』を建てることにした。
「『スケルトンハウス』シリーズで最初に建てた家をWEBで見て、外観が木の家もいいなと思いました。内部空間を自分たちで自由に決められるのも魅力的でした」
間取りは自分たちで考えた
小川さん宅の『スケルトンハウス』は、頑丈でシンプルな構造や外壁などの骨格となる部分はエンジョイワークスにおまかせし、内部空間は自由に作ることができる。
間取りなどは小川さん自身が自分たちのライフスタイルに照らして考え、建築家には柱をなくす代わりに壁構造にして強度を確保するなどの相談にのってもらったのだそう。
「リビングを1階にするか2階にするかというところから悩んだ末、1階をキッチンから部屋全体を見渡せるリビングに、2階に寝室と仕事場、浴室や洗面所などの水まわりを作りました」
ほとんど仕切りのない家は、各部屋が伸びやかにつながる。吹き抜けを通して、1階と2階の家族の存在もゆるやかに感じることができる。
イラストレーターの秋山花さんの作品や、一緒に仕事をすることが多いクリエイターの箭内道彦さんのポスターなど、壁にたくさんの絵が飾られている。
「この家に引っ越してうれしかったのが、しまい込んでいた絵をたくさん飾れたこと。好きな場所に棚を壁にビス留めして取り付けたりなども、賃貸の家ではなかなかできませんでした」
葉山で庭仕事に開眼
2015年10月に竣工した小川さんのお宅。約2年半が過ぎ、外壁が美しいシルバーに変化してきた。
一昨年には庭造りをエンジョイワークスで家を作った仲間に手伝ってもらい、枕木で囲った畑も作った。
「今年は植栽にももう少し手を入れたいと思っています。ここに住む前は庭や畑のことはまったくわからなかったので日々勉強中です。園芸が仕事にもつながっています。地元で何ができるのか、模索しているところです」と謙治さん。
妙子さんは、葉山では数少ない地元企業で働き始めた。「ボディドクター」という、100%天然ラテックスを使ったマットレスを作る会社だ。
「娘と一緒に寝ても熟睡できるよう、長いサイズの枕を商品化し、神奈川なでしこブランド2018にも選ばれました」
新しい土地に意欲的に腰を据えることで、葉山がしっかりとお嬢さんの故郷となっていくに違いない。