Family
やさしい質感に包まれるカラフルな壁が楽しい
おおらかな住まい
家族の笑顔があふれる
富士山のふもと・富士吉田市に暮らす武田さん一家。3年前に建てた家に、貴志さん・恵理さん夫妻と、昊くん、恵茉ちゃん、そして犬のあんこが暮らしている。この場所に家を建てたのは、恵理さんの実家から近かったからだそう。恵理さんは「父と兄、弟が左官職人なので、この家を建てるのにあたって協力してもらいました」と笑顔で話す。
恵理さんのお父さまの渡辺真左志さんは、日本でも指折りの名人として知られる左官職人。武田さん一家の家づくりにあたっては、左官壁の施工を引き受けるだけでなく、知り合いの建築家も推薦してくれたという。「父がよく一緒に仕事をしている建築家・薩田英男さんに設計をお願いしました。薩田さんや父のつくる家は、自然素材をふんだんに使うので、どんな家になるかワクワクしました」(恵理さん)。
生活に即した、暮らしやすいプラン
武田さん夫妻は、設計にあたって「家中に光が届くこと、和室があること、一緒に暮らす犬も過ごしやすいこと」を依頼したという。それを受けて、薩田さんが提案したのは、1階にLDKと和室を配し、2階に個室と水回りを配するプラン。1階は和室以外はタイル貼りで、床暖房を導入している。「床暖房のおかげでポカポカで過ごしやすい上、玄関からリビングまでタイル貼りで掃除もラクですし、犬も喜んでいます」(貴志さん)。
家族がほとんどの時間を過ごす1階のLDKは、扉などで遮ることのない、ひとつながりの空間だ。さらにダイニングの上は吹き抜けとなっているため開放感もたっぷり。吹き抜けを介して暖かな空気は2階にも循環するため、家中どこにいても暖かいという。さらに、吹き抜けに面した廊下に洗濯物を干すとよく乾くのだそう。「2階に水まわりを設けたため、洗濯物を干すのに階段を上り下りする必要がなくてとても便利です」(恵理さん)。
さまざまな仕上げの壁が空間を彩る
そして、武田さんの家の最大の見所が、カラフルな壁だ。部屋によって、漆喰、石膏プラスター、モルタル石灰、タイルなど多様な素材を用い、色とりどりに仕上げられている。「すべての壁面と天井を、父と兄、弟の3人で塗ってくれたので、色も含めてすべておまかせしました」(恵理さん)。漆喰と色漆喰で波打つように塗り分けた吹き抜けの壁など、自由な発想で仕げられた壁は見ているだけでも楽しく、空間に広がりを感じさせる。
晴れた日には富士山を眺めることができるという2階のバスルームは、大きな開口部からベランダに出ることができ、開放感たっぷり。バスルームもまた下部をタイルで、上部を左官仕上げとしている。機能面でも優れているそうだが、デザイン面でもあたたかみのある雰囲気を演出している。
自然素材ならではの柔らかな雰囲気
階段や2階の床材は、左官仕上げの壁や天井にマッチする杉の無垢板。「肌ざわりが良く暖かいので、1年中裸足で過ごしても大丈夫です」(貴志さん)。壁、床、天井にさまざまな自然素材が使われていることで、住まい全体にやさしい質感が醸し出されている。
この家に暮らして3年になる武田さん。「日当たりもいいし、お風呂も広くて、何より暖かい。毎日贅沢だなと感じています」と声を揃える夫妻。
恵茉ちゃんという家族も増え、やさしい空間にはより多くの笑顔があふれることだろう。