目黒区内の瀟洒な住宅街の二世帯住宅の屋上で、フリーでプレスの仕事をしながらガーデンライフを楽しんでいる松原理恵子さん。3ヶ月前にここに越してきて野菜作りを始めたばかりだと聞いていたけれど、実際に撮影にお伺いしてみると、ナス、トマト、キュウリ、ピーマン……、立派な夏野菜が山盛り収穫できていて驚いた。
「実家の母の趣味が家庭菜園で、12畳ほどのスペースを借りて野菜作りを楽しんでいました。その手伝いをしていたので、見よう見まねで野菜の作り方を覚えていたようです。ここの屋上の土の深さは30センチほどあります。ダイコンなどの根菜にはももう少し深さが必要ですが、葉野菜ならばいろいろ楽しめます。引っ越してすぐに、桜の腐葉土、油かす、苦土石灰などを使って土作りにとりかかりました。野菜はすべて無農薬で育てています。苗も無農薬のものを選んで買っています」
屋上のとれたて野菜がなによりの御馳走
もぎたての新鮮な野菜の味は格別だとか。
「ナスやピーマンも、生で食べられます。朝、仕事に行く前にここでもいで、そのままガブリと食べてしまいます」
我々ももぎたての生の野菜をガブリ!の体験をさせていただいた。ナスはフルーツのような甘みがあるし、ピーマンも苦味がほとんどなく、今まで食べたことのない新しい野菜を食べているような体験。
とれたての野菜の美味しさを生かしたお料理を、2階のキッチンで手早く作る理恵子さん。できたお料理をホームエレベーターで1階のテラスまで運び、義父さんと一緒にテーブルを囲んだ。
生のナスとモモを生ハムで巻いたオードブルや、すりおろしたキュウリを使ったドレッシングのサラダ、薄くスライスしたキュウリのサンドイッチ……、そしてバーニャカウダソースでいただく生野菜たちの美味しいこと! たくさんの無農薬の野菜の恵みに、カラダも喜んでいることを実感。
この家の設計は義父の松原忠策さん。構造計算は播繁さん。ヨール・ハウス二世と名付けられたこの家は、船がL字型のドッグに入っている様を模した、物語のある形になっている。3階のリビングの天井が美しい曲線を描いていて、船底を見上げているような不思議な気分になる。
ヨール・ハウス二世は築13年。それまで2階・3階を使っていた義妹夫妻が鎌倉に引っ越したので、3ヶ月前に松原理恵子さん夫妻がここに越してきた。屋上のパーゴラは、義妹の子どもの安全のために後から製作したものだとか。現在はパーゴラのワイヤーにブドウとパッションフルーツを這わせて、緑の屋根を作っている最中だそう。
カラスに食べられないように野菜にネットをかけたり、無農薬ゆえに害虫との戦いは絶えないけれど、そんな苦労があるから余計に採れた野菜が愛おしく、美味しく感じられるのかもしれない。現在の畑の面積は4畳半あるが、「来年はもう少し広げてみたいと思っています」と理恵子さん。都会の屋上庭園で、カラダを元気にしてくれる野菜づくりの楽しみを満喫していた。